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7 王女殿下と木精編
4-12 そしてまたとある日のダイアナ
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わたくしは朝早く筆頭様に呼び出されました。
わたくしがあそこに呼び出された、ということは、いよいよ五強の杖との契約だということ。慎重に足を運びます。
わたくしは「契約の準備を始めるから、遅れないように」という言葉とともに、筆頭様から直接、メモを渡されたのは昨日のこと。
今か今かとわたくしが心待ちにしていた、杖との契約です。
息を切らしながら、わたくしは目的の場所にたどり着きました。
心待ちにしていたにしては、ワクワクはありませんね。どちらかというと、ソワソワ、ジリジリ。
その上、私の心にはトゲが刺さったような不快感が。いったいどうしてかしら。名のある杖との契約はわたくしの念願なのに。
頭を軽く振って不快感を追い払います。これから行う杖との契約は、わたくしの名をさらに押し上げてくれることでしょう。しかも、契約するのはただの杖ではなく五強です。
これ以上の魔導具となると、この国を守り導くと言われている三聖の剣だけ。
三聖は伝説の魔導具ですから、主になることを現実的に考えると、五強が最上位になります。
その五強が眠る三聖の展示室。外郭の建物の大きな扉に手をかけると、すーっと音もなく扉が開きました。
まるで、わたくしを歓迎しているかのようです。
いつもなら、警備の騎士や見張りを行う使用人がいるはずなのに、中は人の気配がありませんでした。
「そうですわ。お披露目会当日ですから、外の警備に重点を置いているんでしたわね」
わたくしは聞きかじったことを思い出し、手に握りしめたメモを開いてみました。
「なるほど。指定されたこの時間であれば、静かに中に入れましたのね。さすがは筆頭様」
わたくしはもう一度、メモをギュッと握りしめると、さらに奥、本物の三聖の展示室に向かうのでした。
そこでわたくしのことを待っているであろう、五強の杖と出会うために。
「やぁ。時間通りだね」
そう言って出迎えてくれたのは、筆頭様でした。
筆頭様に渡されたメモにあった場所はここ、五強の部屋。なんだか、力が湧き上がってくるような気配を感じます。
わたくしは五強の部屋の中央にいらっしゃる筆頭様の下へ、落ち着いた足取りで近寄りました。
早朝の五強の部屋には、キラキラとした朝日がこぼれるように射し込んでいて、わたくしの前途を祝福しているよう。
三聖の展示室に歓迎され、その上、祝福までされているとは。
私の気分は一気に高揚します。
そこへ、
「あ」
と、怯えるような声が聞こえてしました。
声の持ち主は、当然ながら筆頭様ではありません。
金髪に筆頭様と同じ色合いの碧眼、第三騎士団魔術師の制服を着ている女。そうです、あの研修生です。
五強アクアの主になったことで、すっかり持て囃されていたことでしょうけれど、今後はそうはいきませんわ。
「お養父さま、どういうことですか?」
まるで、わたくしが虐めでもしたかのように、怯えた表情を筆頭様に向ける姿が、なんとも無様に感じて、クスッと喉の奥から笑いがこみ上げてきました。
わたくしはこの女、いえ、この弱々しげな小娘に敵対的な視線を向けるのを止めて、哀れむ視線に変えます。
考えなかったのでしょうか。自分と同じようなことをして五強の主になれる存在がいることを。
筆頭様は小娘の質問をあからさまに無視して、私を迎えてくれました。あぁ、いい気分ですわね。
「いい状態に仕上がっていそうだな。あともう一人か」
筆頭様は私の様子を見た後、難しい顔で五強の部屋の入り口へ。
わたくしとこの小娘以外にも、まだどなたかがいるのでしょうか?
