全てを失った私を救ったのは…

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私が抵抗を緩めた事でニコルは少し手を止めた。

「……お前も理解したようだな、子がどれだけ重要かという事を」
「それはわかる、でもだからといって絶対出来るとも限らない。もし出来なかったらどうなるの?」

私の問いにニコルは『離婚だ』と簡単に告げてくる。

「離婚?出来ない場合はそれなの?」
「あぁ、出来ないなら一緒にいるのも意味がないからな。国を守るのが使命だ。……もういいか?」

離婚……。
婚姻を結んだ記念すべき日なのに正反対の言葉を聞く。
それが私には重くのしかかり、上に乗るニコルを少し拒絶する気持ちが湧いてしまった。

「リース」

だが、私の気持ちをよそにニコルは私に迫りくる。
受け入れたい、けど、体が逆の反応を見せてしまい近づくニコルの胸に手を当て、それ以上迫るのを防いだ。

「……何をしている」
「ごめんなさい」
「謝るより手を退かせ」

要求に軽く首を横に振り、手はそのまま置いた。

「拒むな、といったよな」

ニコルはそんな私の手を払い除けると、覆い被さり事を進めていく。
荒い声と服を擦る音が部屋に響きわたるのを聞き、私は終わるのを待った……。


ーーーーーー


それから3年が経った。

だが、その間に私達に子宝は恵まれず、次第にニコルが私を迫る事も少なくなり、お互い顔を合わせる事も減っていった。

そんなある日、ニコルからの呼び出しを受け、部屋へと行った。
ノックなどせず入ってこいと言われているため扉を開くとニコルが窓の外を見ていた。

「すまないな、呼び出して」
「う、ううん。……なんだか久しぶりな気がする」
「そうか?」
「……あの、用は?」

ニコルとの間に少し溝ができ、言葉を発するにも緊張感を覚えてしまっていた。

「もう、3年か。早いな」

ニコルは一切こちらを見る事なく、ただ窓の外を見ながら私に声を掛けてくる。
表情が見えないからどんな顔をして話してるのか分からない。
だから私は窓ガラスに反射するニコルの顔を見ようと視線を送ると、気付かれたのか顔を背けられた。

「顔、見たら嫌?」
「そんな事はない。……ただ」
「ただ?」

ようやくニコルは窓から私の方へと向き変え、向かい合うが目は私の後ろを見ている感じだ。
私と絡み合う感じが無い……。

「子供、だよね……?」

私の問いにようやくニコルは私と目を合わした。

「あぁ、そうだ。……言ったが、出来ない場合は」
「り、離婚、だよね?したいの?」
「俺の使命もわかってるはずだよな?」
「それは、……うん」

「期限を設けたい、一年だ。一年で出来ないなら俺はお前と離婚する。いいな?」

突きつけられた期限を前に私は反論する事はなく受け入れた。
婚姻同日に言われており、急ではない事、そして三年という月日を持っても出来ないなら当然だ、と。

「あの、さ」
「なんだ?」
「最近、誘ってくれない、よね。一年は理解する、前みたいに」
「……あぁ。そうか、そういう事か」

力なく小さな声で呟きつつ言う私にニコルはゆっくり近寄ってきた。
そして私の左手を掴み、上に持ち上げると指輪を見て言う。

「……一年後にはお前には付いてないかもな」
「えっ……」

その言葉に私はすぐ近くにいるニコルの顔を見た。

「ふっ」

笑った後、ニコルは指輪にキスをしてきた。
私ではなく、指輪に……。


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