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25話
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あれから私は、ジャック様と魔力や魔法についての話をしていた。
私は感覚で魔法や魔力に興味を持っているけど、ジャック様は感覚もそうだけど知識が凄かった。
お互いの知らないこと、そして知っていることに共感して……ジャック様の凄さを知る。
他の貴族達は領地を繁栄させるために婚約するために迫っていたけど、ジャック様は違う。
本当に私の提案したポーションに興味を持って、魔法と魔力の話がしたかったのが伝わってくる。
こうしてジャック様と話している時間に、私は幸せを覚えてしまう。
今までは子爵令嬢だからと、あまり目立たないようにしていたけど……ジャック様の前だと自由になれる気がしていた。
× × ×
あれから数時間が経って――日が暮れてきたから、ジャック様が帰ろうとしている。
「そろそろ帰るとしよう……魔鉱石やモンスターからとれる素材の応用、色々と参考になった」
「私も……限られた人だけが行ける魔力の溢れた場所や知らない魔法、本当に参考になりました」
「そうか。それは良かった」
そう言って、ジャック殿下が応接間から出ようとしていた。
長い銀色の奇麗な髪がなびき、後ろ姿に見惚れながら……私は呟く。
「あの!」
帰ろうとしているジャック様を、私は思わず止めてしまう。
「どうした?」
無礼になりそうだと後悔したけど、ジャック様は気に留めず振り向いて、優し気に尋ねてくれる。
そんなジャック様を眺めて……更に無礼だとは思うけど、私は聞くしかない。
「あの……ジャック様は他の方々のように、私に婚約を申し込みにきたのではないのですか?」
――私は、何を尋ねているのだろうか。
あれだけ貴族達を嫌悪していたのに……ジャック様が他の人のように婚約を申し込んでくれないことを、私は辛いと思うようになっていた。
私は感覚で魔法や魔力に興味を持っているけど、ジャック様は感覚もそうだけど知識が凄かった。
お互いの知らないこと、そして知っていることに共感して……ジャック様の凄さを知る。
他の貴族達は領地を繁栄させるために婚約するために迫っていたけど、ジャック様は違う。
本当に私の提案したポーションに興味を持って、魔法と魔力の話がしたかったのが伝わってくる。
こうしてジャック様と話している時間に、私は幸せを覚えてしまう。
今までは子爵令嬢だからと、あまり目立たないようにしていたけど……ジャック様の前だと自由になれる気がしていた。
× × ×
あれから数時間が経って――日が暮れてきたから、ジャック様が帰ろうとしている。
「そろそろ帰るとしよう……魔鉱石やモンスターからとれる素材の応用、色々と参考になった」
「私も……限られた人だけが行ける魔力の溢れた場所や知らない魔法、本当に参考になりました」
「そうか。それは良かった」
そう言って、ジャック殿下が応接間から出ようとしていた。
長い銀色の奇麗な髪がなびき、後ろ姿に見惚れながら……私は呟く。
「あの!」
帰ろうとしているジャック様を、私は思わず止めてしまう。
「どうした?」
無礼になりそうだと後悔したけど、ジャック様は気に留めず振り向いて、優し気に尋ねてくれる。
そんなジャック様を眺めて……更に無礼だとは思うけど、私は聞くしかない。
「あの……ジャック様は他の方々のように、私に婚約を申し込みにきたのではないのですか?」
――私は、何を尋ねているのだろうか。
あれだけ貴族達を嫌悪していたのに……ジャック様が他の人のように婚約を申し込んでくれないことを、私は辛いと思うようになっていた。
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