96 / 109
2章
77話
しおりを挟む
遂に全てに決着がつく最終日になって――午前中は魔法披露会を楽しむことができている。
披露会が始まって二日間はレックス殿下と二人きりになる機会が多かったけど、最終日は皆と一緒にいたい。
「最終日ですし、私の出番まで皆で楽しみましょう」
もしゲーム通りに最終日の出来事が発生しても、今の私達なら問題ない。
今までゲームより規模が大きくなったことがあったことを考えると、ロウデス教が総力で攻めてきてもおかしくなかった。
「そうだね……ここ二日間何も起きなかったのも気になる。最終日に仕掛けてくるのかもしれない」
「はい。ロイ様の言うとおりですね……今日は特に警戒しましょう」
ロイがそう呟き、カレンが賛同する。
ダドリックの姿がないことも、気になっていた。
同じ気持ちのレックス殿下が周囲を眺めていると、ルートが尋ねる。
「レックス殿下、誰かお探しですか?」
「いや、ダドリックの奴が見当たらなくてな……現時点で一番怪しいのは奴だ」
「なるほど。私も気をつけておきます」
レックス殿下の発言を聞いて、ルートもダドリックを警戒している。
まだ片付けがあるから、応援の人達は撤収していない。
それなのに……レックス殿下がダドリックの姿を探しても、見つけることができなかった。
「ダドリック君を警戒しすぎな気もするけどね。彼は枷があって、魔法が使えないんだよ」
「何もなければそれでいい。どうせ奴は、片付けを終えたら学園から撤収するからな」
「確かに、それもそうだね」
レックス殿下の発言に、ロイが納得する。
ネーゼや賢者の人達もいるし、今のグリムラ魔法学園は世界で一番防衛力がありそうだ。
それでもこの日が邪神ロウデスを復活させる絶好のタイミングで、間違いなく仕掛けてくる。
何もなければ間違いなく諦めているけど、行動理念を否定する行動はとらないはずだ。
「恐らく動くとすれば午後からですし、まだ大丈夫のはずよ」
カレンが私にしか聞こえない小声で呟き、同意見の私は小さく頷く。
午前は披露会の出し物を楽しみ――私達は昼食をとっていた。
「このまま、平和に過ぎていくといいですね」
「そうですけど……魔法披露会が終わればグリムラ魔法学園に入ることが困難になりますし、今日が一番の好機だと思っています」
カレンがそう言ったのは、今日が一番魔法領域の力が強まっているからだ。
周期があるみたいで、魔法披露会はそれに合わせて行われている。
一番強い力を発揮できる時を最終日にしているようで、邪神が復活する絶好の機会でもあった。
食事を終えて昼からのメインイベントである披露会に行こうと決意する。
午後からは最上級生のクラス代表が魔法を披露して、その後特待生のクラス代表が順に魔法を披露する。
私達の番はまだ先だけど……会場に入り、雰囲気を知っておくのもよさそうだ。
ゲームでも会場内で決戦となるから、カレンの提案を聞き警戒しながら待機しておこう。
午後からの行動を考えていると、レックス殿下が何かに気づく。
「あれは……ダドリックか!」
レックス殿下が叫んだのは、昨日見失ってしまったというのもありそうだ。
結局話はできなかったようで、魔法を使わず姿を見失ったことが不可解だと言っていた。
「今度こそ話をしてこよう!」
「私も行きます」
昨日はレックス殿下の行動が速くて動けなかったけど、今日は大丈夫だ。
ダドリックの姿を見つけたレックス殿下が話そうとした時――事件が起こる。
「待つんだ!」
ロイが叫んで、レックス殿下と私の足が止まる。
待つよう言われたからではなくて……目の前の光景に、思わず立ち止まってしまった。
上空から黒い翼の生えた巨大な龍が――黒龍が複数現れ、人々を襲おうとしている。
空を飛ぶ龍は口から魔力の閃光を吐き、体当たりで建物を破壊するため動いていた。
「これは……ブラックドラゴンの群れですか!?」
私は思わず叫び、暴風の魔法で目の前の黒龍、ブラックドラゴンを迎撃する。
魔法に耐性があるから私の魔法でも一発で倒すことができず、他の人はどうしようもないはずだ。
