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16話

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 最終日は魔法を扱う試験で、私は問題なく魔法を繰り出せていた。

 筆記試験が終わったのか見学している上級生が多く、注目されている。
 そのせいかマリザは焦り本来の実力が発揮できず、苦しんでいるようだ。

 試験が終わり、私とハネスは理事長室に向かう。
 マリザの暴言は、教室の人達が聞いている。
 ハネス王子の婚約者に対しての暴言だから、それを理由にレヴァル公爵家の屋敷を調査できないか話していた。

 ハネスの提案を聞き、レイン理事長が頷いて。

「わかりました。王子の婚約者ということもあり、レヴァル公爵家を調査することができそうです」
「発言的に三学期の間に行動を起こす可能性が高い。早急に調べて欲しい」
「それは……今は試験後や新年度のこともあり忙しく準備も必要となるので、三学期の間には難しそうです」
「マリザはそれもわかっていたから、隠さずソニアに言ったのかもしれない」

 普通なら隠しておくべきなのに、マリザは私に叫んでいる。
 宣言してしまったこともあり、三学期の間に行動を起こすのは間違いなさそうだ。

   ◇◆◇

 試験が終わって一週間が経ち、結果も出ている。
 後二週間もすれば三学期が終わるけど、私は教室で一人の男子生徒に声をかけられていた。

 放課後になり、二年の生徒が私の前にやって来る。
 長い赤髪の美青年で、会話をしたことはないけど侯爵令息のドレークと知っていた。

「私は二年生のドレークだ。試験で見せてもらったが、ソニアは素晴らしい魔法だった」

 見学していた生徒のようで、私は尋ねておきたい。

「そうですか……そのドレーク様は、私に何か用でしょうか?」
「私も杖ではなく剣を扱う魔法士だ。このタイプは珍しいから、話してみたくなった」

 強引な気がするけど、相手は侯爵家の令息だ。
 フィリスが何か言いたそうにして、それより先にカルドがやって来る。

「……ドレーク様が、僕の代わりということですか」
「何の話かな?」
「貴方がマリザと親しいことは知っている。これはマリザの命令ですか!」

 激昂するカルドだけど、ドレークはマリザと親しいようだ。
 上級生にも友人がいるからおかしくなくて、ドレークが肩をすくめる。

「私の意思だよ。カルドはソニアと元婚約者のようだが、今は関係ないだろう」
「うっっ……」

 ドレークの発言に、カルドが怯んで何も言えなくなっている。
 私の元に来た上級生のドレークだけど……マリザと親しいのなら、人の姿をした悪魔なのかもしれない。
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