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『今日は大丈夫な気がするからっ、ねぇ?お願いっ』
そう言って弟の嫌がる種類の後味のスッキリとした爽やかな茶葉で淹れた紅茶を飲む私にその紅茶を強請ねだる。私が給仕メイドを呼んで同じものを用意させようとする間に勝手に人の飲みかけのカップに口をつけるのはご愛嬌。
『あっつい!むぅ、それにスースーするぅ。全然おいしくない...!』
そのまま紅茶を私に突き返す。
自分をガン見する人間が目の前にいて媚びない弟の大物感も負けじと凄まじいものだ。
美に思いを馳せながら瞑想しているのか迷走してるのか目をギラギラと光らせながら凄まじい詩人の目の前で、可愛らしく唇を尖らせているのはこれまたなんの張り合いか。
私はマーマレードを紅茶に溶かしながらを気まずい思いをした。
それでも甘えてくるヨハンの頭を撫でると柔らかい触り心地が一時の心の慰めとなる。
その場違いな空気は私にとってはひどく決まり悪いもので、マーマレードが溶けた後も暫くクルクルとティースプーンを回して気まずい時間が過ぎ去るのを弟を適当に相手にしながら待ってみたりもした。
その後マーマレードで少し冷めた紅茶を私が飲んでいるとまた弟に強請られた。
一口飲んでまた突き返された。
“香りがダメなら最初から飲まなければいいのに...。”
大丈夫だと言って大丈夫だったことなんてないのだから。
思いながら弟の好きな茶葉の紅茶を給仕メイドに用意するように伝え、私は弟に突き返された紅茶を黙って飲んだ。
今日も紅茶は美味しい。
詩人に弟の容姿を表現してもらうために家に招待した訳じゃないのに、詩人はずっと夢中になって弟に熱い視線を送りながら溢れ出る言葉の数々を書き留めていた。
私は男も女もその性別の隔たりなく虜とりこにする弟の凄さを知り、姉弟なのに似ても似つかぬ枯れ葉色の自分の髪を一束つかみ溜息を零した。
そう言って弟の嫌がる種類の後味のスッキリとした爽やかな茶葉で淹れた紅茶を飲む私にその紅茶を強請ねだる。私が給仕メイドを呼んで同じものを用意させようとする間に勝手に人の飲みかけのカップに口をつけるのはご愛嬌。
『あっつい!むぅ、それにスースーするぅ。全然おいしくない...!』
そのまま紅茶を私に突き返す。
自分をガン見する人間が目の前にいて媚びない弟の大物感も負けじと凄まじいものだ。
美に思いを馳せながら瞑想しているのか迷走してるのか目をギラギラと光らせながら凄まじい詩人の目の前で、可愛らしく唇を尖らせているのはこれまたなんの張り合いか。
私はマーマレードを紅茶に溶かしながらを気まずい思いをした。
それでも甘えてくるヨハンの頭を撫でると柔らかい触り心地が一時の心の慰めとなる。
その場違いな空気は私にとってはひどく決まり悪いもので、マーマレードが溶けた後も暫くクルクルとティースプーンを回して気まずい時間が過ぎ去るのを弟を適当に相手にしながら待ってみたりもした。
その後マーマレードで少し冷めた紅茶を私が飲んでいるとまた弟に強請られた。
一口飲んでまた突き返された。
“香りがダメなら最初から飲まなければいいのに...。”
大丈夫だと言って大丈夫だったことなんてないのだから。
思いながら弟の好きな茶葉の紅茶を給仕メイドに用意するように伝え、私は弟に突き返された紅茶を黙って飲んだ。
今日も紅茶は美味しい。
詩人に弟の容姿を表現してもらうために家に招待した訳じゃないのに、詩人はずっと夢中になって弟に熱い視線を送りながら溢れ出る言葉の数々を書き留めていた。
私は男も女もその性別の隔たりなく虜とりこにする弟の凄さを知り、姉弟なのに似ても似つかぬ枯れ葉色の自分の髪を一束つかみ溜息を零した。
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