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2-3 Cheat Code
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スタークがストーカーのようにアウロラに近寄った理由は、助けようとしたから?あの場を見る限り、そう思える部分は無い。疑問だけが流雫の脳を支配する。
「でも池袋で見たのは……」
「確かに強引だったとは、死ぬ前の日に言っていたよ。ただ、ああするしか無かったのも事実だ」
と椎葉は言う。
アウロラのステータスもコーションだった。カテゴリはA6の105、それはAIへの疑念だった。この不可解なカテゴリの実装は、初期の仕様指示から変わらない。
「……今からの話はオフレコだ」
と椎葉は釘を刺す。或る意味ではユーザー……つまりエクシスにとっての顧客の情報を洩らすことになるからだ。一瞬躊躇いもしたが、新宮の誤解を解くためにも必要だと判断した。
「元々、スタークは自分がアラートユーザーだと知っていた。皮肉にもそれが、システムが正常であることを示していた。不正検知システムの開発者として、大仕事を正しく成し遂げた証拠だ」
大学時代からスタークの名前でゲームを楽しんでいた新宮は、大胆なプレイが持ち味だった。それが過激になったのは、EXCのリリース直後だった。
ゲームプレイに直接関与しない部分とは云え、自分が携わったMMOで遊ぶことは一際面白い。だが同時に、AIが全てに対して公平であることを望んでいた。だから、自ら自分が開発したシステムに挑んでいた。
「あいつはアドミニストレータAIを批判していた。尤もな話だ。初期の学習データに、AIへの批判をコーション対象とするセットが組まれていたんだからな」
と言い、椎葉はスタークと働いていた頃を思い出す。数ヶ月前の話なのに懐かしく感じるのは、彼が既にいないからか。
UACが、AIが社会の中枢に鎮座する原作アニメの世界観に寄らせるため、エクシスのエグゼコード開発部隊に追加の学習データセットの作成を指示した。それがEXC開発部隊に渡され、椎葉とは別のエンジニアが実装に携わった。
「AIへの批判専用のモラルハザードの実装は、リリース後に知った。あくまでもUACの指示だから、今後も変えられないが」
「美浜さんには教えられていなかった……?」
「リリース直前、オペレータAIの大掛かりなバグフィクスのサポートに回ったことが有る。件のセットはその時に回ってきたようだ。俺の目に留まると面倒、そう思ったんだろうな」
と言った椎葉は、PCの画面に目を移して続ける。
「あいつがAIに挑戦するようになったのは、その時からだ」
自分のプレイにコーションが掛かるのか、その境界線は何処なのか。新宮はその点を見極めようと、時々椎葉にステータスを見せるよう頼んでいた。
「あいつはアウロラを気に懸けていた。AIによって削除されたが、アウロラはSNSでバッシングを受けていた。大手コミューンのアルバが壊滅したことは、アウロラが原因だと因縁を付けている連中がいる」
と言って、椎葉は溜め息をつく。これから先は、センシティブな話だからだ。
「……アルバのメンバーの1人が、イベントでアウロラをナンパした。だが拒否された。その報復として、コミューン壊滅を機にアウロラが通報してこう云う事態になったと、フォロワーに吹聴したんだ」
「それ、単なる逆恨みじゃないか……!」
と流雫は怒り交じりの声を上げる。しかも、ナンパの拒否が理由とは。開いた口が塞がらない、とはこの時のために存在する言葉だと思った。
「逆恨みでしかないが、それがカリスマの発言力だ。信者にとっては、真相など二の次だ。それで彼女はバッシングを受けていた。スタークはそのことを知ると、彼女を助けようと画策した」
「……アルバが壊滅した真相は……?」
