命乞いから始まる魔族配下生活

月森かれん

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第2部 「教会送り」追求編

完結記念SS 82.5話 デュークのワガママ ※BL要素注意!! 読まれる際は自己責任で!!

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 「あのー、デュークさん?」

 戸惑いながらそう言うことしかできなかった。
 小さな雑木林に連れてこられて、両腕を木の幹に押さえつけられている。
もちろん、背中も幹だ。俺は逃げ場を失った。

 「ん~?俺が何しようとしてるのか、モトユウちゃんならわかるだろ~?」

 妙に色気のある、低い掠れた声で言うデュークさん。
黄色い目をギラつかせてニヤニヤしている彼に、諦めに近いものを覚えた。
完全に獲物を捕らえた目だ。

 「で、でも……」

 「俺さ、だいぶガマンしてんのよね~。
少しぐらい発散させても……いいだろ?」

 耳元で囁かれて、ゾクゾクと震えがはしる。
体や空気は冷たいのに、押さえつけられている手の甲だけが熱い。

 「で、どこまで進むよ?俺的には口ぐらいいっときたいんだけど?」

 「ち、ちょっと待っでください!」

 「何?」 

 鼻先が触れるぐらいまで顔を近づけられて、慌てて顔をそらす。
 危機を感じたからか、心臓がドクドクと早鐘を打ち始めた。
 進行を止められたデュークさんは不機嫌そうに口を曲げている。

 「本気なんで――」

 「本気。前に言ったろ?俺は女に興味ないって」

 確認するような低声に思わず視線を戻してしまった。
 デュークさんが嬉しそうに目を細める。

 「だからって、い、今じゃなくても――」

 直後、顎を掴まれて頬に柔らかいものが触れた。


 背筋が凍って思わず悲鳴が漏れる。
 少しだけ顔を離したデュークさんは、ニンマリと笑って舌舐めずりした。
 
 「今回はここまでで勘弁しといてやるよ。
モトユウちゃんの活力削ぐわけにもいかねぇし」

 (お、俺、今、デュークさんに……)

 されたことが信じられなくて言葉を失い、鼓動の音で頭が埋め尽くされる。
 デュークさんはいつものようにニヤニヤしながら
再びグッと距離を詰めてきた。

 「モトユウちゃんがいいなら、さらに先いくけど?」

 「い、いえっ!大丈夫ですっ!」

 ハッと我に返り、少し暴れると簡単に戒めから解放された。
幸い、まだその気ではなかったみたいだ。

 勢いでそのまま走り出す。

 「ヒハハッ、ゆっくり休めよ~」

 (無理に決まってんだろ!?)

 デュークさんの朗らかな声を背中に受けながら、
皆の所に戻った。
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感想 1

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みんなの感想(1件)

鮎
2023.02.13

設定が凄いすきです!!!!!
個人的に勇者が魔王に寝返るとかそういう感じの作品が好きなので凄いサクサク読んじゃいました。モトユウの性格も結構すきなタイプですし、デュークとの絡みもすごい良いなぁと思って見てます。
あと、モトユウの夢の事とか色々謎なのでそういうのも明らかになったら嬉しいなって思います。
お忙しいとは思いますがこれからも更新楽しみに待ってます!

2023.02.14 月森かれん

ありがとうございます!とても嬉しいです!

残っている謎は少しずつ回収していきますので、どうぞお楽しみに。

ゆっくりですが更新頑張りますね!

解除

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