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僕の女神
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ぎゃあぎゃあと喚くマリーが衛兵に連れて行かれ、派手な捕り物劇に興奮した野次馬たちが解散する頃、エルウィンの体からやっと緊張が解けた。
するとぐらりと体が傾く。
「エルウィンさんっ!大丈夫ですか!?」
すぐ隣にいたグレンに慌てて支えてくれた。
もしそうでなければ、硬い大理石の床に倒れこんでいたところだった。
「ありがとう…安心したら、気が抜けちゃっただけ」
お礼を言って自分の足で立ち上がろうとしたのに、体が震えてうまく動けなかった。
焦れば焦るほど、立ち方を忘れたように手足が固まる。
どうしよう、このままではグレンに迷惑をかけてしまうのに。
「ご、ごめんなさいっ…すぐに立つからっ…私」
グレンを遠ざけようと、エルウィンは涙目になりながら腕を突っ張る。
しかし逆にその腕にしっかりと抱き止められてしまった。
「グ、グレン?」
「お礼を言うのは僕の方です。エルウィンさんにはいつも助けられてばかりだ」
「そんな…私は何もしてないわ」
結局エルウィンの力は役に立たなかった。
グレンは記憶水晶を持っていたのだから、エルウィンが助けに入らなくてもきちんと身の潔白は証明出来たのだ。
むしろ、事態をややこしくしてしまっただけの気がする。
そう思ってうなだれたエルウィンに、グレンは優しく微笑んだ。
「いいえ。もしエルウィンさんがいなければ、僕は記憶水晶を出す間もなく誰かに取り押さえられていたでしょう。泣いて被害を訴える女性がいるのに、その場で冷静に証拠を出しても信じてもらえなかったかもしれません」
グレンが、エルウィンの目にたまった涙をハンカチで優しく拭いてくれた。
「あなたがああして庇ってくれたから、僕の話を聞いてもらえたんです。やはりあなたは僕の女神だ」
「め、女神?!大げさよ!」
さすがに聞き捨てならない単語が聞こえてきて、エルウィンは慌てて否定する。
びっくりしすぎて、いつの間にか自分の足で立てるようになっていた。
するとぐらりと体が傾く。
「エルウィンさんっ!大丈夫ですか!?」
すぐ隣にいたグレンに慌てて支えてくれた。
もしそうでなければ、硬い大理石の床に倒れこんでいたところだった。
「ありがとう…安心したら、気が抜けちゃっただけ」
お礼を言って自分の足で立ち上がろうとしたのに、体が震えてうまく動けなかった。
焦れば焦るほど、立ち方を忘れたように手足が固まる。
どうしよう、このままではグレンに迷惑をかけてしまうのに。
「ご、ごめんなさいっ…すぐに立つからっ…私」
グレンを遠ざけようと、エルウィンは涙目になりながら腕を突っ張る。
しかし逆にその腕にしっかりと抱き止められてしまった。
「グ、グレン?」
「お礼を言うのは僕の方です。エルウィンさんにはいつも助けられてばかりだ」
「そんな…私は何もしてないわ」
結局エルウィンの力は役に立たなかった。
グレンは記憶水晶を持っていたのだから、エルウィンが助けに入らなくてもきちんと身の潔白は証明出来たのだ。
むしろ、事態をややこしくしてしまっただけの気がする。
そう思ってうなだれたエルウィンに、グレンは優しく微笑んだ。
「いいえ。もしエルウィンさんがいなければ、僕は記憶水晶を出す間もなく誰かに取り押さえられていたでしょう。泣いて被害を訴える女性がいるのに、その場で冷静に証拠を出しても信じてもらえなかったかもしれません」
グレンが、エルウィンの目にたまった涙をハンカチで優しく拭いてくれた。
「あなたがああして庇ってくれたから、僕の話を聞いてもらえたんです。やはりあなたは僕の女神だ」
「め、女神?!大げさよ!」
さすがに聞き捨てならない単語が聞こえてきて、エルウィンは慌てて否定する。
びっくりしすぎて、いつの間にか自分の足で立てるようになっていた。
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