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第2部 「教会送り」追求編
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「はあああぁッ⁉」
4人同時に叫ぶが、当の本人はヘラヘラ笑っている。俺達のリアクションも予想して言い放ったのだろう。
「絶対に認めないわよ!!魔族と行動なんてできるわけないじゃない!」
「私もフローさんと同感です!嫌です!」
女性2人に指を差されても拒否反応を示されてもデュークさんは表情を崩さない。
「まぁ、アンタらの反応は予想通りー。でも、お尋ね者じゃないワケ?」
「俺達が?」
自分の顔を指して言うザルドにデュークさんは首を縦に振った。
「だってよー、司祭共に追われるほど何かヤラカシたんだろ?
取り逃がしました、じゃあ仕方がないですね、諦めましょうってなると思う?」
思わず全員で唸る。広場で取り逃がした後も追ってくるしつこさだ。そう簡単に諦めるとは思えない。
ザルドが顔をしかめたまま呟く。
「近い内に手配書が出ることになりそうだな」
「じゃあ、あたし達は町に入れないってこと?」
「そ、そうなるかもしれませんね。賞金もつけられるでしょうし」
アリーシャが遠慮がちに答えた。
酒場の掲示板には要注意モンスターの情報が張り出されており、たまに賊や探し人の情報も張り出されることがあった。
たいていそれらには賞金がつけられていて、倒したり連れてきた人が受け取れるようになっている。
ふと、アリーシャの話を聞いて疑問が浮かんだ。
(もしかして教会が手配書を出しているのか?)
「教会か゚そんなことできるのか?」
「大司教様とまではいかなくても、司祭様方も権力は強いです。
私達冒険者をお尋ね者にするぐらい簡単かと。すみません……」
「いや、アリーシャは全く悪くないよ」
彼女が申し訳なさそうに頷くのを見てフォローした。彼女に非は無いのは事実だからだ。
フローが見るからに怒りを顕にして地面を踏みつける。
彼女は短気でよく怒っているが、今の地面を割りそうな勢いに少し飛び上がってしまった。
「とんでもない悪い組織じゃない!教会って!」
「ああ。追われる立場になってわかることってあるもんだな」
「呑気に言ってる場合じゃないわよ!」
すかさずフローに鋭いツッコミを入れられてザルドが笑う。
狙ったのかはわからないが、暗くなってきているムードの中でこのような発言ができるのはスゴイと思う。
ずっと話を聞いていたデュークさんがニンマリと笑った。こうなることも予測していたのだろうか。
「なんとなく状況わかった?
それで、俺もアンタらに興味あってさー。ついてってもいいよな?」
「それとこれとは話は別よ!ただでさえ追われているのに魔族なんかと一緒にいるなんて知られたら、
元の生活に戻れないじゃない!」
容赦なく言葉を浴びせているフローの隣でアリーシャが何度も頷いている。
たとえ一時的だとしても、魔族と行動している所を見られれば悪い噂が流れるのは確実だろう。
(2人の主張も尊重はしたいけど、これから追手は増えるだろうし4人だけで逃げ切れるのか?)
教会だけでなく冒険者のほとんどが敵に回るだろう。そうなると捕まる可能性が高い。
デュークさんは少しの間黙っていたがポツリと呟いた。
「ここのリーダって誰?」
「お、俺です」
「あー、そう。ならアンタの主張だけじゃ決めれねぇよなぁ?」
勝ち誇ったように言うデュークさんにフローは歯ぎしりすると俺に向き直る。
パーティにはよるが、物事の最終的な決定はリーダーに任されているからだ。
「ちょっと待ってなさい!みんな、集合!」
「ヒハハ、まるでアンタがリーダーだなー」
「あたし達が話し終わるまで黙ってなさい!」
デュークさんはフローの言葉なんて全く気にしていない様子で、笑いながら再び木の幹に寄りかかった。
フローは顔を寄せると小声で話し始める。
「あいつについてだけど、当然私達は嫌よ!」
「突然裏切られる可能性もありますし」
「ザルドは……?」
尋ねると彼は困り顔で腕を組んでしまった。
迷っているのだとは思うが、少なくとも否定ではなさそうでなんとなく嬉しい。
「うーん、難しいよなあ。
不安があるのは確かだが、戦闘面ではかなり心強いぞ。街中での殺気を見ただろ?」
ザルドの言葉にフローとアリーシャの肩がピクリと跳ねた。
その時を思い出したのかフローに関しては目の勢いがなくなって、気まずそうに泳ぎ始める。
「そりゃあそうかもしれないけど、巻き添えくらったら嫌じゃない」
「ああ見えて、敵味方の区別はしっかりついてるから大丈夫だよ」
「説得力があるのが悔しいです……」
アリーシャから恨めしそうな目で見られる。
俺は申し訳なさから若干顔をそらした。
(そんな目で見られても言ってることは事実なんだよ。教会から逃げるには俺達だけじゃ限界あるだろうし。
ん?でも教会から逃げてるだけじゃ何も変わらないよな?)