首を傾げていると、筆頭様に置いていかれて立ち尽くす小娘と目があいました。
不安に思う気持ちが全面に顔に出ています。下位貴族の娘と聞いていますが、表情管理が出来ておりませんわね。それに怯えるようにビクビクとしてもいます。
こんな情けない小娘に対して、あれほど怒りと憎しみを抱いていたとは。わたくし自身が情けなく思えてきました。
怯える小娘、いえ、未熟な研修生に、魔術師の先輩として何か声をかけてあげようかと思っている矢先、
「遅いぞ。時間厳守という約束だっただろ」
「ディルス君は細かいのよね。女性の支度がすぐに出来るわけないでしょう?」
「あらかじめ時間は伝えておいただろうに」
「あら、他にも誰かいるのかしら?」
イライラするような筆頭様の声に続いて、明るくキャンキャンとした甲高い声。
「おい、待て。話は終わってないって。はぁ、相変わらずだな」
筆頭様が呆れる、というか諦めるような声を出してすぐ、わたくしたちの目の前に現れた人物。
「アルゲン大公妃殿下」
当然、わたくし、さっと頭を下げましたわ。生家の家格はわたくしの方が上ですが、今は大公家の女主人。高位貴族にあるまじき振る舞いにも、口を挟むことなど出来ません。
顔を伏せたまま、チラッと横目で研修生を見ると、訳が分かっていなさそうな様子です。
はぁ。
筆頭様の養子となったのであれば、交友関係など、少しは頭に入れておけばよろしいのに。
「あらまぁ、いいのよ。頭を下げなくても」
軽い調子でお許しがいただけたので頭を上げると、目の前にアルゲン大公妃殿下と筆頭様の姿が。
ピンクゴールドの髪に透き通るような碧眼。どう見ても二十代ほどの容貌とあどけない口調。大公妃殿下だと知らなければ、わたくしより少し年上のご令嬢だと勘違いしたことでしょう。
現に、研修生はきょとんとした顔をしたままですし。
アルゲン大公妃殿下はお忍びでいらしたのか、黒いマントを羽織っていて、お一人でした。
「ちゃんと一人でやってきたんだな」
「あら、おもしろいことを言うのね。大公妃が一人で出歩ける訳がないでしょ。外に待たせているわ」
わたくしが感じた疑問を筆頭様も口に出しましたが、大公妃殿下は何ともないことのように返事をします。
このお二人が親友であるのは有名な話。
わたくし、小説にはあまり興味がありませんけど、『真実の愛』の女主人公と『運命の恋』の男主人公と言えば、どなたもご存知ですし、興味のないわたくしでも分かること。
研修生もようやくそこに思い至ったようで、不安で怯えた様子が、さらに加速したようでした。
お二人はわたくしどものことなど気にすることなく、話を続けております。
「おい、お披露目会までここで待機なんだぞ?」
「分かってるわよ。その辺に適当に隠れておくよう伝えたから。帰りはそっちで呼びにいってちょうだい」
「まぁ、仕方がないか。それより、ちゃんと指示通り食べてきたんだろうな?」
指示通り食べる、という言葉にビクッとしてしましました。研修生も同様。
「つまり、わたくしとアルゲン大公妃殿下が残りの五強の主になるわけですわね」
わたくしのつぶやきに、研修生があからさまに愕然とした顔をします。
あら。
あなただって、そうやってアクアの主となったのでしょう?
目でそう訴えかけると、何かを言いたそうにして口を開きかけ、けっきょく何も言わずに口を閉じる研修生。
ほら。この子は分かってるんですわ。
自分が自分の力だけで主になったのではないことを。
この様子でしたら、わたくしの邪魔はしませんわね。
わたくしは筆頭様と大公妃殿下の話が終わるのを、静かに待ちます。穏やかな笑みを浮かべて。
わたくしがあそこに呼び出された、ということは、いよいよ五強の杖との契約だということ。慎重に足を運びます。
わたくしは「契約の準備を始めるから、遅れないように」という言葉とともに、筆頭様から直接、メモを渡されたのは昨日のこと。
今か今かとわたくしが心待ちにしていた、杖との契約です。
息を切らしながら、わたくしは目的の場所にたどり着きました。
心待ちにしていたにしては、ワクワクはありませんね。どちらかというと、ソワソワ、ジリジリ。
その上、私の心にはトゲが刺さったような不快感が。いったいどうしてかしら。名のある杖との契約はわたくしの念願なのに。
頭を軽く振って不快感を追い払います。これから行う杖との契約は、わたくしの名をさらに押し上げてくれることでしょう。しかも、契約するのはただの杖ではなく五強です。
これ以上の魔導具となると、この国を守り導くと言われている三聖の剣だけ。
三聖は伝説の魔導具ですから、主になることを現実的に考えると、五強が最上位になります。
その五強が眠る三聖の展示室。外郭の建物の大きな扉に手をかけると、すーっと音もなく扉が開きました。
まるで、わたくしを歓迎しているかのようです。
いつもなら、警備の騎士や見張りを行う使用人がいるはずなのに、中は人の気配がありませんでした。
「そうですわ。お披露目会当日ですから、外の警備に重点を置いているんでしたわね」
わたくしは聞きかじったことを思い出し、手に握りしめたメモを開いてみました。
「なるほど。指定されたこの時間であれば、静かに中に入れましたのね。さすがは筆頭様」
わたくしはもう一度、メモをギュッと握りしめると、さらに奥、本物の三聖の展示室に向かうのでした。
そこでわたくしのことを待っているであろう、五強の杖と出会うために。
「やぁ。時間通りだね」
そう言って出迎えてくれたのは、筆頭様でした。
筆頭様に渡されたメモにあった場所はここ、五強の部屋。なんだか、力が湧き上がってくるような気配を感じます。
わたくしは五強の部屋の中央にいらっしゃる筆頭様の下へ、落ち着いた足取りで近寄りました。
早朝の五強の部屋には、キラキラとした朝日がこぼれるように射し込んでいて、わたくしの前途を祝福しているよう。
三聖の展示室に歓迎され、その上、祝福までされているとは。
私の気分は一気に高揚します。
そこへ、
「あ」
と、怯えるような声が聞こえてしました。
声の持ち主は、当然ながら筆頭様ではありません。
金髪に筆頭様と同じ色合いの碧眼、第三騎士団魔術師の制服を着ている女。そうです、あの研修生です。
五強アクアの主になったことで、すっかり持て囃されていたことでしょうけれど、今後はそうはいきませんわ。
「お養父さま、どういうことですか?」
まるで、わたくしが虐めでもしたかのように、怯えた表情を筆頭様に向ける姿が、なんとも無様に感じて、クスッと喉の奥から笑いがこみ上げてきました。
わたくしはこの女、いえ、この弱々しげな小娘に敵対的な視線を向けるのを止めて、哀れむ視線に変えます。
考えなかったのでしょうか。自分と同じようなことをして五強の主になれる存在がいることを。
筆頭様は小娘の質問をあからさまに無視して、私を迎えてくれました。あぁ、いい気分ですわね。
「いい状態に仕上がっていそうだな。あともう一人か」
筆頭様は私の様子を見た後、難しい顔で五強の部屋の入り口へ。
わたくしとこの小娘以外にも、まだどなたかがいるのでしょうか?