「メンバーの全員が、チートコードを使っていたことが判明したからだ。プログラム上の不審な挙動が不正検知システムに引っ掛かり、チートが確定した段階でエグゼキュータが発動した。制裁は当然の報い、その一方で処刑までする必要が有ったのか、あいつは疑問に思っていたが」
「アルバにとっては自業自得。しかしスタークは、自分が開発したシステムで結果的にアウロラさんを苦しめたと……?」
と言った流雫に、椎葉は頷く。
「だからあいつはアウロラに近寄った。EXCのイベントにアルバの連中がいることは判っていたし、アウロラがイベントに行くのもSNSで知った、だから先回りした。自分が絡んでいれば、連中はアウロラには近寄れないと踏んだ」
「……あの日、アウロラさんとスタークを引き離したのは僕だ。でもあれじゃ端から見ても……」
と言った流雫は、あの咄嗟の判断が今となっては間違いだったと思った。そう云う経緯を知らないから、間違いも何も無いのだが。
「一連の経緯を話すワケにはいかない。センシティブな部分が絡む上、他のプレイヤーに関係者だとバレるのは御法度だ。アルバの連中が自分に意識を向けるための最善策が、君が見たと云うアレだった」
「リアルで起きた問題をゲームに、ゲームで起きた問題をリアルに持ち出すのは言語道断だ。今回の件、元凶はアルバの連中だ、君は何一つ悪くない」
そう言った椎葉は、コーヒーカップを空にする。
「……今話したことが、俺が語れる全てだ」
「サンキュ、美浜さん」
と流雫は言う。センシティブな話も有るが、一度は全て澪に話す必要が有る。オフレコだと釘を刺されたばかりだし、それに対する後ろめたさも有るが、事態が事態だ。
「お前、アルバと云う集団は知ってるか?」
と、常願が愛娘に問うたのは、美雪が浴室に向かったのと同時だった。
「何それ?」
「EXCのコミューンの名だ。土曜日の池袋の事件、犯人も被害者もアルバの連中だ」
と、澪の問いに答える常願。思わず眉間に皺を寄せた澪は問う。
「内輪揉め……?」
「ああ。残念なことに、被害者は今日の夕方、死亡が確認された」
その言葉に、澪は言葉を失う。
「被害者はアルバの中心的人物。犯人はそのメンバーで、一方的な片想いだった。先週末のオフ会で酒の勢いも有ってトラブルになり、追放された恨みから犯行に及んだ」
悠陽の眼前で撃たれたコスプレイヤーがコミューンのマスターだったとは。それ以上に、犯行動機に唖然とする。
「あたしは恵まれてるわ……」
と澪は言った。
流雫と知り合ったのはSNS。半年後の初めてのデートは澪から誘ったが、流石に直前まで不安だった。だが、健全な恋人同士として成立している。それは極めて恵まれていることだ、と澪は思う。
「流雫だけじゃない。結奈も彩花も詩応さんも、あたしの味方。あたしはこの世界で、誰より恵まれてると思うわ」
と言った後で、澪は呟いた。その名前に護られている、それだけは確かなことだと思っていたい。
「美桜さんも」
椎葉と他愛ない話を交わした後で、流雫は自分の部屋に戻る。早速スマートフォンを耳に当てながら、今し方聞いた話を全てノートに走り書きしていく。バレにくいように、全て祖国の言語だ。
「どう信じろと云うの?」
最愛の少女が放った感想は、仕方ないものだった。当然、信じるしかないことは流雫にも判っている。だからこそ、一度はそう口にしなければ気が済まない。
流雫と澪、双方の話で判るのは2つ。悠陽はアルバのメンバーに目を付けられ、スタークが護ろうとしたこと。そしてかつての強力なコミューンが、オフ会を引き金に崩壊していったこと。
だが、スタークの死と悠陽の襲撃は、流石に別物だと思っている。特に後者は、澪が聞いた罵声とSNSでのバッシングが結び付かないのだ。
それと同時に、この短時間でふと思い付いたことが有る。言えば止められることは判っている、しかし言わなければ後で怒る。流雫は言った。
「……僕、澪と伏見さんのフォロー、切る」
「え?」
突然の言葉に、澪の頭に疑問符が付く。
