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決心
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急に迫ってきたブライスに慄いた。
この時代にはコピーなんてないのでこれだけしかないたった一枚の紙を取られたり破られたりしたら全てが水の泡になる。
だから体を捻りブライスがコレをとる事を必死に守った。
「それを渡せ!リーネ!?」
体を捻る私を引っ張ったりして引き剥がそうとしてくるブライスは必死そのもの。
追い詰めるためにはこれが必要で私は意地でも取られないようにくの字に曲げその中に紙を握りしめ守っていく。
「お前が持っていていいものではない!早く寄越せ!?」
「いや!離して!」
「このっ!?」
ブライスは引っ張っていた手を離すと振り上げいまにも私の体を叩きつけようとしてくる。
そんな時だった。
扉を開け私とブライスのやり取りを目撃するユーリがいた。
「ブライス様。今すぐリーネから離れてください。
その紙はあなた様には都合悪いんですよね?
でも、その紙はリーネだけが持ってるわけじゃない」
そう言うとユーリは紙を手に持ちブライスに見せた。
「どうして?これしかないってユーリ、あなたは言っていたはず…」
私の言葉にユーリはニコッと笑うと一瞬の隙をつきブライスから引き離すように私の手を掴み扉の外へと連れ出した。
「ユーリ!?お前か…こいつに入れ知恵をしたのは」
「だとしたらどうするんですか?私を追い出しますか?それでもいいですよ。
そうしたらコレをバラしますので。
そうしたらあなたの立場はかなり悪くなりますよ、いくらライオネス家が偉くても周りの貴族からの目は厳しくなりますよ?」
「ユーリ…」
「…何が望みだ」
ユーリは私の前に立ちブライスに紙を見せながら告げた。
「リーネとは別れてください。
でも、マリーはリーネが引き取る旨を誓約書として書いてください。
それと引き換えにコレは渡します」
「何を言うかと思えばマリーを渡せと?
無理なお願いだな。さっさとそれを渡せ!?」
交渉は決裂…。
すぐにブライスはユーリに飛びかかり持っている紙めがけていった。
しかし、それをユーリはヒラリとかわすと紙を掴もうとして伸ばした右手を掴み、その勢いのままブライスを床に押し倒した。
「なっ…」
倒され見上げるブライスをユーリは優しい笑顔で返答した。
「私はイシュバール家の娘。いつ襲われても大丈夫なように訓練されてますよ。ブライス様。
さぁ、リーネとの制約書を書いてもらえますか?」
その言葉にユーリを見るより私の方を見て顔を歪めていく。
私もブライスを見下ろしていたがすぐに目線を外した。
「…お前に言われても俺は書かん。
それにマリーはこの家には必要だ。リーネに渡すわけには…」
ギュッっとさらに腕を絞っていくユーリ。
それと同時にブライスの顔は苦痛に歪められギリッ…と歯を食いしばっていく。
「ブライス様、このままでは腕が使い物になりませんよ?いいのですか?アリスとこれからも仲良くできませんよ」
「アリスは関係ないだろうが!離せ!?」
「そうですか…まだ分からないのですね…」
更にギュッと絞るとブライスは堪らず声を上げ、止めろ!とユーリにお願いしてきた。
「…やめる方法は一つです、ブライス様。さぁ、早く」
「何をしてるんだ!お前は!?」
ブライスに用がある為、部屋へとやってきたロータスさんが私達の行為をみて急いで止めに入ってきた。
「ロータス、早く助けろ!?」
ブライスの叫びよりも前に近づいてくるロータスさんを見て私は二人の前に素早く割り込んでいった。
「退いてください、リーネ様。一体何をしているんです。あなたのご主人でしょうが…」
「いいえ…私はもう…ブライスとはやっていけません」
「な、何を言ってるんです!
