オメガの戦士はアルファに囚われる~ギリシャ神話オメガバース~

壱度木里乃(イッチー☆ドッキリーノ)

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8:牛頭ミノタウロスの迷宮と陵辱と※

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 「!!」

 ずっしりと重たく、長い暗路の中を。引きずり落とされているかのようだった体感が。違う大気の外にでも、いきなり脚から出たかのように。ふわっと軽くなった。

 「ぅわぁぁーっ!!」

 途端に今度は背中から落下する。崖のような高さから宙を落ち続け、ドスンッと落下したと同時に「ギャウンッ!!」と下から声がした。

 「くっ・・・いたっ・・・っ・・・あっ・・・ケ、ケール!!」

 魔気を最小限にして、なんとか走って追いついた小型のイーヌドーグが。先回りをする否や、すぐさま浄化の炎を燃え上がらせて、身をていして下敷きになっている姿に青ざめた。

 「ケール!! ケール!! そんな・・・」

 ぐったりとした小さな体を抱きしめる。

 「ケール、ごめん!! オレのせいだ!!」

 事前に注意を受けていたというのに。自分が迂闊にも飛び出したからなのだ。よく考えれば、子供があの場所にいること自体があり得ないというのに。

 なぜだか、腕からは既に消え失せている骸骨を振り返る。あんな偽りの現象なんかに安易に騙されるなんて。

 「どうしよう・・・ケール、しっかりしてくれ!! ケール、頼む!!」

 涙ぐみながら必死になって、アルケーを手のひらに高めて注ぐ。だが、ケールの気がかなり弱っている。

 「あぁ、ケール・・・」

 とんでもない高さから落ちた自分を受け止めたのだ。一生懸命、追いかけてきてくれて。その健気さに涙が溢れる。

 「ケール、ごめん・・・ごめん」

 全身に力をこめて、強く抱きしめて、一生懸命に注ぐ。自分の気を全部与えたい。力の弱い自分だけど。なんとかしたい。

 「ケール・・・頼むよ・・・目を開けてくれ」

 すると、ピクリと小さな体が動いた。だが――

 「グルルルル・・・」

 目を開けるやすぐに鼻に皺を寄せて、威嚇を始める。

 「ケール!! えっ、どうした?」

 ドスンッ!!

 ホッとしたも束の間、奥から大きな音と振動がした。ハッと視線を向ける。

 ドスンッ!! ドスンッ!! ドスンッ!!

 続く尋常でない音を耳にしながら、視線を彷徨わせる。落ちた場所はかなり広い部屋だ。左端には、大人が手を広げて数人は寝られるであろう、大きな寝具があって。

 右端には、人が座るにしては大きい椅子に机、縄や人形、食べ物と。そして、幼い子供が遊ぶ積み木のようなよくわからないモノが床に散乱している。

 その左右の空間の真ん中に。部屋と同じように。天井が高く、四方が石畳に囲まれた通路が見える。

 直線上に数カ所と奥の曲がる角の所に松明が焚かれている長い路だ。その曲がった先から異様な音が近づいてくる。

 ドスンッ!! ドスンッ!! ドスンッ!!

 壁に影が見えた。大きく長く伸びている影だ。頭部に角が生えているようにも見える。

 ドスンッ!! ドスンッ!! ドスンッ!!

 角を曲がって、現れた存在のその姿に目を見開いた。

 (ミノタウロス・・・)

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