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重ねてしまった
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「なら、さっさとやれよ」
私達に怒鳴り散らした後は厨房へと向かっていった。
すると今まで外にいたユーリがいつの間にか私の前を通り過ぎていき、同じように厨房へと向かっていった。
「ユーリ」
私はすぐに声を掛けると、一瞬足を止めたが、こちらを見ずに進んで行ってしまった…。
「はは、どうやらユーリさんに見放されたみたいですね、リーネさん」
「…ユーリ」
その後…
店を準備し、開いたが昨日のようにお客が来る事は無かった。
来る時はあれ程天気が良かったのに、周りが暗くなってきたと思ったらすぐに雨が降り出したせいもあるのだろう。
外は人通りも少なくなっており、私達は店で時間を持て余してしまっていた。
「来ないですね。開いていても意味がない」
ボソリと言うとラークさんは厨房へと向かいなにやらフリックさんと話し込んでいる様子だ。
今なら話せる!と思い、私も厨房へと行き、一人になっているユーリに近づいていくが…。
「…リーネ、近寄らないで」
「どうして…?」
「いいから」
話しかけないで欲しいという雰囲気を醸し、私が近づくのを拒否していく。
そればかりか逃げるように店の奥へと行ってしまった…。
「なんで…?」
ポツンと残された私は立ち尽くしているとラークさんが
戻ってきて厨房にいる私に話し出してきた。
「フリックさんも閉めてもいいと言うから閉めます。
手伝って下さい、リーネさん」
その言葉に私はなにも反応しなかった…。
頭の中はユーリに拒否された事でいっぱいだったから。
「リーネさん?」
ハッとして我に戻ると、首だけ縦に振っていた。
「じゃあな。後はしっかり閉めておけよ、ラーク!」
数時間で店を閉店し、残されたのは私とラークさん、そして店の奥に行ってしまったユーリのみ。
すると厨房から出てきたユーリは私に話す事なく、店を後にしようとしていた。
「ちょっと、ユーリ。待ってよ」
「リーネ…マリーの事は見ておくから…じゃあ…」
そういうと雨が降り続く外に駆け出していった。
すぐに追いかけようと外に向かうが、ガシっと私の左手を掴み外に行くのをラークさんが食い止めた。
「離してください!」
「あなたは僕の事聞きたいはず。邪魔者が勝手にいなくなっていいじゃないですか」
「聞きたい事はあります、でも、今はユーリの事が…」
グイッと腕を引かれラークさんの胸に体を押し込まれた。
「ちょ…」
「こっちで話しましょう」
そのまま私を押しながら店の奥へと誘い、入り口から一番遠い席へと座らせ、逃げれないように向かい側に座りだす。
「さぁ、ゆっくりと話しましょうか。時間はたっぷりあるので。
まずはあなたがブライス=ライオネスの妻だと言うのは本当なんですね。
そして、先程『マリー』と言ってましたがそれはあなたの子、ですよね?どうなんです?」
普段では聞かない低い声でゆっくりと追い詰めるように話し出す。
嘘を言えばすぐにバレると思い、素直にそうだと答えた。
「そうですか…やっぱり。
これで確定ですね、聞いてた話しと合致したので」
「聞いてたって…誰に…」
「さぁ…誰でしょうね?」
「…言ったのだから答えるべきですよね?
