最前線攻略に疲れた俺は、新作VRMMOを最弱職業で楽しむことにした

水の入ったペットボトル

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第100話

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「ご馳走様でした」
「クゥ」「アウ」「……!」

 皆で美味しくフルーツと焼き芋を食べたあと、お供え物の果物籠を取りに行く。

「たぶんなくなってるよな? お、やっぱりなくなってる。ちゃんと食べてくれたってことだと良いな」

 ウル達と食べている間に果物籠の中身もなくなっていたため、これは気に入ってくれたと考えて良いだろう。

「あれ、これはなんだ?」

 果物籠の中に入っていた石を手に取った瞬間地面が揺れ始めた。

 ゴゴゴゴ、ゴゴゴ、ゴ……

「おぉっ」
「クゥ!」「アウ!」「……!」

 少し揺れたがすぐに揺れは収まったので、まずはウル達の安全を確かめる。

「大丈夫だったか?」
「クゥ!」「アウ!」「……!」

 3人とも大丈夫で、むしろ今の揺れは何だったのかとお墓の周りを調べだした。

「揺れたのはこの石を取ってからだよな」

 手に持っている石をもう一度よく見ると、青く光っていた。

「クゥ!」「アウ!」「……!」
「どうした?」

 ウル達が俺を呼びに来たかと思えば、歩くのを急かしてくる。

「分かった分かった。ちゃんと行くから」
「クゥ!」「アウ!」「……!」

 そして案内された場所には、暗くて先が見えない穴があった。

「さっきはなかったよな」
「クゥ」「アウ」「(コク)」

 てことは、あの揺れで開いたってことか。

「よし、十分注意して行こう」
「クゥ!」「アウ!」「……!」

 穴の中に入ってみると意外と周りが見えたため、俺の照明の範囲に居るようにしていた陣形から普段の陣形へと戻ってもらった。

「ん? 水の音か?」

 少し進むと水の流れる音が聞こえはじめ、奥の空間が青く光っている。

「エメラの時と同じだな」
「……?」

 青く光る奥の空間に行くと、そこは天井から壁伝いで水が流れている空間で、真ん中には石をはめる石の台座と、透き通った綺麗な水が湧き出ている泉があった。

「よし、じゃあこの石をはめるぞ」
「クゥ!」「アウ!」「……!」

 果物籠に入っていた青い石を石の台座にはめた瞬間、空間の全ての水が泉に向かって流れ始める。

「もし俺達も流されそうになったら、ウルの氷魔法でどうにかしてくれ!」
「クゥ!」

 足元の水も泉に向かって流れていくので、皆で固まって流されないように耐える。



「終わりかな?」

 先ほどとは違い、泉には上から大量の水が流れ落ちて、台座の前だけ人1人通れるくらいのスペースがあり奥に道が続いている。

「ウルはあそこを通れないだろうし、皆はここで待ってて」
「クゥ」「アウ!」「……!」

 ウルだけ残していくわけにもいかないし、ルリかエメラのどっちかを連れてくのもなんか違うような気がしたため、皆で残ってもらう。
 ウルは申し訳なさそうにしているが、他の2人は気にしてなさそうなので良かった。

「あ、タマゴだ」

 水の通り道を降りた先は泉の中の空間で、周りの水の中には剣や盾等の武器が浮かんでいる。
 そして俺はまたその中でタマゴが選ばれたのか、正面にはとってくれと言わんばかりの場所にタマゴが浮かんでいた。

「これ取ったからって急に水が流れてきたりしないよな?」

 俺は不思議な力のおかげで水の中に居るが、タマゴを取ってすぐに水が落ちてくるとかだったらヤバい。

「まぁ取り敢えずありがたくタマゴはいただきますか」

 水の中に手を入れタマゴを受け取るが、急にこの空間が崩れるようなことはなかった。

「でも怖いしさっさと戻ろう」

 階段を駆け上がり、早足で水の通り道を抜ける。

「クゥ!」「アウ!」「……!」
「ただいま。タマゴがあったからもらってきた」
「クゥ!」「アウ!」「……!」
「うぉっ」

 ザッバーーーーンッ、パラパラパラ……

 無事に帰れたのでウル達に声をかけた瞬間、後ろから物凄い音が聞こえたかと思えば、さっきまで通ることが出来た道は消え、最初に来た時と同じ状態に戻っていた。

「取り敢えず身体は拭こうか」
「クゥ」「アウ」「……!」

 ウルは全身を震わせて水を飛ばしているが、俺も含めた他の3人はそんなことできないので、大人しくタオルで拭く。

「じゃあこのタマゴの進化は絶対にしたいから、皆頼む」
「クゥ!」「アウ!」「……!」

 いつものようにタマゴを進化させるため、皆にはモンスターを倒してもらい、俺はタマゴを抱えて皆についていく。

《あなたのタマゴが進化しました》
《あなたのタマゴが進化しました》
《あなたのタマゴが進化しました。これ以上進化する事はありません》

 よし、これでタマゴの進化は終わった。

「一旦あのお墓の前に戻ろうか」
「クゥ!」「アウ!」「……!」

 一応村に帰っても良かったのだが、なんとなくお墓の前が良いだろうと思いまた戻る。

「じゃあ孵化させる前に、一応聞いておきたいことがある」
「クゥ?」「アウ?」「……?」
「皆はあの新しい道っていう魔獣用アイテムは使いたいか?」
「クゥクゥ」「アウアウ」「……(ふるふる)」