「僕のステータス、アラート寸前らしいんだ。スタークに接触したから。アラートになるとエグゼキュータにキルされ、昨日の僕のようなゾンビが復活する」
「誰がアラートか判らない、でもアラートのユーザーには全否定でないとダメらしい。だから澪は僕とは……」
と続けた流雫の言葉に、澪は
「それ、あたしだって同じじゃない」
と言葉を被せる。
時々出る流雫の弱気は、安全策が複数有る時特有のものだ。他に打つ手が無く、生き死にに直結する時に見せる強さは目を見張るものが有るが、それは単に開き直っているからに過ぎない。ただその全ては、澪が無事であることに帰結する。
「AIが公平なら、流雫と一緒だったあたしのステータスもコーションのハズよ。同じステータスなら、何も怖れなくていいじゃない」
と澪は言い、一度目を閉じる。そして余計な感情を溜め息に乗せて捨てると、言った。
「EXCの世界だろうと、流雫にはあたしがついてる」
何度そう言っただろうか。ただ、何度でも言いたい。リアルでもゲームでも、あたしは絶対的な味方だと。流雫はその言葉だけで、何度でも立ち上がれることを、澪が誰より知っている。
澪から見て、流雫は弱くない。今までも、何度もテロと戦ってきて、決して屈しなかった。諦めなかった。絶望の深淵に沈んでも、微かな希望に手を伸ばし、浮かび上がってきた。
ただ、流雫は本来、自分で強いとは言わない。そうやって生き延びること、そして澪を護ることは当然のことで、特別強いワケじゃない……そう思っている。
強いと自慢しなくていい。ただ、それが当然ではなく、特別なことだとは思ってほしい。彼自身そう言われることを望まないが、流雫はテロと戦う立派なヒーローなのだから。そしてあたしを護る騎士なのだから。
「……アラートになった時は、エグゼキュータを返り討ちにする?」
「あたしたちなら、できるんじゃない?」
と言って澪は笑う。絶対に勝てないようにプログラミングされていても、2人一緒ならそれすら覆せる、そう思える。
「サンキュ、澪」
と言った流雫は目を閉じる。……ここまで知った以上、最早一連の事件からは逃げられない。だから戦うしかない。ゲームの問題をリアルに持ち出される以上、リアルで死なないために。
「でも池袋で見たのは……」
「確かに強引だったとは、死ぬ前の日に言っていたよ。ただ、ああするしか無かったのも事実だ」
と椎葉は言う。
アウロラのステータスもコーションだった。カテゴリはA6の105、それはAIへの疑念だった。この不可解なカテゴリの実装は、初期の仕様指示から変わらない。
「……今からの話はオフレコだ」
と椎葉は釘を刺す。或る意味ではユーザー……つまりエクシスにとっての顧客の情報を洩らすことになるからだ。一瞬躊躇いもしたが、新宮の誤解を解くためにも必要だと判断した。
「元々、スタークは自分がアラートユーザーだと知っていた。皮肉にもそれが、システムが正常であることを示していた。不正検知システムの開発者として、大仕事を正しく成し遂げた証拠だ」
大学時代からスタークの名前でゲームを楽しんでいた新宮は、大胆なプレイが持ち味だった。それが過激になったのは、EXCのリリース直後だった。
ゲームプレイに直接関与しない部分とは云え、自分が携わったMMOで遊ぶことは一際面白い。だが同時に、AIが全てに対して公平であることを望んでいた。だから、自ら自分が開発したシステムに挑んでいた。
「あいつはアドミニストレータAIを批判していた。尤もな話だ。初期の学習データに、AIへの批判をコーション対象とするセットが組まれていたんだからな」
と言い、椎葉はスタークと働いていた頃を思い出す。数ヶ月前の話なのに懐かしく感じるのは、彼が既にいないからか。
UACが、AIが社会の中枢に鎮座する原作アニメの世界観に寄らせるため、エクシスのエグゼコード開発部隊に追加の学習データセットの作成を指示した。それがEXC開発部隊に渡され、椎葉とは別のエンジニアが実装に携わった。
