呪われたオメガの王さまとカエルの王さま

4章：返り咲いちゃいました～そしてカエルは王妃に～

さぁ脱がせてあげる

　上半身を裸にさせられた青年が視線をめぐらせて状況を理解する。

「あっ、ダ、ダメです…ケロ」

　すかさず下半身も脱がせようとすると両手で制された。

「全部脱いだらケロは出なくなると思っている。
　知りたいんだ、ヘケロ、教えてくれ」

　邪魔をする手に手を重ねて、触れんばかりに耳元に唇を寄せて。
　甘く囁いた。

「そ、そんな…ケロ」

　生まれたてのヘケロが頬を染めて恥じらうような仕草を見せる。
　たまらない。

「さぁ脱がせてあげる」

「あっ、ダ、ダメです…ケロ」

「どうして？　まだ焦らすのか？」

「そ、そんな…そんなつもりは…ケロ」

「もうこれ以上は待てない。
　早く愛し合いたい」

　身を起こしてぬいぐるみのままの片足を持ち上げる。
　スッと靴下を脱がせるように足先を引っ張ると、出てきた白い裸足にチュッと口づけた。

「あっ、待って！！　待ってください！！…ケロ」

　慌てて身をひねって上半身を起こした相手に腕を掴まれる。

「お、王さま…ぼく…ぼく…ケロ」

　本当に何もかも全てがかわいいなと見惚れていると大きな瞳がうるうると潤んで。

「ぼく…ぼく…どんなですか…王さま…ぼくの…姿…ど、どうですか…ケロ」

　と尋ねてきて。
　極めて申し分ないです！！とまずは心の中で叫んで応える。
　けれども、そんな荒ぶる野性味はひた隠しにして告げた。

「そうだったな、わるかった。
　自分の容姿がまずは知りたいよな」

　傍らに用意していた手鏡へと手を伸ばし、掴むと相手に「見てごらん」と差し出した。

「あっ…こ、これは…ケロ」

　鏡に映った自分の姿をまじまじと。
　かつてカエルの姿だった青年が凝視する。

「すごくかわいいよ、ヘケロ。
　想像していた以上だ」

「ほ、ほんとですか…ケロ」

　途端にパァッと輝くような笑顔を見せて。
　こちらとしても嬉しくてたまらない。

「あ、でも…でも…この姿…ケロ」

「ん？　どうした？」

「この姿は…ケロ」

　再び鏡を覗きこんだ相手が思い詰めたような表情になる。

「ぼ、ぼくの…十四、五才くらいの姿です…ケロ」

　と口にされて、やはりそうかと。
　実年齢でなくて本当によかったと感じ入る。

「ん、確かに見た目は若いけれども、ヘケロはオラーガ村の村民届けでは二十四なのだから問題はないだろう」

　未成年だったらもれなく教会の神判の場に立たされるところだったが、童顔という枠組みで収まるのだ。
　実にありがたい。

「い、いえ…そ、そうではなくって…このまま…このまま年を取ったらおじさんになってしまいます…ケロ」

　またしても、おじさんを言及されるとは。
　一体どれほどのこだわりなのか。
　苦笑しながら続けた。

「大丈夫だ、その頃にはオレの方がさらに完熟したおじさんになっている」

「あ、そ、そうではなくって…あの…あの…あの…ケロ」

　もじもじと限りなく少年に近い青年が恥じらった。

「ぼ、ぼくは…王さまが…王さまが好きな姿のままでずっといたいです…ケロ」

「！！」

　ブチッとどこかでナニかがひねり潰れされるような音がした。
　よし、こうなったらこのまま抱いてもいいですか、いいですよねなんてもはや天に向かって聞くまでもない。

「あっ！！…ケロ！！」

　押し倒し、下衣に両手をかけて下にずらすとそのまま勢いよく足を引き抜く。
　バサッと床に放り捨てた。

「お、王さま、ま、まって…んっ…ぅんっ…んんーーっ…」

　秒で全裸にさせられた身がわずかに抗うが振り払って口づけた。
　あぁ、この唇だと。
　あぁ、この舌だと。
　やっとだと。
　覆い尽くした途端に舐めて、絡めて、注いで、息なんて許さないとばかりに蹂躙し尽くす。

「はっ…ふっ…ぁっ…やっ…そ、そんなっ！！　あぁーっ！！」

　横に逃げた顔のその耳の中に、手で胸を弄りながら、舌を挿し入れて。
　存分に掻き混ぜてやった。