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問題発生
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「行こう、リーネ」
私の方へ手を差し伸ばしアカデミーへと誘うユーリ。
これから始まる新しい生活を共にするのにユーリがいる、それだけで大きな心の支えになると感じた。
馬車を降り、2人でアカデミーの入り口向かっていると昨日共に受かった3人も各家の馬車でやってきた。
「あーら、お二人さん。仲が良い事。それにしても…」
1人が私の手荷物を見ては口に手を押さえ笑いを堪えている様子だった。
両手に下げたバックを手に歩く様子はここに通う者としては異質に見えるようだ。
そんな出で立ちでいる私を笑う事なく一緒にいるユーリはやっぱり優しいなと思った。
「執事の1人もいないの、あなたは?
どうしてそんな人がブライス様に選ばれたんだろうなぁ~」
嫌味を周りに聞こえるように話すと、それぞれ口に手を当ててはププッと笑う。
周りは皆執事が荷物を持ち私達のすぐ後ろに立っている。
多分それがここでは『正解』なんだろう…。
嫌味を言われシュンとする私の手を引きユーリはアカデミーへと歩み出す。
「ほっとけばいい。後で痛い目を見るのはあっちだから」
まるで何か起こるのが分かってるかのような発言をするユーリの顔は少し苛立ってるようにも見えた。
「おはようございます、皆さん。昨日はちゃんと寝れましたか?」
入り口に集まる私達の前にレイ事務長が出迎えた。
そこに並ぶ私達と私以外の人にはいる執事達。
5人を右、左、と見るレイ事務長は私を見るなり『リーネ、あなたブローチは?』と問いただす。
「あ…」
そう言われすぐに周りを見渡すと皆の胸元には昨日受け取った赤いブローチが付いていた。
キョロキョロする私を『まさか、もう無くしたの?』と低い声で言ってきた。
「あ、あります!」
すぐにバックを地面に下ろし、昨日準備した二つの内の一つを開けガサゴソと皆が見ている前で探し始めた。
でも、確かに入れたはずのブローチが出てこない。
部屋の鍵は出てくるのだが、ブローチだけが何故か探す私の手から逃げるかのように見つからなかった。
(え…どうして…鍵と一緒にいれたはずなのに)
焦れば焦るほど同じ場所を何度も探し出す。
見かねた1人が『無いんでしょ?だったら…もうアカデミーから出ていくしかないよね?』と呟く。
その言葉に探す手が止まった…。
「リーネ、本当にないなら今の言葉が現実になりますよ?」
レイ事務長の言葉が私の心にグサっと刺さり、一瞬で目に涙が溜まった。
泣いちゃダメ…と思っても泣き声が出そうになった。
その時
私の左肩をポンと触る手があり、誰かと思って確認するとユーリだった。
「落ち着いて、一旦全部出してみたらどう?
鍵が出てきたんだからそこにいれたんだよね。
何処かに引っかかってるんだよ、きっと」
「ユーリ…」
目に溜まった涙を右手でゴシゴシ拭くとバックをひっくり返し中身を全部出した。
するとコロ…っとバックの底からブローチが落ちてきた。
「良かったね、やっぱり引っかかっていたんだね」
安堵する私にユーリは頭を撫で笑顔を見せた。
私の方へ手を差し伸ばしアカデミーへと誘うユーリ。
これから始まる新しい生活を共にするのにユーリがいる、それだけで大きな心の支えになると感じた。
馬車を降り、2人でアカデミーの入り口向かっていると昨日共に受かった3人も各家の馬車でやってきた。
「あーら、お二人さん。仲が良い事。それにしても…」
1人が私の手荷物を見ては口に手を押さえ笑いを堪えている様子だった。
両手に下げたバックを手に歩く様子はここに通う者としては異質に見えるようだ。
そんな出で立ちでいる私を笑う事なく一緒にいるユーリはやっぱり優しいなと思った。
「執事の1人もいないの、あなたは?
どうしてそんな人がブライス様に選ばれたんだろうなぁ~」
嫌味を周りに聞こえるように話すと、それぞれ口に手を当ててはププッと笑う。
周りは皆執事が荷物を持ち私達のすぐ後ろに立っている。
多分それがここでは『正解』なんだろう…。
嫌味を言われシュンとする私の手を引きユーリはアカデミーへと歩み出す。
「ほっとけばいい。後で痛い目を見るのはあっちだから」
まるで何か起こるのが分かってるかのような発言をするユーリの顔は少し苛立ってるようにも見えた。
「おはようございます、皆さん。昨日はちゃんと寝れましたか?」
入り口に集まる私達の前にレイ事務長が出迎えた。
そこに並ぶ私達と私以外の人にはいる執事達。
5人を右、左、と見るレイ事務長は私を見るなり『リーネ、あなたブローチは?』と問いただす。
「あ…」
そう言われすぐに周りを見渡すと皆の胸元には昨日受け取った赤いブローチが付いていた。
キョロキョロする私を『まさか、もう無くしたの?』と低い声で言ってきた。
「あ、あります!」
すぐにバックを地面に下ろし、昨日準備した二つの内の一つを開けガサゴソと皆が見ている前で探し始めた。
でも、確かに入れたはずのブローチが出てこない。
部屋の鍵は出てくるのだが、ブローチだけが何故か探す私の手から逃げるかのように見つからなかった。
(え…どうして…鍵と一緒にいれたはずなのに)
焦れば焦るほど同じ場所を何度も探し出す。
見かねた1人が『無いんでしょ?だったら…もうアカデミーから出ていくしかないよね?』と呟く。
その言葉に探す手が止まった…。
「リーネ、本当にないなら今の言葉が現実になりますよ?」
レイ事務長の言葉が私の心にグサっと刺さり、一瞬で目に涙が溜まった。
泣いちゃダメ…と思っても泣き声が出そうになった。
その時
私の左肩をポンと触る手があり、誰かと思って確認するとユーリだった。
「落ち着いて、一旦全部出してみたらどう?
鍵が出てきたんだからそこにいれたんだよね。
何処かに引っかかってるんだよ、きっと」
「ユーリ…」
目に溜まった涙を右手でゴシゴシ拭くとバックをひっくり返し中身を全部出した。
するとコロ…っとバックの底からブローチが落ちてきた。
「良かったね、やっぱり引っかかっていたんだね」
安堵する私にユーリは頭を撫で笑顔を見せた。
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