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対立
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私の問いかけに少し黙っていたレイ事務長。
そしてゆっくりと口を開く。
「ごめんなさいね、私も彼のことは良く知らないの」
「えっ?」
ここで話すよりは…って言いリビングの方に顔を向けていた。
私とユーリはそれを見るなり頷き、リビングに向かうレイ事務長の後をついていった。
傍らではマリーがずっと足に引っ付いている。
「マリー、すこしリーネ達と話があるから上に行っててくれないかしら?」
「えー…」
「マリー、お願い」
私を含め三人がマリーに向け視線を向けると、ムスッと顔を膨らませる。
そしてしょぼくれながら階段を登り二階へと向かって行った。
トン…トン…と聞こえる足音が除け者にされたっと言わんばかりにも聞こえてくる。
「それで、良く知らないというのは…?」
私はマリーの姿が見えなくなってすぐにレイ事務長に話しかけた。
でも、直ぐには話さずおもむろにキッチンへと足を運んでいく。
「あの…!」
「すこし長くなるかもしれないから…」
どうやら私達にお茶を用意するようだ。
それを見て私も同じようにキッチンへと足を運ぼうとするが、ユーリが私の体の前に手を伸ばし、行くのを邪魔し首を振る。
「私が行く、あなたは座って」
「…ユーリ」
一人残された私は少しの間テーブルに向かわず、その場で立ち尽くしていた。
そんな時、目に入ってきたのがあの白いガーベラだった…。
(まさかブライスと関わりが…?)
そう思ったがすぐに首を振り、否定した。
いくらこの街を統治していてもこんなピンポイントで関わりがあるとは思えなかった。
「リーネ?どうしたの、早くこっちに来て」
立ち尽くす私をレイ事務長とユーリが声をかける。
その手には三人分のお茶を用意して…。
テーブルに置くと私が座るのを待つ二人をみて私もゆっくりとテーブルに向かい腰掛けた。
カップを置き、少しずつポットから注ぐ様子をずっと見ていた。
「そんな目で見ないで、リーネ」
問いかけに顔を上げるとレイ事務長の手元が小刻みに揺れカップに注ぐのを外しそうになっていた。
「すみません…」
「気になるのは分かるけど焦っても良い結果は生まれないわ。落ち着いてゆっくりと飲んで」
注がれたカップからは湯気が立ち、甘く薫るココアが目の前に出された。
二人より先に口に運び一息いれた。
私が飲むのを待っていたのか、それを見るなり二人も口に運び、テーブルに置く。
「…じゃあ」
「はい…お願いします」
「ラークは…フリックが連れてきたの。
聞いた話では古くからの友人の子らしくて。亡くなった奥さんの子を引き取り育てようとしたけど貧しいからフリックにお願いした。
私が聞いたのはそれだけ…」
「それだけ…ですか?他には!?
だってあの人、私達の事気づいてますよ。アカデミー関わりだって。
アカデミーに入ってないならそんな事知るはずもない!」
私は必死にそれ以外に知ってることは無いのかと声をあげて問い詰めていた。
その様子にレイ事務長は申し訳なさそうに首を振っていた。
「落ち着いて、リーネ。困惑してるわ、レイさんが」
「でも!」
「気になるなら私が聞く。あなたが聞くのはやめた方がいい」
「なんで?気になるのは私、ユーリは…」
バンッ
ユーリがテーブルを左手で強く叩く音がリビングに響いた。
そしてゆっくりとその手を握りしめていく…。
「ユーリ…」
「あなたがラークさんに聞こうとしても丸めこまれるだけ、それかはぐらかされて終わり」
「なんでそんな事いうの?」
「…何年一緒にいると思ってるの。
あなたが人と言い争う事に向いてないのは私が一番知ってる!