たった一度の浮気如きで終わるんですか?それにあなたの家はライオネス家で持っているもの、それが無くなってもいいんですか?」
ブライスに限らずロータスさんも私の家については知っていた。
当たり前か…。試験の前に調べられていたんだから…。
「大丈夫です、気にしないでください。私はもうブライスとは離縁します」
私の言葉にロータスさんは近づくのやめ、それを見るなり私はブライスに近づいて目の前で膝をついてお願いをした。
この時代にはコピーなんてないのでこれだけしかないたった一枚の紙を取られたり破られたりしたら全てが水の泡になる。
だから体を捻りブライスがコレをとる事を必死に守った。
「それを渡せ!リーネ!?」
体を捻る私を引っ張ったりして引き剥がそうとしてくるブライスは必死そのもの。
追い詰めるためにはこれが必要で私は意地でも取られないようにくの字に曲げその中に紙を握りしめ守っていく。
「お前が持っていていいものではない!早く寄越せ!?」
「いや!離して!」
「このっ!?」
ブライスは引っ張っていた手を離すと振り上げいまにも私の体を叩きつけようとしてくる。
そんな時だった。
扉を開け私とブライスのやり取りを目撃するユーリがいた。
「ブライス様。今すぐリーネから離れてください。
その紙はあなた様には都合悪いんですよね?
でも、その紙はリーネだけが持ってるわけじゃない」
そう言うとユーリは紙を手に持ちブライスに見せた。
「どうして?これしかないってユーリ、あなたは言っていたはず…」
私の言葉にユーリはニコッと笑うと一瞬の隙をつきブライスから引き離すように私の手を掴み扉の外へと連れ出した。
「ユーリ!?お前か…こいつに入れ知恵をしたのは」
「だとしたらどうするんですか?私を追い出しますか?それでもいいですよ。
そうしたらコレをバラしますので。
そうしたらあなたの立場はかなり悪くなりますよ、いくらライオネス家が偉くても周りの貴族からの目は厳しくなりますよ?」
「ユーリ…」
「…何が望みだ」
ユーリは私の前に立ちブライスに紙を見せながら告げた。
「リーネとは別れてください。
でも、マリーはリーネが引き取る旨を誓約書として書いてください。
それと引き換えにコレは渡します」
「何を言うかと思えばマリーを渡せと?
無理なお願いだな。さっさとそれを渡せ!?」
交渉は決裂…。
すぐにブライスはユーリに飛びかかり持っている紙めがけていった。
しかし、それをユーリはヒラリとかわすと紙を掴もうとして伸ばした右手を掴み、その勢いのままブライスを床に押し倒した。
「なっ…」
倒され見上げるブライスをユーリは優しい笑顔で返答した。
「私はイシュバール家の娘。いつ襲われても大丈夫なように訓練されてますよ。ブライス様。
さぁ、リーネとの制約書を書いてもらえますか?」
その言葉にユーリを見るより私の方を見て顔を歪めていく。
私もブライスを見下ろしていたがすぐに目線を外した。
「…お前に言われても俺は書かん。
それにマリーはこの家には必要だ。リーネに渡すわけには…」
ギュッっとさらに腕を絞っていくユーリ。
それと同時にブライスの顔は苦痛に歪められギリッ…と歯を食いしばっていく。
「ブライス様、このままでは腕が使い物になりませんよ?いいのですか?アリスとこれからも仲良くできませんよ」
「アリスは関係ないだろうが!離せ!?」
「そうですか…まだ分からないのですね…」
更にギュッと絞るとブライスは堪らず声を上げ、止めろ!とユーリにお願いしてきた。
「…やめる方法は一つです、ブライス様。さぁ、早く」
「何をしてるんだ!お前は!?」
ブライスに用がある為、部屋へとやってきたロータスさんが私達の行為をみて急いで止めに入ってきた。
「ロータス、早く助けろ!?」
ブライスの叫びよりも前に近づいてくるロータスさんを見て私は二人の前に素早く割り込んでいった。
「退いてください、リーネ様。一体何をしているんです。あなたのご主人でしょうが…」
「いいえ…私はもう…ブライスとはやっていけません」
「な、何を言ってるんです!
たった一度の浮気如きで終わるんですか?それにあなたの家はライオネス家で持っているもの、それが無くなってもいいんですか?」
ブライスに限らずロータスさんも私の家については知っていた。
当たり前か…。試験の前に調べられていたんだから…。
「大丈夫です、気にしないでください。私はもうブライスとは離縁します」
私の言葉にロータスさんは近づくのやめ、それを見るなり私はブライスに近づいて目の前で膝をついてお願いをした。
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