元婚約者の姉になる(男はシスコンとヤンデレをこじらせている模様。敵は悪役令嬢とヒロインでしょうか?)

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弟の容姿は可憐で愛らしい天使のようだが、“血のように”なんて毒々しい言葉すら似合ってしまう妖しい魅力が、10年もこの世で生きていない純粋な幼子から微かだが漂っている。



 複雑に入り交じった曖昧な魅力を言葉に表すのは実に難しい。



 そんな弟は貴族達が社交の場で必ずと言っていいほど話題に上げることが繰り返され、彼のその風貌は齢わずか7つで、社交界デビューもまだで公に彼の容姿を晒されたわけではないにも関わらず、まだ未完成な美しさを貴族の茶会で、我が親族が誰もいないにしろご機嫌取りの目的以外でも良い話のネタになった。
    
一時は詩人も匙を投げたその美しさをどれだけ表現出来るかと可笑しな娯楽も流行ったことも彼の噂が広く世間に知れ渡るのを助けた。



 弟は天使のように愛らしく可憐で将来の美貌を約束されていると言われ、大人になった時、彼がこの世の美の原石だったものが磨かれ真の宝玉になると一方では言われ、もう一方では美人薄幸の言葉のようにその理想は儚く脆く崩れ去るとも言われている。



 美の神の嫉妬を買い、途中でその道は閉ざされるかもしれない。

 もしくは悪魔の子だ、とも。

 可愛いのは幼いうちだけだ、と徒いたずらに嫉妬を買うこともある。

 そして、いつかその身に受ける嫉妬で身を滅ぼすとも。



 個人の将来の幸不幸を勝手に予想して、憶測は憶測を呼びまだ十にも満たない幼子の将来を皆が知る共通の話題として茶会のお菓子のごとく散々にトッピングして客をもてなす。
 随分なことだ。

 いつの世も暇を持て余した貴族様は相変わらず享楽、娯楽に飢えているようだ。



 だが、どれだけ噂されようが彼が美しく成長することは約束されているのだ。



 悪魔に魂を売り払うことで得たかと思うほど凄絶な美しさを身の内に閉じ込め成長した彼の視線と絡んだ時、私は心を絡め取られた。

 前世で彼と出会い恋を知り、彼だけを想い慕い、なす術なくズブズブと深みにハマった私がそのようにいうのだからこれは確かなことだ。
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