「AIへの批判専用のモラルハザードの実装は、リリース後に知った。あくまでもUACの指示だから、今後も変えられないが」
「美浜さんには教えられていなかった……?」
「リリース直前、オペレータAIの大掛かりなバグフィクスのサポートに回ったことが有る。件のセットはその時に回ってきたようだ。俺の目に留まると面倒、そう思ったんだろうな」
と言った椎葉は、PCの画面に目を移して続ける。
「あいつがAIに挑戦するようになったのは、その時からだ」
自分のプレイにコーションが掛かるのか、その境界線は何処なのか。新宮はその点を見極めようと、時々椎葉にステータスを見せるよう頼んでいた。
「あいつはアウロラを気に懸けていた。AIによって削除されたが、アウロラはSNSでバッシングを受けていた。大手コミューンのアルバが壊滅したことは、アウロラが原因だと因縁を付けている連中がいる」
と言って、椎葉は溜め息をつく。これから先は、センシティブな話だからだ。
「……アルバのメンバーの1人が、イベントでアウロラをナンパした。だが拒否された。その報復として、コミューン壊滅を機にアウロラが通報してこう云う事態になったと、フォロワーに吹聴したんだ」
「それ、単なる逆恨みじゃないか……!」
と流雫は怒り交じりの声を上げる。しかも、ナンパの拒否が理由とは。開いた口が塞がらない、とはこの時のために存在する言葉だと思った。
「逆恨みでしかないが、それがカリスマの発言力だ。信者にとっては、真相など二の次だ。それで彼女はバッシングを受けていた。スタークはそのことを知ると、彼女を助けようと画策した」
「……アルバが壊滅した真相は……?」
「メンバーの全員が、チートコードを使っていたことが判明したからだ。プログラム上の不審な挙動が不正検知システムに引っ掛かり、チートが確定した段階でエグゼキュータが発動した。制裁は当然の報い、その一方で処刑までする必要が有ったのか、あいつは疑問に思っていたが」
「アルバにとっては自業自得。しかしスタークは、自分が開発したシステムで結果的にアウロラさんを苦しめたと……?」
と言った流雫に、椎葉は頷く。
「だからあいつはアウロラに近寄った。EXCのイベントにアルバの連中がいることは判っていたし、アウロラがイベントに行くのもSNSで知った、だから先回りした。自分が絡んでいれば、連中はアウロラには近寄れないと踏んだ」
「……あの日、アウロラさんとスタークを引き離したのは僕だ。でもあれじゃ端から見ても……」
と言った流雫は、あの咄嗟の判断が今となっては間違いだったと思った。そう云う経緯を知らないから、間違いも何も無いのだが。
「一連の経緯を話すワケにはいかない。センシティブな部分が絡む上、他のプレイヤーに関係者だとバレるのは御法度だ。アルバの連中が自分に意識を向けるための最善策が、君が見たと云うアレだった」
「リアルで起きた問題をゲームに、ゲームで起きた問題をリアルに持ち出すのは言語道断だ。今回の件、元凶はアルバの連中だ、君は何一つ悪くない」
そう言った椎葉は、コーヒーカップを空にする。
「……今話したことが、俺が語れる全てだ」
「サンキュ、美浜さん」
と流雫は言う。センシティブな話も有るが、一度は全て澪に話す必要が有る。オフレコだと釘を刺されたばかりだし、それに対する後ろめたさも有るが、事態が事態だ。
「お前、アルバと云う集団は知ってるか?」
と、常願が愛娘に問うたのは、美雪が浴室に向かったのと同時だった。
「何それ?」
「EXCのコミューンの名だ。土曜日の池袋の事件、犯人も被害者もアルバの連中だ」
と、澪の問いに答える常願。思わず眉間に皺を寄せた澪は問う。
「内輪揉め……?」
「ああ。残念なことに、被害者は今日の夕方、死亡が確認された」
その言葉に、澪は言葉を失う。