なんで答えないんですか?それは卑怯ですよ」
膝に置いた手を握りしめ、私は必死に向かい合うラークさんに対抗しようとしていた。
でも、鼓動は早く、体からは冷や汗がツー…っと流れていく。
「そんな強張っていたら気持ちが持ちませんよ。
なにか飲みましょうか、待ってて下さい」
「いえ!いらないです!」
ダン!っとテーブルを叩きつけ立ち上がると顔を近づけてきた。
「素直に従ったほうがいい。男の力に勝てる訳なんてないのだから。
もし、準備している時に逃げたら、消えない傷を負わせますよ?」
私に忠告する目は冷酷で冷たい。
その目に私は重ねてしまった…ブライスの事を…。
私達に怒鳴り散らした後は厨房へと向かっていった。
すると今まで外にいたユーリがいつの間にか私の前を通り過ぎていき、同じように厨房へと向かっていった。
「ユーリ」
私はすぐに声を掛けると、一瞬足を止めたが、こちらを見ずに進んで行ってしまった…。
「はは、どうやらユーリさんに見放されたみたいですね、リーネさん」
「…ユーリ」
その後…
店を準備し、開いたが昨日のようにお客が来る事は無かった。
来る時はあれ程天気が良かったのに、周りが暗くなってきたと思ったらすぐに雨が降り出したせいもあるのだろう。
外は人通りも少なくなっており、私達は店で時間を持て余してしまっていた。
「来ないですね。開いていても意味がない」
ボソリと言うとラークさんは厨房へと向かいなにやらフリックさんと話し込んでいる様子だ。
今なら話せる!と思い、私も厨房へと行き、一人になっているユーリに近づいていくが…。
「…リーネ、近寄らないで」
「どうして…?」
「いいから」
話しかけないで欲しいという雰囲気を醸し、私が近づくのを拒否していく。
そればかりか逃げるように店の奥へと行ってしまった…。
「なんで…?」
ポツンと残された私は立ち尽くしているとラークさんが
戻ってきて厨房にいる私に話し出してきた。
「フリックさんも閉めてもいいと言うから閉めます。
手伝って下さい、リーネさん」
その言葉に私はなにも反応しなかった…。
頭の中はユーリに拒否された事でいっぱいだったから。
「リーネさん?」
ハッとして我に戻ると、首だけ縦に振っていた。
「じゃあな。後はしっかり閉めておけよ、ラーク!」
数時間で店を閉店し、残されたのは私とラークさん、そして店の奥に行ってしまったユーリのみ。
すると厨房から出てきたユーリは私に話す事なく、店を後にしようとしていた。
「ちょっと、ユーリ。待ってよ」
「リーネ…マリーの事は見ておくから…じゃあ…」
そういうと雨が降り続く外に駆け出していった。
すぐに追いかけようと外に向かうが、ガシっと私の左手を掴み外に行くのをラークさんが食い止めた。
「離してください!」
「あなたは僕の事聞きたいはず。邪魔者が勝手にいなくなっていいじゃないですか」
「聞きたい事はあります、でも、今はユーリの事が…」
グイッと腕を引かれラークさんの胸に体を押し込まれた。
「ちょ…」
「こっちで話しましょう」
そのまま私を押しながら店の奥へと誘い、入り口から一番遠い席へと座らせ、逃げれないように向かい側に座りだす。
「さぁ、ゆっくりと話しましょうか。時間はたっぷりあるので。
まずはあなたがブライス=ライオネスの妻だと言うのは本当なんですね。
そして、先程『マリー』と言ってましたがそれはあなたの子、ですよね?どうなんです?」
普段では聞かない低い声でゆっくりと追い詰めるように話し出す。
嘘を言えばすぐにバレると思い、素直にそうだと答えた。
「そうですか…やっぱり。
これで確定ですね、聞いてた話しと合致したので」
「聞いてたって…誰に…」
「さぁ…誰でしょうね?」
「…言ったのだから答えるべきですよね?
なんで答えないんですか?それは卑怯ですよ」
膝に置いた手を握りしめ、私は必死に向かい合うラークさんに対抗しようとしていた。
でも、鼓動は早く、体からは冷や汗がツー…っと流れていく。
「そんな強張っていたら気持ちが持ちませんよ。
なにか飲みましょうか、待ってて下さい」
「いえ!いらないです!」
ダン!っとテーブルを叩きつけ立ち上がると顔を近づけてきた。
「素直に従ったほうがいい。男の力に勝てる訳なんてないのだから。
もし、準備している時に逃げたら、消えない傷を負わせますよ?」
私に忠告する目は冷酷で冷たい。
その目に私は重ねてしまった…ブライスの事を…。
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