全てを失った私を救ったのは…

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ラルフ

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「ちょ、」

引かれた私はジャックさんの胸へと押し込まれた。

「手を出さないって言いましたよね!?」
「出してないですよ」
「出してますよ、これ!やめてください!?」

拒む私の声が家の外へと漏れる。
だが、街から少し離れた場所にあるこの家で発する声を聞く者はいない。

「暴れないでください」
「しないって言った側からこれですか!……本当はエリスで空いた隙間を私で埋める気なんじゃ」
「……違いますよ」
「じゃあこれはなんですか!」

拒む私は無理矢理ジャックさんから逃れるよう胸を押し、離れていった。

「やっぱり私、外で寝ます」
「虫が……」
「関係ないですっ」

バンっと私は家を出ていき、ジャックさんから距離を取る事にした。


ーーーーーー



(男の人ってやっぱりそういう事をしたいだけ……)


迂闊に許した自分を責め、私は木々が立つ場所で立ち止まり、そして座ると辺りを見渡した。

「ここは誰も来なそうだな」

周囲の安全を確認すると背を丸め目を閉じた。

あれからジャックさんは反省でもしてるのか、私を追ってくる事はなく別々に過ごした。
シーンとする木々の側で私は後少しで眠りに落ちるという時、話し声が聞こえてきた。

(……えっ、人が来るの?)

慌てて目を開くと男女の話し声が聞こえてきた。



「こちらを」
「……」
「なにか?」
「エリス、返事を聞かせて欲しい」
「だから、それは……」

(エ、リ、ス……?)

その名前に私は急いで声がする方に寄って行った。
そこにはやはりあのエリスがいた。
そして話す男性は……。

「あなたはローズ様のお相手、私に好意を寄せても無駄です」
「僕はローズより君、エリスが良いんだよ!」
「……口を慎んだ方が。誰に聞かれているか分かりませんよ」
「こんな夜中、誰かが来るものか。お願いだよ、僕の気持ち分かってよ」
「何度言っても無理です、ラルフ」

ラルフ……。
その名前を聞いて思い出した。
ローズがニコルよりも熱中している人物の名だ、と。
だが、それより驚いたのはその人物だ。

「……あの格好は」

そう、私にナイフを突きつけた男性。
それがラルフだった。

「私はあなたにローズ様との密会を手助けするだけ。好意は要りません」
「なんでだよ!ローズは我儘すぎる。……君のが」
「……渡したので私はこれで」
「待って!?」

エリスは逃げるように去っていき、ラルフはそれを追うようにかけて行った。

(まさか、あれがラルフ……。それより返事って)

去った二人を私は追いかけたが、暗い夜道、深追いして見つかったりでもしたら…と思い、途中で止めて木々へと戻る事にした。

道中、二人の会話を思い出しながら歩いているとジャックさんが向こうからこちらへとやってくるのが見えた。

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