本来は魔獣の群れなのに――黒龍が大量発生して、私とカレンは動揺していた。
「学園内のロウデス教団員が魔獣を使う可能性を考慮していましたけど……空を飛ぶブラックドラゴンなら、学園外から攻め込めます」
どうやら私達が警戒していたから、学園外から襲撃を行おうとした結果――ブラックドラゴンの群れを使ったようだ。
恐らくロウデス教も総力で邪神を目覚めようとしているのが、黒龍が飛び交う景色でよくわかる。
ブラックドラゴンの群に驚いてしまうけど、狙いは私のようだ
大きな翼を振るい、魔力で強化された暴風が迫る。
私が杖を振るい、それ以上の暴風を繰り出して撃ち落すけど……数が多すぎる。
「ブラックドラゴンの眼は、明らかに正気ではありません」
「操られている可能性が高そうだ……操っている人を対処しないと、大惨事になってもおかしくないよ」
本来は魔獣の群れだったはずだったのに、ブラックドラゴンの群れが空からやって来ている。
その量はとでつもなく、まるで闇が迫って来たかのようだ。
普通に対処することは不可能だと考えて、ロイの言う通り操っている本体を早急に潰す必要がある。
ゲーム通り、それ以上の戦力でロウデス教が――大軍による侵攻をはじめていた。
披露会が始まって二日間はレックス殿下と二人きりになる機会が多かったけど、最終日は皆と一緒にいたい。
「最終日ですし、私の出番まで皆で楽しみましょう」
もしゲーム通りに最終日の出来事が発生しても、今の私達なら問題ない。
今までゲームより規模が大きくなったことがあったことを考えると、ロウデス教が総力で攻めてきてもおかしくなかった。
「そうだね……ここ二日間何も起きなかったのも気になる。最終日に仕掛けてくるのかもしれない」
「はい。ロイ様の言うとおりですね……今日は特に警戒しましょう」
ロイがそう呟き、カレンが賛同する。
ダドリックの姿がないことも、気になっていた。
同じ気持ちのレックス殿下が周囲を眺めていると、ルートが尋ねる。
「レックス殿下、誰かお探しですか?」
「いや、ダドリックの奴が見当たらなくてな……現時点で一番怪しいのは奴だ」
「なるほど。私も気をつけておきます」
レックス殿下の発言を聞いて、ルートもダドリックを警戒している。
まだ片付けがあるから、応援の人達は撤収していない。
それなのに……レックス殿下がダドリックの姿を探しても、見つけることができなかった。
「ダドリック君を警戒しすぎな気もするけどね。彼は枷があって、魔法が使えないんだよ」
「何もなければそれでいい。どうせ奴は、片付けを終えたら学園から撤収するからな」
「確かに、それもそうだね」
レックス殿下の発言に、ロイが納得する。
ネーゼや賢者の人達もいるし、今のグリムラ魔法学園は世界で一番防衛力がありそうだ。
それでもこの日が邪神ロウデスを復活させる絶好のタイミングで、間違いなく仕掛けてくる。
何もなければ間違いなく諦めているけど、行動理念を否定する行動はとらないはずだ。
「恐らく動くとすれば午後からですし、まだ大丈夫のはずよ」
カレンが私にしか聞こえない小声で呟き、同意見の私は小さく頷く。
午前は披露会の出し物を楽しみ――私達は昼食をとっていた。
「このまま、平和に過ぎていくといいですね」
「そうですけど……魔法披露会が終わればグリムラ魔法学園に入ることが困難になりますし、今日が一番の好機だと思っています」
カレンがそう言ったのは、今日が一番魔法領域の力が強まっているからだ。
周期があるみたいで、魔法披露会はそれに合わせて行われている。
一番強い力を発揮できる時を最終日にしているようで、邪神が復活する絶好の機会でもあった。
食事を終えて昼からのメインイベントである披露会に行こうと決意する。
午後からは最上級生のクラス代表が魔法を披露して、その後特待生のクラス代表が順に魔法を披露する。
私達の番はまだ先だけど……会場に入り、雰囲気を知っておくのもよさそうだ。
ゲームでも会場内で決戦となるから、カレンの提案を聞き警戒しながら待機しておこう。
