婚約破棄の翌日に謝罪されるも、再び婚約する気はありません

黒木 楓

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26話

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 私は帰ろうとしているジャック様を呼び止めて、尋ねてしまう。

 そして――私は自分の気持ちを、理解することができた。

 今の私は、ジャック様のことしか考えられないほどに……ジャック様を異性として強く意識している。

「……今、なんと言った?」

 見つめ合い、赤色の眼に吸い込まれそうになってしまう。

 子爵令嬢だと蔑んでいた人達とは違い、純粋に困惑している瞳を眺めて、私は更に好きだと意識してしまう。

 ここは、「なんでもありません」と言わなければならないと解っている。

 聞かなかったことにしているのだと、その優しさがよくわかって……思わず呟いてしまう。

「……ジャック様は他の方のように、私に婚約を申し込みに来たのではないのですか?」

 言うべきではないと頭の中では理解しているけど、返答を聞かなければ一生後悔しそう。

 断られて当然だと思いながらも、私はこの場で聞かなければならないと、ジャック様に尋ねていた。

「ああ。あれは口実だ」

「そう……ですか」

 それもそうだ。

 何を期待していたのだろうと反省していると……ジャック様は、私を眺めて告げる。 

「婚約破棄されて日が浅い君に、私が婚約したいと言えば、立場から婚約が決まってしまう……ここまで優秀な君を、そんなことで悩ませたくはない」

「……えっ?」

 驚いていると、ジャック様が私を心配そうに眺めて。

「婚約して欲しいと両親にせがまれたのではないか? とにかく……その発言が君の本心なのかは、会ったばかりだから私には解らない」

 どうやらお母様の行動から、お母様が婚約しろと命令したと想定して、私の本心なのかを心配している様子だ。

 この人は、ジャック様は――私を気遣って婚約しないことを選んだ。

 それに発言から、ジャックは私と婚約しても構わないと思っていそうな気がする。

 いいえ――これは推測で、私の願望だ。

 それでも「ジャック様としては、私と婚約したいですか?」と尋ねて、確認したい。

 ――そして私は、口を開いて。

「ジャック様……今日はとても楽しかったです。また、来てくれますか?」

 それでも私は、確認する勇気が持てない。

 今まで婚約を申し込んできた人達に対して、私は不快感を持っていた。

 もし私が婚約を促して、ジャック様が同じように不快に思ってしまったらと……私は考えてしまう。

 弱々しい提案になるも、ジャック様は笑顔を浮かべて。

「ああ。私もとても楽しかった! また来よう!!」

 ジャック様の気持ちはわからないけど……また会える約束をしてくれただけで、私は満足していた。
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