全てを失った私を救ったのは…

mock

文字の大きさ
33 / 68

変化

しおりを挟む
キスをした後、ニコルは部屋を出ていった。
今の流れだと何が起こってもおかしくないのに、全く何もなく……。
期限を決められ焦りが生まれた私はニコルの後を追った。

「ニコルっ!?」

ニコルは部屋を出た後、中庭で花を見ていた。
自分から見るようなタイプでは無いのに何故かそこにいた。

「なんだ?」
「……あ、いや、珍しいね?こんな場所にいるなんて」
「たまには、な。なにか用か?」

今まで私から誘う事は無かった。
いつもニコルから来てくれていた。でもそれではダメだと思い、私から今日の夜はどうかと尋ねた。

「……必死だな、お前」
「ダメなの?必死じゃ……」
「いや、いいと思うが。ただ、本当に欲しいのか?」
「えっ」

問いに私は『あなたなら欲しいと思う』と答えるが、その答えにニコルはため息をつく。

「なんでそんな嫌な顔をするの?欲しいといったのはニコル、あなたでしょ!?」

怒る私から逃げるように花壇の方へと歩き始めた。

「ねぇ、逃げないでよ!?今のため息はなに?」

私は逃げるニコルを捕まえ、自身の方へと向かせた。
だが、その手を振り払われ舌打ちまでされた。

「……どうしたの、おかしいよ。なにか訳があるの?」
「なにもない」
「嘘!絶対ある。じゃなきゃそんな態度を取らないはず。お願い、言ってよ!?」

私達の言い争いを聞きつけたのかイリーナが姿を現す。

「……なにをしているんですか。そんな大声で」

「大丈夫、私とニコルの問題だからっ!」

来たイリーナに対し、語気を強めていう私にニコルはまた一つため息を吐いていた。

「悪いな、少しナーバスになっているみたいだ。部屋に連れていってもらえるか?」
「え、えぇ、それは良いですが……」
「話は終わってない、逃げないで、ニコル!?」
「……頼む」

ニコルの指示とあっては従わざるを得ず、イリーナは私に近寄ると『さぁ……』と言い、ニコルから引き離していく。

「やめて!?まだニコルに用があるのっ!?」
「……リース、落ち着いて」
「落ち着いてる、だから離して!」

イリーナに引かれ、中庭から中へと戻る際私は見た。
ニコルが少しだけ口元が笑っていたのを……。





「ねぇ、もう離してよ、イリーナ!?」
「だめ、ニコル様の指示には逆らうのは出来ない」
「……私は王妃なのよっ!?それでも聞けないの!?」

掴まれた右腕を振り払い、王のニコルの指示に従うなら、その王妃でもある私のも指示も聞くべきだ、と告げた。

必死な形相で言う私を見るイリーナは不満そうな顔を見せ、私と対峙してきた。

「な、なんでそんな顔してるの?」
「……あなた、変わったわね。前はそんな事言う人じゃなかった。もっと」
「もっと、……なに?」

問いつめるがイリーナは訳を言わず首を横に振るだけで『早く部屋にいきましょう』とだけ言い、私の先を歩き出した。

「イリーナっ!?」

答えずドンドンと先に進むイリーナを追っていくと部屋の前に着いた。

扉を開け私が入るのを待つイリーナは目を合わさず、ノブに目線を落とす。

「……答えて」

ノブに視線を落とすイリーナの手に添え、少しだけ力をグッといれた。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

元婚約者に捨てられて皇太子に拾われたけど、今さら後悔しても遅いですよ?

exdonuts
恋愛
婚約破棄された日に崖から落ちた。目覚めたら見知らぬ国の皇太子に拾われ、私は皇太子妃候補に。元婚約者は私の死を喜び、新妻と祝杯を挙げていた。だが一年後、国賓として訪れた私は皇太子の腕に抱かれていた。彼の溺愛は国を揺るがすほどで、元婚約者の後悔の叫びなど届かない。ざまぁ、あなたが捨てたこの女が、今世界で一番愛されているのよ。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~

緑谷めい
恋愛
 後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

殿下の婚約者は、記憶喪失です。

有沢真尋
恋愛
 王太子の婚約者である公爵令嬢アメリアは、いつも微笑みの影に疲労を蓄えているように見えた。  王太子リチャードは、アメリアがその献身を止めたら烈火の如く怒り狂うのは想像に難くない。自分の行動にアメリアが口を出すのも絶対に許さない。たとえば結婚前に派手な女遊びはやめて欲しい、という願いでさえも。  たとえ王太子妃になれるとしても、幸せとは無縁そうに見えたアメリア。  彼女は高熱にうなされた後、すべてを忘れてしまっていた。 ※ざまあ要素はありません。 ※表紙はかんたん表紙メーカーさま

