妹と違って無能な姉だと蔑まれてきましたが、実際は逆でした

黒木 楓

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32話

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 冒険者ギルドの奥にある部屋に到着して、アゼルが扉をノックする。

 返事があったから中に入ると――大きな部屋と、奥に寝室が見えた。

 寝室にはベッドが2つあって、間をカーテンで遮ることができそうになっている。

「ここは2人用の部屋だ。冒険者は男女で行動する時もあるから、配慮されてこうなっているらしい」

「そうなんですか」

 冒険者ギルドの個室を驚きながら眺めていると、アゼルが教えてくれた。

 そして……大部屋の居間、ソファーでテーブル越しに座っていた男女が、1つのソファーに並んで座る。

 どうやら対面して会話がしたいようだから、移動してくれたのでしょう。

 そこに居たのは赤髪の短い凛とした女性と、前髪を真ん中で分けた青髪の少し長い髪をした青年。

 アゼル殿下がソファーに座ったから私も座り、テーブル越しに2人と対面すると、青年が口を開く。

「俺はシリュー。彼女はリマだ」

「リマよ」

「私はシャロンです」

 私に自己紹介をしたから頭を下げると、シリューはアゼルを眺めて。

「それでアゼル……殿下。どうかされましたか?」

 なぜかシリューが困惑した様子で尋ねると、アゼルが返答する。 

「名前で気付かないか? 彼女が前に話した聖女候補だったシャロンだ。別に俺の監視とかではない」

「……なんだ。遂にバレて冒険者とどう交流しているのか、報告するお目付け役が来たのかと思っちまった」

 シリューの発言がやけに説明的なのは、きっと私に説明するためね。

 まだアゼルが立場を捨てたことを話していないからこそ、私が監視役だと考えてしまったのでしょう。

 普通王子の立場を捨てるだなんて考えないだろうし、当然だと思う。

 それよりも……アゼルが私について何かを冒険者と話したことがあるようで、私はそれが気になっていた。
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