レシピの見つけ方 〜旅するお菓子ノート〜

武内れい

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第三章:チーズの町、ミルクの風

60、ふんわり重ねた夢(後半)

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 パティスリーツチヤの店内は、ふんわりと甘い香りに包まれていた。木のテーブルには、ふんわりチーズケーキ、ピーマンのフィナンシェ、そして奏汰と私が何度も試作を繰り返した焼き菓子がずらりと並んでいる。今日は、みんなでこの完成をお祝いする日だった。

「ことりちゃん、奏汰くん、やっと完成したね!」
 土屋さんが笑顔で声をかけてくれた。
「ここまで来るのは簡単じゃなかったけど、その分、味には自信があるよ」

 友達のいぶきやクラスメイトも来てくれて、店内は子どもたちの笑い声でにぎやかだ。
「どれどれ、いただきます!」
 いぶきは手を合わせて元気よく言った。みんなでお菓子を分け合い、一口食べると自然と「おいしい!」という声があちこちから湧き上がった。

 私はゆっくりとチーズケーキを噛みしめながら、これまでの試作の日々を思い出していた。
(最初は焦げちゃったり、固くなったりして…本当にできるのか不安だったけど)

 隣の奏汰がうなずく。
「それでもあきらめずに、何度も工房に通って、土屋さんに教わって…」

「そうだね。お菓子作りって、ただ材料を混ぜるだけじゃないんだよね。素材の声を聞いて、手の感触を確かめて、細かいところまで気を配ることが必要なんだ」

 奏汰の言葉に、みんなも頷いていた。

 いぶきが笑いながら言った。
「ことりちゃんたちの焼き菓子、友達にもあげたら大好評だったよ!みんな野菜が入ってるなんて信じられない!って驚いてた」

 私はちょっと照れながら、「それはうれしいな」とつぶやいた。

 店のスタッフも試食に参加してくれて、
「このチーズケーキのふんわり感は、丁寧な泡立てと焼き加減の賜物ですね」と褒めてくれた。

「今度はもっとたくさんの人に届けられるように、パッケージや見せ方も工夫していこう」
 土屋さんが話す。

 私はふと、自分のノートを取り出し、新しいページに〈次の夢〉と題してこう書き始めた。
 〈もっと多くの人を笑顔にするお菓子を作りたい。体にやさしくて、楽しく食べられるお菓子を〉

 奏汰も同じようにメモを取りながら言った。
「これからも二人で学んで、いろんな素材や技術を試したい。いつか自分たちのお店を持てたらいいな」

 店の外では、夕暮れの風がやさしく木々を揺らしていた。
「大人になるのはまだ先だけど、今できることを一歩ずつがんばろうね」
 奏汰の言葉に、私はにっこり笑って答えた。

「うん、私たちのスイーツの旅は、まだ始まったばかりだね!」

 その日、パティスリーツチヤの店内には、子どもたちの夢と希望が溢れていた。たくさんの人の努力と想いが詰まったお菓子を囲んで、奏汰と私はこれからも成長していくのだと強く感じていた。
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