全てを失った私を救ったのは…

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約束

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気持ちの変化に驚く私だったが、それを掻き消すかの様にお腹が鳴る。

(今は食べ物を……)

言われた通りに近くになっているはずの実を探し始めた。
すると、近くの木に赤紫色の実がなっているのを見つけ、手を伸ばすとリスがトタトタとやってくる。

「……少し頂戴」

やってくるリスに謝りつつ実を摘み、洞穴へと戻った。
戻るとジャックさんがシーツを破り始めており、慌ててそれを止めに入った。

「何してるんですか!」
「……少し分けてもらって服でも、と思って」

地面には治療の際に脱いだ赤く染まるタンクトップが落ちており、流石にそれを着て街へ行くのは……。
理由を聞くなり頭を下げ謝る私は持っていた赤紫色の実をボトボトと落とした。

「そんなになっていたんですね。前はもっと……」
「これ、なんですか?」
「食べた事ないですか?ブルーベリーですよ」

地面に落ちた実を拾い上げると口に入れ頬張っていく。

「……助かります、本当は私が」
「いいんです、助けてもらったから」

その後はお互いにブルーベリーを食べ、ジャックさんはシーツを体に巻き付ける形で服を完成させていく。

「あの……」

ジャックさんは私に声をかけるが、視線は私、というより洞穴の奥の方を見つつ言う。

「なんですか?」
「……あなたも、その格好」

言われ下を向くと赤らめた。

「……早く言ってください」

前を隠すようにし、背を向け視線から逃れた。

「言いづらいですよ、それは……。あなたもこれで作ったらどうです?」

向こうを見つつシーツを私の方へと寄せてくる。
こちら側に来たシーツを手に取ると私もサイズを合わせるように破り、破らされたワンピースを脱ぎ、ジャックさんのように巻きつける形で服を作った。

「……もういいですよ、こっち見ても」

私の言葉を聞き、ようやくこちら側に目線を向けると、安心したのか一つ頷いた。

「街、行くのは当分無理ですね。そんな体で行くのは無茶です」
「いえ、何日もここにいませんよ。あと数日したら行きます」
「なんでそんな急ぐんです?」

私の問いにジャックさんは約束があるから、と答える。

「約束?誰とですか?」
「エリスです」
「エリス?…でも約束って言っても今さら」
「今さらじゃない!」

ジャックさんの激怒に私は『ひっ』と声を上げ慄いた。

「……忘れるものですか。彼女が20になったら迎えに行くと言ったんですから」
「それ……婚姻、ですか?」
「えぇ、私はずっと待っていた。彼女も覚えているはず、きっと」

ジャックさんは思いつめた様な顔をみせつつ言うが、私は複雑だった。
屋敷にいたエリスはローズの手下みたいな物で、約束を覚えている様子は全くなかったからだ。
でも目の前にいる人はそれをずっと覚え、時を待っている。
どんな声をかけるべきか悩んだ。

「……だから街へは行きます」
「街に行くって言っても何処で、とか待ち合わせはあるんですか?」
「あります、きっと来る。……必ず」

期待している人に『来ない』なんて私は言えず、チクンと胸が痛んだ。
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