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第1章 巻き込まれ召喚と国外追放
#1 巻き込まれ召喚
しおりを挟むアルファポリス初投稿です。同名義でなろうやカクヨムにも投稿しています。今まで書いてきたものの集大成になったら良いなと思います。
応援とかいただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。
◼️
神奈川県にほど近い東京都西部の自然も多く残るその場所で大きな音が響いた。
ぶるるるっ!!
ぱぱんっ、ぱぱんっ!!!ぱぱぱぱぱっ……。
エンジンを始動させたチェーンソーがけたたましい音を立てる。
「よし!無事に動く。明日はコレ持ってなんでも屋だ」
とある金曜日の午前九時半過ぎ…、俺…加代田敏夫二十歳は店舗兼住宅に隣接する駐車場で明日使う商売道具の点検をしていた。
「明日は伸び過ぎた庭木の伐採…と」
そんな独り言を言いながら駐車場に止めた白い軽トラに次々と必要になるであろう道具を積んでいく。#加代田商店_かよだしょうてん__#と車体の両側面に書かれたこの愛車は俺の大切な相棒だ。
加代田商店はウチの屋号、周りのあまり都会らしくない風景にマッチした昭和レトロな外観を持つこの店は俺の自宅兼仕事場だ。元々は先祖の代から続く酒屋、祖父母の代からは酒だけでなく日頃使う物も置くようになった。いわゆる万屋というやつで今風に言えばコンビニみたいな感じだろうか。
この店の前を走る道はすぐ近くにある九頭竜高校から最寄り駅を結ぶ最短ルート、朝ともなれば多くの高校生が通る。しかし残念ながらこの九頭竜高校、『クズ高』という不名誉な別名も持ち合わせている。それは偏差値があまり高くない事、さらには素行不良の生徒が少なくない事も影響していた。
「つーかよ、マジありえなくねー?」
そんなやりとりとゲラゲラと品の無い笑い声が近づいてくる。九頭竜高校には真面目な生徒もいる。だが、近づいてきているのは不名誉な方の生徒達のようだ。
時刻から考えればとうに遅刻である。しかし彼らに焦りの表情や申し訳なさは見受けられない。そういうところが九頭竜高校の悪評につながるのだ。
「あー、ちっとそこの店でなんか見てかねー?」
男子生徒の声がした。ああ、荷物積んでるところなのに…、でも店番しとかないとコイツら何するか分からんからな。仕方がないので店に戻る事にした、…その時である。
「う、うおっ!?う、動けね…」
「な、何よコレェ!?」
駐車場から店に戻ろうとした俺がチラリと横に視線を走らせると歩道には四人組の高校生がいた。男二人、女二人、だらしなく着崩した制服は見慣れた九頭竜高校の物に間違いない。髪色は派手だし、よくこんなのが退学にならないもんだと逆に感心する。
「吸い込ま…れ…」
思わず自分の目を疑った。歩道の上には魔法陣というやつだろうか、それが浮かび上がっている。それだけてはない、その上にいる九頭竜高校の四人組が魔法陣に吸い込まれていくのだ。足首…膝…、アリ地獄に飲み込まれていくようにその体が沈んでいく。
「助け…」
そんな声を残し四人は地中に消えた、…まるで引きずり込まれるように。
「な、なんだ…?こんな…真っ昼間から…」
俺は思わず彼らが姿を消した歩道に進み出た。好奇心、あるいは怖い物見たさ、その程度の気安いものだった。だが、次の瞬間には早くも俺はその迂闊な行動を後悔する。
「う、うわあっ!?」
悲鳴が口から洩れた。ガッシリと足首を掴まれるような感覚、逃げ出したくとも地面から足が離れず動かす事ができない。そして体が地面に引き込まれ始めた、視界が徐々に下がっていく。
その現象からなんとか逃れようと必死に身をよじり手を伸ばそうとするが沈み始めた体は無情にも足首…膝…腰…胸と地面に飲み込まれていく。どうにもならない無力な感覚、そして完全に地面に飲み込まれると視界は完全に真っ暗になった。
そして始まる体が落下していくような感覚、覚えているのはここまで。なぜなら俺は意識をすぐに手放してしまったからだ。
……………。
………。
…。
頬に冷たい感覚を感じた。
体に感じる感覚から何か硬い…、石の床のような所にうつ伏せに倒れているのを直感する。
「う…」
俺は目を開け顔を上げる、そこは真っ白な空間であった。
「ここは…?」
体を起こす、特に怪我は無いようだ。
「ようやくお目覚めかな?予定外クン」
妙に鼻につく、そんな男の声がした。
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