元婚約者の姉になる(男はシスコンとヤンデレをこじらせている模様。敵は悪役令嬢とヒロインでしょうか?)

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 首さえ手放した私はあと、何を奪われるのか。

 私に残っているものはなんだろう。



 無実の罪状、

 _____跳ねられた首の温度は、土に分け与えられた。

 私の最後の記憶は自身の差し出された首を飛ばす刃の音と、様々な反応で喧騒を作り出す湧き立つ見物人の中に見た、一等目を惹く美しい男だ。



 形の良い唇の端を吊り上げる愛していた婚約者の瞳は安らかなモノだった。



 そして私は再び同じ世界にいた。

 人も土地も皆同じ。

 だが、何かが違った。

 私は生まれてすぐに気がついた。

 前世と違ったのは、生まれた家。

 私は前世親だった人と他人になった。

 そして、婚約者だったヨハンの姉になった。



 私は弟が苦手だ。



 人の死を観劇でも観るように眺めていた彼が恐ろしくて仕方が無い。









  私は今の今まで彼に向き合おうとなんてしなかった。





 私は一生彼から逃げ続けることが無理だとわかっていながら、心のどこかで彼と向き合わずに逃げ延びることを望んでいる。



 そんな未来を渇望しているのだ。



 6年間彼と共にいたのだ。情がない訳では無い。

 むしろだいぶ愛情はある。

 そう。

 だからこそ、なのだ。



 情が芽生えてしまったことで、前世の政略結婚という互いの感情を_____私という、ヨハンという個々を_____徹底的に排除し無視した、無機質なあの関係が再び...。



そうならないために芽を摘まなくてはならない。



 前世の彼に殺されたとき以上に、私は愛する弟の真っ直ぐな正義感が私を殺すことに怯えているのだ。



 親愛と恐怖という非常に奇妙な感情を同時に抱えている。親愛には安心がお似合いだと思っている私からすると不安定で不格好で皮肉なものだと思う。



“たとえ彼に殺されても変わらずに彼を弟として愛している”





 そんなことが言えるほど私は強くない。

 私は彼の真っ直ぐな正義感という性質を愛しているからこそ彼のそれに殺されることにひどく恐れを抱いている。











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