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第4章 このアイテムがすごい!そしてロゼも凄い!
#45 その剣で…私を殺すの?
しおりを挟む「そこ…、見ているの…?」
少女の声が響いた。
本来ならこの星幽の黒剣が安置されている部屋には少女が今いる通路からやってくるしかない。
しかし、俺は創造の能力を使って出来た銅のピッケルのおかげで裏側からやってきた。おかげで俺達はこの少女とやり合わずに済んだのだが…。
「どうするニャ…?カヨダ」
ミニャが小さな声で言った。
「逃げるか…、いや…」
それは厳しそうだ。相手は宙に浮いているし、殴りかかったジュライとかいうヤツに女二人…おまけに勇者と騎士達を一掃したあの時は一瞬姿を消しいきなり他の場所に現れた。瞬間移動みたいなものだろうか、そう考えると逃げ切るのは難しいだろう。
ミニャは少女の気配が分かるような口ぶりだったが俺にはサッパリ分からない、ロゼはどうなんだろうか?いや、気配が察知できても対応が間に合うか、こちらの攻撃が通用するかは別の話だ。一方的にやられてしまうかも知れない。
「話し合い…しかないか」
俺は思わず呟いた。
「話し合い?」
ロゼが俺に視線を向けた。
「ああ。あちらさんはさっき瞬間移動みたいな事をしていた。その気になればこの部屋に瞬間移動してきたり、それこそ不意打ちしたり出来たかも知れない。それを話しかけてきた、交渉の余地はある気がしてな」
「ボクもそれで良いと思うニャ。相手の手の内も分からニャいし、戦いになったらカヨダを守り切れるか分からニャい」
「私はカヨダに従う」
二人の仲間は話し合いをすると言う俺の意見に応じてくれた。
「よし、それなら話し合いをしよう。ミニャ、猫の爪の刃を収めてくれ」
「分かったニャ」
がちゃんっ!!
ミニャが右手に装備している拳頭から伸びた三本の爪が手甲部分に後退した。ネコクローを最初に作った時は単純に籠手の先に爪をくっつけた物だったが、これだと街中などではネコクローを腕から外さないといけない。そうでなければ街中で爪を出したまま…、これじゃあ刃物を抜いて街を歩いているような物だ。なので俺は一工夫してネコクローの爪部分を出し入れできるようにしたのだ。
今もこれから話し合いをしようと言うのだ、爪を出したままでは何かと具合が悪い。ミニャが爪を引っ込めたのを確認し、自分も星幽の黒剣を鞘に収めると俺は扉の向こうに大きな声を上げた。
「ああ、見ていた。こちらとしては争うつもりはない」
「中に…いる」
ごっ!!がああああんっ!!
両開きの扉が開き始めた、こちら側に開いてくる。自然と俺達は後ろに下がる形になる。
「ッ!!」
扉が開かれ互いの姿があらわになる、こちらの姿を見た少女の顔が強張るのが分かった。緊張感が走る。
失敗したかな、そんなふうに思った。この扉の左右、向こうから死角になる位置にミニャかロゼにいてもらえば…。万が一の場合に不意をつく事が出来たかも知れない。それをしなかったのは明らかに失策だったかも知れない。
ふわり…、ふわり…。
少女は変わらず浮遊している。そしてしばらくすると口を開いた。
「その剣で…私を殺すの?」
まっすぐな目で少女はこちらに尋ねたのだった。
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