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仲直りまでは遠い…
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お互いに背を向け横になり休んでいる。
かすかに聞こえる呼吸の音が静まり返った部屋に響く。
(ユーリなんて…)
イラつきながら目をきつく瞑り寝ようとした。
しかし、考えれば考えるほと余計に頭が冴えなかなか寝付くことが出来なかった。
「んん…」
ユーリの声が私の耳に届く。
どうやら慣れない仕事をしたせいだろうか、私より先に眠りだしたようだ。
その声を聞き、私は体をムクっと起こすとユーリの事を見た。
手を顔の下に滑り込ませその上に顔を乗せスヤスヤと眠っている。
(あんなに怒っていたのに、こんな可愛い顔して寝てるなんて…)
ふぅ…と息を吐き、私はベットに戻り同じように眠りはじめた。
朝…空は日が登り快晴だ。
私が起きるとユーリの姿は無かった。
慌ててベットから体を起こし、階段をドタドタと降りていく。
そこにはレイ事務長とマリーの姿しか無かった。
「…ユーリは?」
「やっと起きたのね、リーネ。もうとっくにユーリは行ったわよ」
「なんで起こしてくれなかったんですか?!」
私は起こしてくれなかったレイ事務長に怒りを露わにしていた。
自分の母親でも無いのに…だ。
「お母様、寝癖…」
すぐにでもユーリを追いかけようと思ったが、マリーの言葉が私を引き止める。
後ろの髪が持ち上がり、このまま外に行くのはかなりマズい。
ましてや『カフェ』で働いているのにこんな寝癖で対応するなんてもっての外だった…。
「もう!」
二人はまったく悪くないのに怒りの言葉を出し、寝癖を直すため洗面所に向かった。
鏡に映る私の顔は少し暗く見え、目の下には軽くクマが出来ていた…。
「はぁ…」
持ち上がった髪を直しつつ燻んだ顔を見る私はため息しか出てこなかった。
髪を直し、二人に何も言わずに家を出て行こうとすると、マリーが近づいてきて手を握ってきた。
「ユーリおばさんの事、怒らないで…。
二人が喧嘩してるところ見たくない…」
握った手は暖かく、そしてギュッと握り私の顔を見てくる。
こんな小さな子供に心配されるなんて…と思いながら私もその手を握り返した。
「大丈夫、もう怒らないから」
「…ホント?」
「ホント」
今すぐに仲直りできる訳でも無かったが、マリーの前ではそう答えるしか無かった。
そして私はマリーの手を離し、家を出るとカフェに向かい歩き出した。
もうとっくに向かっているユーリの姿はあるはずもなく、街には大勢の人が賑やかそうに歩いている。
そんな中、私はゆっくりとどう謝るべきか悩みながら歩を進めていった。
「危ない!?」
急に右から聞こえる声に反応し、そちらを向くと制御出来なくなった馬車がこちらに迫ってきた…。
かすかに聞こえる呼吸の音が静まり返った部屋に響く。
(ユーリなんて…)
イラつきながら目をきつく瞑り寝ようとした。
しかし、考えれば考えるほと余計に頭が冴えなかなか寝付くことが出来なかった。
「んん…」
ユーリの声が私の耳に届く。
どうやら慣れない仕事をしたせいだろうか、私より先に眠りだしたようだ。
その声を聞き、私は体をムクっと起こすとユーリの事を見た。
手を顔の下に滑り込ませその上に顔を乗せスヤスヤと眠っている。
(あんなに怒っていたのに、こんな可愛い顔して寝てるなんて…)
ふぅ…と息を吐き、私はベットに戻り同じように眠りはじめた。
朝…空は日が登り快晴だ。
私が起きるとユーリの姿は無かった。
慌ててベットから体を起こし、階段をドタドタと降りていく。
そこにはレイ事務長とマリーの姿しか無かった。
「…ユーリは?」
「やっと起きたのね、リーネ。もうとっくにユーリは行ったわよ」
「なんで起こしてくれなかったんですか?!」
私は起こしてくれなかったレイ事務長に怒りを露わにしていた。
自分の母親でも無いのに…だ。
「お母様、寝癖…」
すぐにでもユーリを追いかけようと思ったが、マリーの言葉が私を引き止める。
後ろの髪が持ち上がり、このまま外に行くのはかなりマズい。
ましてや『カフェ』で働いているのにこんな寝癖で対応するなんてもっての外だった…。
「もう!」
二人はまったく悪くないのに怒りの言葉を出し、寝癖を直すため洗面所に向かった。
鏡に映る私の顔は少し暗く見え、目の下には軽くクマが出来ていた…。
「はぁ…」
持ち上がった髪を直しつつ燻んだ顔を見る私はため息しか出てこなかった。
髪を直し、二人に何も言わずに家を出て行こうとすると、マリーが近づいてきて手を握ってきた。
「ユーリおばさんの事、怒らないで…。
二人が喧嘩してるところ見たくない…」
握った手は暖かく、そしてギュッと握り私の顔を見てくる。
こんな小さな子供に心配されるなんて…と思いながら私もその手を握り返した。
「大丈夫、もう怒らないから」
「…ホント?」
「ホント」
今すぐに仲直りできる訳でも無かったが、マリーの前ではそう答えるしか無かった。
そして私はマリーの手を離し、家を出るとカフェに向かい歩き出した。
もうとっくに向かっているユーリの姿はあるはずもなく、街には大勢の人が賑やかそうに歩いている。
そんな中、私はゆっくりとどう謝るべきか悩みながら歩を進めていった。
「危ない!?」
急に右から聞こえる声に反応し、そちらを向くと制御出来なくなった馬車がこちらに迫ってきた…。
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