命乞いから始まる魔族配下生活

月森かれん

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第2章

「教会送り」について考える

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 「回復効果のある深いフロがあることがわかって、アパリシアさん、ヘネラルさん、オネットやテナシテさんと会って。
それから魔王にエインシェントオークの討伐をさせられて……今考えても無茶ぶりだったよなアレ」

 デュークさんとテナシテさんのサポートがなければクリアできなかっただろう。
しかしそれで魔王何をしたかったのかわからなかった。褒美があったわけでもないからだ。
とはいえ、魔王のことなので単に雑用を押し付けただけかもしれない。

 「で、一段落したと思ったら、部隊に入れって言われてフォルスさん達
副団長とも会って。ドーワ族とも会って交渉がうまくいったと思っていたら、
暴食族から「教会送り」にされかけたけどデュークさんが助けてくれて。
  ハチャメチャな日々だけどけっこう魔王城で過ごしてるんだな、俺」

 正確な日数はわからないが10日以上は経っているはずだ。自分で言うのもなんだがスゴいと思う。
案外、俺以外でも持つかもしれないが。 
 ざっと振り返ってポツリと呟く。

 「魔族や魔王の目的って何なんだ?」

 前にも疑問に思ったことはあったが、考えていたところでデュークさんに割って入られてそのままになっていた。
 正直、魔王達は強い。いくら身内の問題があるといっても世界支配なら3日あれば終わりそうだ。 
 「教会送り」と「墓地送り」で攻防戦が続きそうではあるが、「教会送り」は、倒された場所から最も近い町村に送られる。
近い場所が滅べばその次に近い場所になり、最終的には1箇所から復活することになるだろう。
復興にも時間がかかるため長期戦になるなら人間が不利だ。

 「でもどれだけ町から離れていても距離が遠いからって復活が遅れるとかいうのは聞いたことないな。
最後の1人がやられてから5分もあれば充分だし」

 (いや待てよ。最初は「教会送り」って個別発動じゃなかったか?) 

 まだ冒険者になる前、村の近くの森で何度か「教会送り」になったことがあった。両親も呆れていたような気がする。
「仕事が滞る」等と怒られたことはなかったので両親は一緒に「教会送り」になっていないはずだ。

 「冒険者になったら複数になるのか?
いや、パーティを組んでからだ」 

 2つ目の町でザルド達と出会ったあと教会に向かい、そこで何かの儀式を受けた気がする。おそらく個別から複数に登録し直したのだろう。
システムが全くわからないので登録という行程があるのかも不明だが。

 「てなきゃ、パーティが全員死ぬまでそのままなんてあり得ないもんな。
個別なら死んだ瞬間戻されるはずだから」

 やっぱり「教会送り」には何かがあるみたいだ。今まで深く考えることはなかったが、改めてみると他にも疑問はある。

 「リスクが何も無いってのもおかしいな。武器防具、お金はそのままだし、傷も完治している。普通に考えれば何か代償がありそうなのに。
  やっぱり魔王に聞きに行くのが最適か……」

 こうなったらボコられてもいい。
魔王が持っている情報を教えてもらわないといけない。

 「魔王がわざわざ俺を配下にした理由も聞きたいしな」

 大きく息を吐いてから全身を伸ばす。ずっと壁に寄りかかっていたので一部が固まってしまっており、パキパキと音がなった。

 「ふぅ……よし行くか――」

 歩き出そうとした瞬間、地響きが起こり宙に浮いたような感覚に陥る。 
突然のことで状況がのみこめず、尻もちをついた。 
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