首を傾げていると、筆頭様に置いていかれて立ち尽くす小娘と目があいました。
不安に思う気持ちが全面に顔に出ています。下位貴族の娘と聞いていますが、表情管理が出来ておりませんわね。それに怯えるようにビクビクとしてもいます。
こんな情けない小娘に対して、あれほど怒りと憎しみを抱いていたとは。わたくし自身が情けなく思えてきました。
怯える小娘、いえ、未熟な研修生に、魔術師の先輩として何か声をかけてあげようかと思っている矢先、
「遅いぞ。時間厳守という約束だっただろ」
「ディルス君は細かいのよね。女性の支度がすぐに出来るわけないでしょう?」
「あらかじめ時間は伝えておいただろうに」
「あら、他にも誰かいるのかしら?」
イライラするような筆頭様の声に続いて、明るくキャンキャンとした甲高い声。
「おい、待て。話は終わってないって。はぁ、相変わらずだな」
筆頭様が呆れる、というか諦めるような声を出してすぐ、わたくしたちの目の前に現れた人物。
「アルゲン大公妃殿下」
当然、わたくし、さっと頭を下げましたわ。生家の家格はわたくしの方が上ですが、今は大公家の女主人。高位貴族にあるまじき振る舞いにも、口を挟むことなど出来ません。
顔を伏せたまま、チラッと横目で研修生を見ると、訳が分かっていなさそうな様子です。
はぁ。
筆頭様の養子となったのであれば、交友関係など、少しは頭に入れておけばよろしいのに。
「あらまぁ、いいのよ。頭を下げなくても」
軽い調子でお許しがいただけたので頭を上げると、目の前にアルゲン大公妃殿下と筆頭様の姿が。
ピンクゴールドの髪に透き通るような碧眼。どう見ても二十代ほどの容貌とあどけない口調。大公妃殿下だと知らなければ、わたくしより少し年上のご令嬢だと勘違いしたことでしょう。
現に、研修生はきょとんとした顔をしたままですし。
アルゲン大公妃殿下はお忍びでいらしたのか、黒いマントを羽織っていて、お一人でした。
「ちゃんと一人でやってきたんだな」
「あら、おもしろいことを言うのね。大公妃が一人で出歩ける訳がないでしょ。外に待たせているわ」
わたくしが感じた疑問を筆頭様も口に出しましたが、大公妃殿下は何ともないことのように返事をします。
このお二人が親友であるのは有名な話。
わたくし、小説にはあまり興味がありませんけど、『真実の愛』の女主人公と『運命の恋』の男主人公と言えば、どなたもご存知ですし、興味のないわたくしでも分かること。
研修生もようやくそこに思い至ったようで、不安で怯えた様子が、さらに加速したようでした。
お二人はわたくしどものことなど気にすることなく、話を続けております。
「おい、お披露目会までここで待機なんだぞ?」
「分かってるわよ。その辺に適当に隠れておくよう伝えたから。帰りはそっちで呼びにいってちょうだい」
「まぁ、仕方がないか。それより、ちゃんと指示通り食べてきたんだろうな?」
指示通り食べる、という言葉にビクッとしてしましました。研修生も同様。
「つまり、わたくしとアルゲン大公妃殿下が残りの五強の主になるわけですわね」
わたくしのつぶやきに、研修生があからさまに愕然とした顔をします。
あら。
あなただって、そうやってアクアの主となったのでしょう?
目でそう訴えかけると、何かを言いたそうにして口を開きかけ、けっきょく何も言わずに口を閉じる研修生。
ほら。この子は分かってるんですわ。
自分が自分の力だけで主になったのではないことを。
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