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第4章 このアイテムがすごい!そしてロゼも凄い!
#46 守護者の少女
しおりを挟む「その剣で…私を殺すの?」
少女はまっすぐにこちらを見て言った。
ふわり…、ふわり…。
静かに浮遊し彼女はこちらの返事を待っている。
「なぜ…そう思うんだ?」
俺は尋ねた。
「その剣を持っているから」
俺が持っている星幽の黒剣に視線を向けて彼女が応じた。
「それは霊体に対して絶対の武器。抗おうにもその剣は持ち主を霊体からの攻撃に関して完全に防ぐ…」
「つまり俺は君に対して無敵って事か?」
「そういう事…」
「なら、別に敵対しなくても…」
「霊体を持つ者は魔力の密度が高い。それゆえ狙う者も多い」
「なぜそれで狙うんだ?」
先程見た少女の戦いぶりを見ればとても強い事がよく分かる。しかも使っていた魔法は攻撃の為のものではないらしいから仮に攻撃用のものだったなら…、とんでもない事になったのは容易に想像がつく。
「分かったニャ!モンスターは魔素を体に取り込んで魔石を形作るニャ!でも、ゴーストみたいな霊体のモンスターを倒すと純度が高い魔石とかそれより上位の…、魔水晶が手に入る事もあるニャ。それはギルドで魔石よりずっと高値で引き取られるのニャ!」
「霊体のモンスターからは肉や毛皮が手に入らない。代わりに高純度の魔石が手に入りやすい」
ミニャとロゼが理由を推察した。
「なるほど、その高値になりやすい魔石や魔水晶を手に入れる為に殺されると思ったのか…」
少女は静かに頷いた。
「俺は君を殺す気はない、こうして話し合う事も出来るんだから。それにここから逃げたって良いじゃないか、殺されるくらいなら逃げた方が…」
「…出来ない」
「えっ?」
「もともとこの場所には宝を守る守護者として精霊界から召喚された。それゆえ私はここから離れる事が出来なかった。私がここから離れる時が来るとすれば殺された時だけ…。しかしあなたはその剣を手にしてしまった、私を殺す事なく…。死なずには済んだけど今はその剣の所有者となったあなたから離れられない」
「あ~、もしかするとカヨダが裏側からこの部屋に来てお宝を手に入れちゃうニャんて事をしたから…」
「想定外」
少女の言葉にミニャとロゼが応じた。
「私はどうしたら良い?」
少女が俺に問いかけてきた。
「その剣がある限り私はあなたから離れられない。どこに行こうともついていく事になる。ここに来て他に何もしてこなかった、これから何をしたら良いのかも分からない」
「なら、ついてくれば良いじゃないか」
「………?」
「ニャ?」
「カヨダ?」
三人がこちらを見た。
「君は俺達と争う気持ちも理由も無いんだろう?」
「無い」
「なら俺達は危害を加えられる事はない。俺もこうして話が出来る相手を傷つけたくはないし、恨みがある訳でもない。争ったって訳でもないしな。…君はどうする?」
俺は目の前の少女をまっすぐに見て言った。彼女は少し間をおいてから口を開いた。
「…ついて行く」
「そうか、じゃあこれからよろしくな。俺はカヨダ、え~と…君は?」
「私は闇の精霊」
彼女には名前が無かった。どうやら俺は彼女の呼び方をどうするか、それを考える必要があるらしい。
□
次回予告。
アストラル・スレイヤーを守っていた闇の精霊、彼女こそがこの新エリアのボスだと思っていたのだが実は真のボスは他にいたようで…。
第47話、『真のボスが現れた』。
お楽しみに。
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