だから私が聞く。あなたは一切手を出さないで!」
テーブルを叩く音に驚いたのか上にいたマリーがドタドタと足音を上げながら降りてきた。
「今の音、なに…?」
私とユーリ、マリーの言葉に反応をせず、ずっと向かいままだった…。
そしてゆっくりと口を開く。
「ごめんなさいね、私も彼のことは良く知らないの」
「えっ?」
ここで話すよりは…って言いリビングの方に顔を向けていた。
私とユーリはそれを見るなり頷き、リビングに向かうレイ事務長の後をついていった。
傍らではマリーがずっと足に引っ付いている。
「マリー、すこしリーネ達と話があるから上に行っててくれないかしら?」
「えー…」
「マリー、お願い」
私を含め三人がマリーに向け視線を向けると、ムスッと顔を膨らませる。
そしてしょぼくれながら階段を登り二階へと向かって行った。
トン…トン…と聞こえる足音が除け者にされたっと言わんばかりにも聞こえてくる。
「それで、良く知らないというのは…?」
私はマリーの姿が見えなくなってすぐにレイ事務長に話しかけた。
でも、直ぐには話さずおもむろにキッチンへと足を運んでいく。
「あの…!」
「すこし長くなるかもしれないから…」
どうやら私達にお茶を用意するようだ。
それを見て私も同じようにキッチンへと足を運ぼうとするが、ユーリが私の体の前に手を伸ばし、行くのを邪魔し首を振る。
「私が行く、あなたは座って」
「…ユーリ」
一人残された私は少しの間テーブルに向かわず、その場で立ち尽くしていた。
そんな時、目に入ってきたのがあの白いガーベラだった…。
(まさかブライスと関わりが…?)
そう思ったがすぐに首を振り、否定した。
いくらこの街を統治していてもこんなピンポイントで関わりがあるとは思えなかった。
「リーネ?どうしたの、早くこっちに来て」
立ち尽くす私をレイ事務長とユーリが声をかける。
その手には三人分のお茶を用意して…。
テーブルに置くと私が座るのを待つ二人をみて私もゆっくりとテーブルに向かい腰掛けた。
カップを置き、少しずつポットから注ぐ様子をずっと見ていた。
「そんな目で見ないで、リーネ」
問いかけに顔を上げるとレイ事務長の手元が小刻みに揺れカップに注ぐのを外しそうになっていた。
「すみません…」
「気になるのは分かるけど焦っても良い結果は生まれないわ。落ち着いてゆっくりと飲んで」
注がれたカップからは湯気が立ち、甘く薫るココアが目の前に出された。
二人より先に口に運び一息いれた。
私が飲むのを待っていたのか、それを見るなり二人も口に運び、テーブルに置く。
「…じゃあ」
「はい…お願いします」
「ラークは…フリックが連れてきたの。
聞いた話では古くからの友人の子らしくて。亡くなった奥さんの子を引き取り育てようとしたけど貧しいからフリックにお願いした。
私が聞いたのはそれだけ…」
「それだけ…ですか?他には!?
だってあの人、私達の事気づいてますよ。アカデミー関わりだって。
アカデミーに入ってないならそんな事知るはずもない!」
私は必死にそれ以外に知ってることは無いのかと声をあげて問い詰めていた。
その様子にレイ事務長は申し訳なさそうに首を振っていた。
「落ち着いて、リーネ。困惑してるわ、レイさんが」
「でも!」
「気になるなら私が聞く。あなたが聞くのはやめた方がいい」
「なんで?気になるのは私、ユーリは…」
バンッ
ユーリがテーブルを左手で強く叩く音がリビングに響いた。
そしてゆっくりとその手を握りしめていく…。
「ユーリ…」
「あなたがラークさんに聞こうとしても丸めこまれるだけ、それかはぐらかされて終わり」
「なんでそんな事いうの?」
「…何年一緒にいると思ってるの。
あなたが人と言い争う事に向いてないのは私が一番知ってる!
だから私が聞く。あなたは一切手を出さないで!」
テーブルを叩く音に驚いたのか上にいたマリーがドタドタと足音を上げながら降りてきた。
「今の音、なに…?」
私とユーリ、マリーの言葉に反応をせず、ずっと向かいままだった…。
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