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37話

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 シリューが契約していた飛龍に乗って、私達は目的地へ向かう。

 飛龍の速度はとてつもなくて……2人乗りだから、私はアゼルと一緒の飛龍に乗っていた。

 王子の頃にアゼルは飛龍に乗っていたことがあるらしく、飛龍は問題なく空を飛んでいる。

 そして数時間後――私達は、目的地の草原に到着していた。

 × × ×

 私達はシリューがリーダーの冒険者パーティとなって、目的地へ向かう。

 この草原はルオドラン国でもモンスターの強さが有名で、それは大地の魔力が強いから。

 魔力源と呼ばれる場所で、国を守る聖域の核ともなっている場所だけど……魔将衆が狙う可能性が極めて高いと、シリュー達から聞いている。 

 魔力源の中心地はモンスターが強力で……飛龍が撃ち落される可能性があらしく、私達は徒歩で向かっていた。

 歩きながら襲いかかる強力なモンスターを私達は撃退して、シリューとリマの強さに驚いていた。

 前衛で剣を振るうシリューとリマは連携がとれていて、上位冒険者の凄さが解る。

 モンスターを全て倒して余裕ができながら歩いていると、シリューが私とアゼルを眺めて。

「今のうちに聞いておきたい……本当にリーダーは、俺のままでいいのか?」

「ああ。俺は目立たず魔将衆を倒したいし、倒せたら俺とシャロンはパーティを抜ける」

 これは冒険者ギルドで決めていたことで、シリューは少しだけ残念そうな表情を浮かべて。

「そうか……俺としては後衛で魔法を使い、回復してくれる2人には居て欲しいが、こればかりは仕方ないか」

 シリューとリマが残念そうにしているのは、2人とも前に出て戦っているから、後衛の仲間が欲しかったのでしょう。

 2人は連携もとれていて強いけれど、後衛で支援したり援護する人が居るだけで、相当戦いが楽になる。

 私としてはシリュー達と一緒に居てもいいと思うけど……アゼルが断ったのが気になってしまう。

 敵を倒してから何をするか私は考えていないけど、アゼルは何か考えているのだろうか?

 そう考えながら目的地に近づくと――私は違和感を受けて、思わず呟く。

「これは……今まで体感したことのない、邪悪な魔力を感じます」

「俺はまだ何も感じられないが、聖魔力と対極の魔力らしいから、察知することができたということか」

 アゼルの発言に私が頷くと……今までとは違う、黒いオーラを身に纏った、大きな蜥蜴のモンスターが現れる。

 魔道具によるものか、巨大なモンスターから放つ魔力の異常さに驚きながらも、私達は戦おうとしていた。
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