午後からの行動を考えていると、レックス殿下が何かに気づく。
「あれは……ダドリックか!」
レックス殿下が叫んだのは、昨日見失ってしまったというのもありそうだ。
結局話はできなかったようで、魔法を使わず姿を見失ったことが不可解だと言っていた。
「今度こそ話をしてこよう!」
「私も行きます」
昨日はレックス殿下の行動が速くて動けなかったけど、今日は大丈夫だ。
ダドリックの姿を見つけたレックス殿下が話そうとした時――事件が起こる。
「待つんだ!」
ロイが叫んで、レックス殿下と私の足が止まる。
待つよう言われたからではなくて……目の前の光景に、思わず立ち止まってしまった。
上空から黒い翼の生えた巨大な龍が――黒龍が複数現れ、人々を襲おうとしている。
空を飛ぶ龍は口から魔力の閃光を吐き、体当たりで建物を破壊するため動いていた。
「これは……ブラックドラゴンの群れですか!?」
私は思わず叫び、暴風の魔法で目の前の黒龍、ブラックドラゴンを迎撃する。
魔法に耐性があるから私の魔法でも一発で倒すことができず、他の人はどうしようもないはずだ。
本来は魔獣の群れなのに――黒龍が大量発生して、私とカレンは動揺していた。
「学園内のロウデス教団員が魔獣を使う可能性を考慮していましたけど……空を飛ぶブラックドラゴンなら、学園外から攻め込めます」
どうやら私達が警戒していたから、学園外から襲撃を行おうとした結果――ブラックドラゴンの群れを使ったようだ。
恐らくロウデス教も総力で邪神を目覚めようとしているのが、黒龍が飛び交う景色でよくわかる。
ブラックドラゴンの群に驚いてしまうけど、狙いは私のようだ
大きな翼を振るい、魔力で強化された暴風が迫る。
私が杖を振るい、それ以上の暴風を繰り出して撃ち落すけど……数が多すぎる。
「ブラックドラゴンの眼は、明らかに正気ではありません」
「操られている可能性が高そうだ……操っている人を対処しないと、大惨事になってもおかしくないよ」
本来は魔獣の群れだったはずだったのに、ブラックドラゴンの群れが空からやって来ている。
その量はとでつもなく、まるで闇が迫って来たかのようだ。
普通に対処することは不可能だと考えて、ロイの言う通り操っている本体を早急に潰す必要がある。
ゲーム通り、それ以上の戦力でロウデス教が――大軍による侵攻をはじめていた。
10
あなたにおすすめの小説
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
〈完結〉【書籍化&コミカライズ】悪妃は余暇を楽しむ
ごろごろみかん。
恋愛
「こちら、離縁届です。私と、離縁してくださいませ、陛下」
ある日、悪妃と名高いクレメンティーナが夫に渡したのは、離縁届だった。彼女はにっこりと笑って言う。
「先日、あなた方の真実の愛を拝見させていただきまして……有難いことに目が覚めましたわ。ですので、王妃、やめさせていただこうかと」
何せ、あれだけ見せつけてくれたのである。ショックついでに前世の記憶を取り戻して、千年の恋も瞬間冷凍された。
都合のいい女は本日で卒業。
今後は、余暇を楽しむとしましょう。
吹っ切れた悪妃は身辺整理を終えると早々に城を出て行ってしまった。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
「お幸せに」と微笑んだ悪役令嬢は、二度と戻らなかった。
パリパリかぷちーの
恋愛
王太子から婚約破棄を告げられたその日、
クラリーチェ=ヴァレンティナは微笑んでこう言った。
「どうか、お幸せに」──そして姿を消した。
完璧すぎる令嬢。誰にも本心を明かさなかった彼女が、
“何も持たずに”去ったその先にあったものとは。
これは誰かのために生きることをやめ、
「私自身の幸せ」を選びなおした、
ひとりの元・悪役令嬢の再生と静かな愛の物語。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。