婚約者の王子が危険すぎるから、奪おうと目論んでいた妹に譲ります

黒木 楓

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35話

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 ラッセルは持っていたポーションや緊急用の閃光弾の魔道具を、冒険者に売っていく。

 後払いでも構わないと言っていたけど、ラッセルが渡している間に、私に通貨を渡している。

「……それで、何があったのですか?」

 ラッセルが回復ポーションや魔道具を渡している間に、私が冒険者に尋ねてみると。

「ダンジョンに行くのなら異常種、異種と呼ばれている特殊なモンスターを知っているな?」

「ええ。普通のモンスターとは違う、異常な強さを持っている突然変異種ですね」

 私も昨日ラッセルから聞いていたけど、その異種というモンスターが原因のようだ。

「小型の、そう言っても3メートルぐらいはある二足歩行のドラゴンが現れたが、そのブレスが問題なんだ」

「ブレスドラゴン……現れるとしても8階層以降だと聞いているが、5階層に居るのか?」

 ラッセルが尋ねると、冒険者は慌てた様子で。

「ああ。どうも奴は階段を昇り外に出ようとしているらしい……あんなのが外に出れば、この国が大変なことになる!」

 モンスターは、本来ダンジョンに存在できないほどの数になると、ダンジョンの外で生まれるようになるらしい。

 基本的にダンジョンで生まれたモンスターはその階層にいるはずなのに、外に出ようとしている異常種?

 そんなのは聞いたことがないけど……この大陸だと、普通のことなのだろうか。

「5階層は冒険者が多くて、かなりの犠牲者が出るかもしれない……売ってくれて感謝する!」

 そう言って持って来たポーションを全部受け取った冒険者が頭を下げると、ラッセルがその冒険者の後を追う。

「ラッセル?」

 私もラッセルの横を走ると、私達に気付いた冒険者が驚いた様子で。

「ど、どうした?」

「この時に備えて対異種用の魔道具を持ってきているから、試してみようと思ってな」

 確かに、このままダンジョンに向かっている冒険者達がやられると、経営に影響が出る可能性は高い。

 ラッセルは売ってはいるけど私達が使う用の魔道具は残しているし、最悪の事態になっても逃げきることはできるはずだ。

「わかったが……敵は相当強いぞ。大丈夫か?」

「無理なら諦めるさ。位置も解っているからな」

 そう言って、ラッセルは杖のような鉄の棒を地図に出して、異種の位置を特定していた。

 周囲のモンスターで最も魔力が高い存在を検知する道具で、最深部のボス用なのに……反応している。

「そ、そんな魔道具が、トールズ魔道具店にはあるのか……」

 冒険者の人も驚きながら、避難している場所に向かうようで私達と離れている。

 そして――5階層の大部屋に向かうと、二足て立っている巨大なドラゴンの姿があった。
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