【完結】婚約者?勘違いも程々にして下さいませ

リリス
恋愛
公爵令嬢ヤスミーンには侯爵家三男のエグモントと言う婚約者がいた。 先日不慮の事故によりヤスミーンの両親が他界し女公爵として相続を前にエグモントと結婚式を三ヶ月後に控え前倒しで共に住む事となる。 エグモントが公爵家へ引越しした当日何故か彼の隣で、彼の腕に絡みつく様に引っ付いている女が一匹? 「僕の幼馴染で従妹なんだ。身体も弱くて余り外にも出られないんだ。今度僕が公爵になるって言えばね、是が非とも住んでいる所を見てみたいって言うから連れてきたんだよ。いいよねヤスミーンは僕の妻で公爵夫人なのだもん。公爵夫人ともなれば心は海の様に広い人でなければいけないよ」 はて、そこでヤスミーンは思案する。 何時から私が公爵夫人でエグモンドが公爵なのだろうかと。 また病気がちと言う従妹はヤスミーンの許可も取らず堂々と公爵邸で好き勝手に暮らし始める。 最初の間ヤスミーンは静かにその様子を見守っていた。 するとある変化が……。 ゆるふわ設定ざまああり?です。

貧乏子爵令嬢ですが、愛人にならないなら家を潰すと脅されました。それは困る!

よーこ
恋愛
図書室での読書が大好きな子爵令嬢。 ところが最近、図書室で騒ぐ令嬢が現れた。 その令嬢の目的は一人の見目の良い伯爵令息で……。 短編です。

【完結】精神的に弱い幼馴染を優先する婚約者を捨てたら、彼の兄と結婚することになりました

当麻リコ
恋愛
侯爵令嬢アメリアの婚約者であるミュスカーは、幼馴染みであるリリィばかりを優先する。 リリィは繊細だから僕が支えてあげないといけないのだと、誇らしそうに。 結婚を間近に控え、アメリアは不安だった。 指輪選びや衣装決めにはじまり、結婚に関する大事な話し合いの全てにおいて、ミュスカーはリリィの呼び出しに応じて行ってしまう。 そんな彼を見続けて、とうとうアメリアは彼との結婚生活を諦めた。 けれど正式に婚約の解消を求めてミュスカーの父親に相談すると、少し時間をくれと言って保留にされてしまう。 仕方なく保留を承知した一ヵ月後、国外視察で家を空けていたミュスカーの兄、アーロンが帰ってきてアメリアにこう告げた。 「必ず幸せにすると約束する。どうか俺と結婚して欲しい」 ずっと好きで、けれど他に好きな女性がいるからと諦めていたアーロンからの告白に、アメリアは戸惑いながらも頷くことしか出来なかった。

婚約白紙?上等です!ローゼリアはみんなが思うほど弱くない!

志波 連
恋愛
伯爵令嬢として生まれたローゼリア・ワンドは婚約者であり同じ家で暮らしてきたひとつ年上のアランと隣国から留学してきた王女が恋をしていることを知る。信じ切っていたアランとの未来に決別したローゼリアは、友人たちの支えによって、自分の道をみつけて自立していくのだった。 親たちが子供のためを思い敷いた人生のレールは、子供の自由を奪い苦しめてしまうこともあります。自分を見つめ直し、悩み傷つきながらも自らの手で人生を切り開いていく少女の成長物語です。 本作は小説家になろう及びツギクルにも投稿しています。

幼馴染の許嫁は、男勝りな彼女にご執心らしい

和泉鷹央
恋愛
 王国でも指折りの名家の跡取り息子にして、高名な剣士がコンスタンスの幼馴染であり許嫁。  そんな彼は数代前に没落した実家にはなかなか戻らず、地元では遊び人として名高くてコンスタンスを困らせていた。 「クレイ様はまたお戻りにならないのですか……」 「ごめんなさいね、コンスタンス。クレイが結婚の時期を遅くさせてしまって」 「いいえおば様。でも、クレイ様……他に好きな方がおられるようですが?」 「えっ……!?」 「どうやら、色町で有名な踊り子と恋をしているようなんです」  しかし、彼はそんな噂はあり得ないと叫び、相手の男勝りな踊り子も否定する。  でも、コンスタンスは見てしまった。  朝方、二人が仲睦まじくホテルから出てくる姿を……  他の投稿サイトにも掲載しています。

処理中です...