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15話

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 試験の日となって、私は魔法学園に登校する。
 最初の二日間は筆記試験、そして最終日は魔法を扱う試験だ。

 これは学年で違うから、試験がはじまった今日は広場で上級生の魔法が飛び交う。
 筆記試験は午前中に終わるけど、魔法を扱う試験は午後も行われている。
 初日の筆記試験は問題なく終わり、上位の成績なのは間違いなさそうだ。

 帰ることにして馬車の中で私はハネス、フィリスと対面している。
 成績が悪ければ退学になるけど、マリザの妨害がなかったから大丈夫だ。
 試験内容について話し、屋敷に到着する前にフィリスが提案する。

「今日から私とハネスは、試験が終わるまでソニアの屋敷に泊まることとした」
「それは構いませんけど……マリザを警戒してですか?」
「明後日の魔法を扱う試験の前に仕掛けてくる可能性が高い。考え過ぎならそれでいいが、警戒はするべきだ」
「わかりました。ありがとうございます」

 魔法学園は魔法が重要とされていて、魔法を扱う試験結果が悪すぎれば退学になる可能性もある。
 それを利用して、マリザが私に対して何かした行動を起こすかもしれない。
 ハネスはそれを警戒しているようで、フィリスと屋敷に泊まってくれるようだ。

   ◇◆◇

「どうしてソニアの屋敷に、ハネス様とフィリス様が泊まっているのよ!?」

 魔法を扱う試験の日、登校するとマリザが私に向かって叫びだす。
 どうして知っているのかわからないけど、私の元にハネスが来てくれる。

「どうやらソニアを妨害したかったようだが、俺と姉上がいたから止めたようだ」

 その発言を聞き、私は納得できた。
 恐らく妨害する際に、ハネスとフィリスが私の屋敷にいることを知ったのでしょう。

 もしマリザの仕業と発覚すれば、王子や王女に危害を加えたこととなる。
 最悪の事態を想像したから、私に対しての行動を止めたのかもしれない。
 それでも叫びたかったようで、カルドが私達の元にやって来た。

「マリザ。落ち着くんだ」
「役立たずは黙ってて! もうカルドはいらないわ!!」
「うっっ……」

 マリザは心配するカルドに暴言を吐くほどで、周囲の生徒も唖然としている。
 視線を受け冷静になれたようだけど、自分の席に戻る前にマリザが私を睨む。

「試験の成績がよくても、進学できるかはわからないわよ!」

 普通に進学できるはずだから、マリザの発言は無茶苦茶に聞こえる。
 今までの行動を考えると、三学期の間に私を排除すると言いたかったのでしょう。
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