 みんな別に使いたくはなさそうだ。

「じゃあ今回はこのタマゴの子に使ってみてもいいか?」

 なんとなく、本当になんとなくこのアイテムはタマゴの子に使ってあげるのが良い気がしたのだ。

「クゥ!」「アウ!」「……!」
「ありがとう。じゃあまずは本人の意思を聞くためにも孵化させないとな」

 俺はタマゴに手を置き、テイマースキルの孵化をこのタマゴに使う。

「コン」
「お、狐か?」

 タマゴから出てきたのは狐のようなモンスターで、特徴として尻尾が3つある。
 白い身体に赤の模様が入っているが、もしかしたら火魔法を使うのかもしれない。

「んー、きつね、コン、フォックス、なんだろうな」

 なかなか名前が思い付かないが、もう白い身体だからシロでいいか。

「よし、名前はシロだ」
「コン!」
「クゥ!」「アウ!」「……!」

《ユーマのレベルが上がりました》

 早速シロのステータスを見せてもらう。

名前:シロ
レベル:30
種族:妖狐
パーティー:ユーマ、ウル、ルリ、エメラ、シロ
スキル:聡明、成長、インベントリ、『妖狐』『火魔法』
装備品:なし

妖狐:変身、妖術、魔力の陣
火魔法:初級

「なるほど、妖狐だったのか」
「コン」

 おそらくこの感じだと後衛として動いてもらうことになるだろうが、火魔法が初級というのは少し気になるな。

「まぁいいや、早速なんだけどシロってこのアイテムを使う気はない?」
「コン!!」
「おおっ、分かった分かった」
「コンコン!」
「すぐ使うから待って」

 今すぐに使ってくれという意思を示してきたので、魔獣用アイテムの新しい道をシロに使ってやる。

「よしこれでいいか?」
「コン!」
「え! シロって今から進化するのか?」
「コン!」

 まさかタマゴから孵ったばかりのモンスターがすぐに進化するとは思わなかった。

「まぁいいや、皆で待とうか」
「クゥ!」「アウ!」「……!」

 そしてしばらくするとシロの進化が終わったのでもう一度ステータスを見せてもらうことにする。

「またステータスを見せてもらうぞ。あとほんの少しだけ余ってると思うから、ウル達に好きなフルーツ貰って食べてて。肉か魚なら数があるから、そっちは好きなだけ食べて良いぞ。皆! シロにご飯あげてやってくれ」
「コン!」「クゥ!」「アウ!」「……!」

 シロは皆に色々な食べ物を渡されて、どれから食べようか迷っている。

「その間に見るとしますか」

名前:シロ
レベル:30
種族:善狐
パーティー:ユーマ、ウル、ルリ、エメラ、シロ
スキル:聡明、成長、インベントリ、『善狐』『水魔法』
装備品:なし

善狐:人化、守りの御札、治癒の陣、『妖狐』
水魔法:上級

「身体が白色ベースなのは変わらないけど、それ以外は全く違うな」
「コン!」

 さっき赤い色の模様だったものが全て青になり、身体も少しだけ大きくなったようだ。

「スキルが回復よりになったし、何よりも進化で魔法が変わるなんてことは基本的に起こらないと思うから、新しい道の効果が分かりやすい形で出た気がする」
「クゥ!」「アウ!」「……!」「コン!」

 シロがもう食べ終わったのか、魔獣達は皆で遊び始めた。

「これはもううちの大事なメインヒーラーかな?」

 俺達はウル以外何らかの回復手段を持っていて、俺は魔獣ヒール、ルリは超回復、エメラは樹の癒やし、そしてシロが治癒の陣を使える。
 もちろん自分に使うことができない、もしくは自分にしか使うことが出来ない等の条件付きな部分もあるが、回復手段が多いのは良いことだ。

 この先シロがヒーラーとして成長していくのかは分からないが、おそらく30レベルで出た治癒の陣はなかなか回復スキルとしては優秀なものだと思われる。
 なので少なくとも次の進化で誰かが回復系のスキルを取らない限りは、シロがヒーラーとしてこのパーティーを支えることになるだろう。

「ていうか聡明ってもう絶対賢いじゃん」
「コン」
「どう役に立つのかは分からないけど、ウルの勤勉とかとタイプは似てそうかな? いや、ルリの忍耐に近い可能性もあるか」

 難しい状況でも的確な判断や行動を取れるというスキルかもしれないし、単純に知力値に影響を与えて魔法の火力が上がったり、回復量が上がったりするのかもしれないし、そのどちらもという可能性もある。

「なんとなくシロの事は分かったし、取り敢えずまずは村に帰って、あのボスを倒したことをモルガに報告するか」

 こうして俺達はまた村へと戻るのだが、その間にもシロの変身や人化、魔力の陣や治癒の陣を見せてもらい、皆でその能力に驚くのだった。


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