最高天使に恋をして~忘却の河のほとりには~

壱度木里乃(イッチー☆ドッキリーノ)

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最高天使 降臨

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 (ど、どうして? どうして、ここが・・・?)

 バルコニーに舞い降りている白光の鳥。急いで扉を開けるが、その目の前でユラユラと揺れて光る鳥に実態はない。虚像だ。だが間違いなく、天界属性の光でできている。

 (ど、どうして・・・?)

 魔界の自分の居場所がどのようにわかったというのか。闇の領域においてすらも見事に具現化してみせた、計り知れない力。行き届かないところなどないとばかりの。

 だとしても、この目の前の現象は一体、なにを意味しているのだろうか。

 (あの後、送って下さった・・・? でも、これは・・・なんですか? 手紙・・・かなにか・・・ですか?)

 混乱しながらもしゃがんで、手を伸ばす。すると、その腕にピョンと乗り上がった。クルックルゥ・・・と鳴いて首を傾げる。

 (あぁ・・・どうして? これは一体、どういうことだ?)

 戸惑い続けるラシュレスタが、もう片方の手で触ろうとする。今度は、ふわっと羽根を広げた。飛び上がると、まるで抱きつくようにして、そのまま下腹部の中へとスッと沈みこんだ。

 (えっ?)

 ふわんっと温かい霊気が体内に広がる。

 (えっ・・・どういうこと?)

 溶けこむようにして消えた光の鳥。ラシュレスタが手をおいて確かめる。だが、なにも知りようがない。

 (今のは・・・一体?)

 感じるのは聖なる気。でも、どうして? ――なにをどう推し量るべきなのか。まったく理解も想像も追いつかない。

 (なぜなんだ? これはどういうこと・・・なんだろうか・・・)

 困惑するラシュレスタの背後で、

 タラタラタラララン・・・タラタラタラララン・・・・・・

 と突如、音が鳴った。ビクッと身を震わせて、振り返る。

 「はいはい・・・もしもし? はいはい、聞こえてる・・・でありんすよ」

 いきなり魔鏡が話し始めた。その頭部では、ミニチュアたちの鏡面部分が「通話中」という文字をユラユラと浮かべている。

 「へっ? アブラハム魔鏡協会のバッジを・・・? はぁ・・・まぁ、それはすぐにできることはできる・・・でありんすが・・・」

 立ち上がり、目でなんだと問いかけているあるじに向かって、魔鏡が応じた。

 「へぇ・・・なにやら大天使さまが・・・フギンギンたちが持っていたアッシのバッジを一つ、持って帰ったそう・・・でありんす。それで無くなったから、至急送ってくれということ・・・でありんす」

 (バッジを? 持って帰られた? 一体、どうして?)

 見通す力を持った者から送られた謎の鳥。そして、魔鏡のバッジを持って帰ったという行為―――ラシュレスタにはそれらの現象の意味することがまったくわからない。

 (なにをお考えになって・・・ですか?)

 一体、どういう意味が? 意図されていることは? ―――問いかけたくとも魔界にいる身に応ずる者はいない。ラシュレスタはただ呆然として、その場に立ち尽くすことしかできないでいた。


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