「被害者はアルバの中心的人物。犯人はそのメンバーで、一方的な片想いだった。先週末のオフ会で酒の勢いも有ってトラブルになり、追放された恨みから犯行に及んだ」
悠陽の眼前で撃たれたコスプレイヤーがコミューンのマスターだったとは。それ以上に、犯行動機に唖然とする。
「あたしは恵まれてるわ……」
と澪は言った。
流雫と知り合ったのはSNS。半年後の初めてのデートは澪から誘ったが、流石に直前まで不安だった。だが、健全な恋人同士として成立している。それは極めて恵まれていることだ、と澪は思う。
「流雫だけじゃない。結奈も彩花も詩応さんも、あたしの味方。あたしはこの世界で、誰より恵まれてると思うわ」
と言った後で、澪は呟いた。その名前に護られている、それだけは確かなことだと思っていたい。
「美桜さんも」
椎葉と他愛ない話を交わした後で、流雫は自分の部屋に戻る。早速スマートフォンを耳に当てながら、今し方聞いた話を全てノートに走り書きしていく。バレにくいように、全て祖国の言語だ。
「どう信じろと云うの?」
最愛の少女が放った感想は、仕方ないものだった。当然、信じるしかないことは流雫にも判っている。だからこそ、一度はそう口にしなければ気が済まない。
流雫と澪、双方の話で判るのは2つ。悠陽はアルバのメンバーに目を付けられ、スタークが護ろうとしたこと。そしてかつての強力なコミューンが、オフ会を引き金に崩壊していったこと。
だが、スタークの死と悠陽の襲撃は、流石に別物だと思っている。特に後者は、澪が聞いた罵声とSNSでのバッシングが結び付かないのだ。
それと同時に、この短時間でふと思い付いたことが有る。言えば止められることは判っている、しかし言わなければ後で怒る。流雫は言った。
「……僕、澪と伏見さんのフォロー、切る」
「え?」
突然の言葉に、澪の頭に疑問符が付く。
「僕のステータス、アラート寸前らしいんだ。スタークに接触したから。アラートになるとエグゼキュータにキルされ、昨日の僕のようなゾンビが復活する」
「誰がアラートか判らない、でもアラートのユーザーには全否定でないとダメらしい。だから澪は僕とは……」
と続けた流雫の言葉に、澪は
「それ、あたしだって同じじゃない」
と言葉を被せる。
時々出る流雫の弱気は、安全策が複数有る時特有のものだ。他に打つ手が無く、生き死にに直結する時に見せる強さは目を見張るものが有るが、それは単に開き直っているからに過ぎない。ただその全ては、澪が無事であることに帰結する。
「AIが公平なら、流雫と一緒だったあたしのステータスもコーションのハズよ。同じステータスなら、何も怖れなくていいじゃない」
と澪は言い、一度目を閉じる。そして余計な感情を溜め息に乗せて捨てると、言った。
「EXCの世界だろうと、流雫にはあたしがついてる」
何度そう言っただろうか。ただ、何度でも言いたい。リアルでもゲームでも、あたしは絶対的な味方だと。流雫はその言葉だけで、何度でも立ち上がれることを、澪が誰より知っている。
澪から見て、流雫は弱くない。今までも、何度もテロと戦ってきて、決して屈しなかった。諦めなかった。絶望の深淵に沈んでも、微かな希望に手を伸ばし、浮かび上がってきた。
ただ、流雫は本来、自分で強いとは言わない。そうやって生き延びること、そして澪を護ることは当然のことで、特別強いワケじゃない……そう思っている。
強いと自慢しなくていい。ただ、それが当然ではなく、特別なことだとは思ってほしい。彼自身そう言われることを望まないが、流雫はテロと戦う立派なヒーローなのだから。そしてあたしを護る騎士なのだから。
「……アラートになった時は、エグゼキュータを返り討ちにする?」
「あたしたちなら、できるんじゃない?」
と言って澪は笑う。絶対に勝てないようにプログラミングされていても、2人一緒ならそれすら覆せる、そう思える。
「サンキュ、澪」
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