上 下
18 / 25

想い

しおりを挟む
まだ、調子の戻らないエリックは葵の部屋で休ませた。
葵はスマホを取り出すと電話を掛けた。

「ああ、アレク?葵だけど。」

『アオイ?悪い連絡遅くなって。レインだが日本に出国してた。』

「そうみたいね。ありがとう調べてくれて。後、もう一つお願いがあるんだけど・・。」

『お願い?』

「エリックの交友関係を調べて、ソフィアって女の子を保護してほしいの。多分レインの部下が彼女を見張ってるから。」

『わかった。ソフィアだな?早急に調べて保護するよ。そっちは大丈夫なのか?』

「問題ないわ。忙しいのにごめんね?」

『何言ってる?アオイの為だ、協力は惜しまないよ。』

「ありがとう。」

電話を切ると一つため息をついた。
樹と電話をしていた司が戻ってきた。

「樹何だって?」

「ああ、調べてくれるってさ。」

「そっか。・・・。」

「葵?さっきのエリックとの話だけど。」

「?」

「嬉しかった。心が俺と一緒に居たいって言ってくれた事。」

「・・・。」

頬が内側から熱くなる。
咄嗟に視線を逸した。

「エリックを納得させる為よ・・。」

司は後ろから葵を抱きしめた。
首筋に顔を埋めた。甘い香りに目眩がしそうだった。

「っ・・・。」

「それだけ?俺を認めてくれたんじゃないの?」

(そんなの聞くなんてズルい・・。)
精一杯の強がりを言う。

「それだけだよ。」

抱きしめる腕に力を込めた。

「俺は葵を残して死んだりしない。一人ぼっちになんてさせない。葵の涙を拭うのは俺でありたいし、笑わせるのも俺でありたい。」

「司・・。」

「それは、きっとエリックも同じなんだろうな?ソフィアさんを幸せにしたいって気持ちが。だから、好き合ってるのに別れるなんて絶対駄目だ。どんな人間にだって平等に幸せになる権利はある。だから、どんな事をしても守らないとな?」

「うん。そうだね・・。」

腕の力を緩めると葵と向き合った。
葵の髪を梳くと一筋耳に掛けた。長い指が耳を掠めた。

「っ・・・。」

何故か今日の司からは色香を感じる。

「どんな事になっても私を信じて?必ずエリックとソフィアさんは守るから。」

「・・・。わかった。葵を信じるよ。」

「ありがとう。」

司はもう一度葵を抱きしめた。

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

夫は親友を選びました

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:42,354pt お気に入り:558

貴方達から離れたら思った以上に幸せです!

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:207,227pt お気に入り:12,439

本当は、愛してる

恋愛 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:12

近親相姦してしまいました。

BL / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:2

人間寸劇

青春 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

処理中です...