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これからのアカデミーとユーリ
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次々に合否を言い、最後の子を『要らない』と告げるとブライスはアカデミーの中へと帰っていった。
「よぉし、ブライス様が合格を告げた者以外はこの場を去れ!?」
試験官の言葉を受けても受験生や親達はすぐに動く事が出来ず、下を向く者、涙を流しお互いを慰め合っている親など様々だった。
かたや、50人近くいた受験生の内、合格を言われた者はたったの5人。
その中に私はいた。
周りを見るとシルク素材の煌びやかなドレスを纏っているのに対し、私のドレスの生地は質素な物で色は淡い赤、それにフリルがあるとかそんな感じでは無く、ただ上からすっぽりと着るどこにでも有りそうなワンピース風のドレスだった。
「良かったぁ…これでブライス様と…」
「ふん。あなたでは釣り合わない、私のが」
「いや、あなた達なんかでは無理。私のような上級貴族でないとこれから直ぐに『要らない』と言われるに決まってる」
「なにを!?」
合格したばかりなのに早くも『私が!?』と罵り合ってるのを見ると、何故私がこの場に立っているのか不思議でならない。
不安が募り、両親を見ると歓喜の声を一目憚らず上げ抱き合っている。
その様子を見るとこれからこの罵り合っている人達と共にアカデミーに行くのを辞退したい…なんて言えないと思った。
「あなた、どこから?」
落ち込む私に話しかけてきたのは私の後に合格を言われた子だった。
「私は…すこし離れた所から」
「へぇー、私は、ユーリ。すぐそこの家から来たの」
そういうとアカデミーから見える小高い山に立つ屋敷を指差し私に来た場所を教えてきた。
それに
罵り合っている人達と遜色ないくらい綺麗で、日に当たるとキラキラと輝く白いドレス、要所にレースやリボンをあしらう感じは女の子らしさを強調し、小動物みたいに小さくそして可愛いキュートな目は私でもこんな子がモテるだろうなと思うほどだった。
そんな風に思ってるとやはり「可愛い」子が好きの対象で合格なんだと思い知らされる。
「あなた、お名前は?」
「あっ、私はリーネ、よろしくお願いします」
「ふふっ、同い年なのに敬語は必要ないのでは?
仲良くしましょう」
そういって私に右手を差し出すと握手を求めてきた。
その手を見て一瞬固まったが、手をドレスで拭くとそれに応じた。
「あなた、面白いわね。なんだが通うの楽しみだわ」
「では、合格した者は手続きがあるから親と共にアカデミーに入れ!」
「じゃあ、また」
そう告げるとユーリは私の元を離れ、両親の元へとてとてとかけて行った。
「リーネ!」
私がユーリを見続けていると両親が私が近づくよりも早くこちらにやってきた。
そして私の体をヒョイっと持ち上げると子供の様に『高い高い』をしてきた。
「ちょっと!恥ずかしいよ」
「なにいってんだ。お前は最高の娘だ!ははは」
皆の注目を浴びるなか、私は父に持ち上げられた状態のまま両手で顔を隠した。
「よぉし、ブライス様が合格を告げた者以外はこの場を去れ!?」
試験官の言葉を受けても受験生や親達はすぐに動く事が出来ず、下を向く者、涙を流しお互いを慰め合っている親など様々だった。
かたや、50人近くいた受験生の内、合格を言われた者はたったの5人。
その中に私はいた。
周りを見るとシルク素材の煌びやかなドレスを纏っているのに対し、私のドレスの生地は質素な物で色は淡い赤、それにフリルがあるとかそんな感じでは無く、ただ上からすっぽりと着るどこにでも有りそうなワンピース風のドレスだった。
「良かったぁ…これでブライス様と…」
「ふん。あなたでは釣り合わない、私のが」
「いや、あなた達なんかでは無理。私のような上級貴族でないとこれから直ぐに『要らない』と言われるに決まってる」
「なにを!?」
合格したばかりなのに早くも『私が!?』と罵り合ってるのを見ると、何故私がこの場に立っているのか不思議でならない。
不安が募り、両親を見ると歓喜の声を一目憚らず上げ抱き合っている。
その様子を見るとこれからこの罵り合っている人達と共にアカデミーに行くのを辞退したい…なんて言えないと思った。
「あなた、どこから?」
落ち込む私に話しかけてきたのは私の後に合格を言われた子だった。
「私は…すこし離れた所から」
「へぇー、私は、ユーリ。すぐそこの家から来たの」
そういうとアカデミーから見える小高い山に立つ屋敷を指差し私に来た場所を教えてきた。
それに
罵り合っている人達と遜色ないくらい綺麗で、日に当たるとキラキラと輝く白いドレス、要所にレースやリボンをあしらう感じは女の子らしさを強調し、小動物みたいに小さくそして可愛いキュートな目は私でもこんな子がモテるだろうなと思うほどだった。
そんな風に思ってるとやはり「可愛い」子が好きの対象で合格なんだと思い知らされる。
「あなた、お名前は?」
「あっ、私はリーネ、よろしくお願いします」
「ふふっ、同い年なのに敬語は必要ないのでは?
仲良くしましょう」
そういって私に右手を差し出すと握手を求めてきた。
その手を見て一瞬固まったが、手をドレスで拭くとそれに応じた。
「あなた、面白いわね。なんだが通うの楽しみだわ」
「では、合格した者は手続きがあるから親と共にアカデミーに入れ!」
「じゃあ、また」
そう告げるとユーリは私の元を離れ、両親の元へとてとてとかけて行った。
「リーネ!」
私がユーリを見続けていると両親が私が近づくよりも早くこちらにやってきた。
そして私の体をヒョイっと持ち上げると子供の様に『高い高い』をしてきた。
「ちょっと!恥ずかしいよ」
「なにいってんだ。お前は最高の娘だ!ははは」
皆の注目を浴びるなか、私は父に持ち上げられた状態のまま両手で顔を隠した。
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