逃げなきゃいけないのは確かだが、俺達の目的はそれではないはずだ。
しかし何なのか自分でもわからないため、みんなに聞いてみることにした。
「その前に1つだけ確認したいことがあるんだけど」
「何よ?」
「そもそも、俺達の目的って何だ?」
俺の質問にフローもアリーシャも目元が緩む。
それから真剣な表情で考え始めた。
「教会から逃げる……いや、違うわね」
「大司教様の年齢を知ってしまって追われているから……」
「大司教様に会うことではないでしょうか?」
「それで、会って年齢を聞いたらいいの?」
フローの問いかけにアリーシャは小さく頷いた。
「ひとまずは。本当に200歳だったら、どうしてそんなに長生きなのか聞かないといけません。
200歳ではなくても、長生きしているのは間違いないので理由を聞かないと……」
「なるほど。じゃあ目的は大司教様に会って年齢を確認する、でよさそうだな」
「それはいいんだが、どこにいるのかわかるのか?」
全員が首を捻った。
1番情報を持っているアリーシャでさえそうしているのだから、誰もわからないのだ。
「と、とりあえず目的は決まったんだから、次はあいつをどうするかよ!」
調子を取り戻してきたフローがデュークさんを指差す。
デュークさんは今の状況を楽しんでいるのかニヤニヤしているだけだ。
(フローとアリーシャは反対。
ザルドはどちらかと言えば賛成。俺も賛成だから真っ二つに分かれるな)
「ちなみに俺は賛成なんだけど……」
「は?」
言い終わらない内に女性陣から睨まれる。
ザルドは意外そうに眉を上げていた。
(フローとアリーシャの反応はわかるけど、俺が賛成なのそんなに意外なのか?)
「確かに完全には信用できないとは思う。でも、もしかしたら俺達が知らない抜け道を知ってるかもしれないし。
それに幹部だけあって戦闘力については文句無しなんだ」
「そりゃあ戦ったことあるし、さっきも目の当たりにしたんだから強いのは認めるわ」
「で、でも不安なんです。裏切りとか放置とか」
2人の言うことも一理ある。
後で何か起こって「魔族を引き入れたからだ」なんて言われたら返す言葉がない。
(デュークさんはスタミナはバケモノだし、頭も回るし動きも素早い。
デメリットと言えば何をしてくるのか想像がつかないぐらいで)
みんなの不信感を払拭するにはもう一押しいる。
なら、リーダーである俺がどうにかするしかない。
「もし何かしてきそうだったら俺が止める!」
「え?」
「へ?」
「あんたが?」
言い切った俺に3人とも目を丸くしている。
力付くでは止められないのはわかっているので、賭けではあるがデュークさんの好意を利用するつもりだ。
たぶん俺には嫌われたくないはずなので留まってくれる可用性が高い。
3人の表情はまだ訝しげだ。
本当に俺が止められるのか疑っている部分もあるのだろう。
(難しいか……)
「や、やっぱり嫌?」
おそるおそる尋ねるとフローが大きなため息を吐いた。
「わかったわ。あんたがそこまで言うならやってみようじゃない。
ってことで話聞いてたわね!?私達が見えるか見えないぐらいの後方からついてきなさいよ!」
「リョーカイ。面白くなりそうじゃん」
デュークさんは不敵に笑うと、木に寄りかかるのををやめて再び静かに佇んだ。
4人同時に叫ぶが、当の本人はヘラヘラ笑っている。俺達のリアクションも予想して言い放ったのだろう。
「絶対に認めないわよ!!魔族と行動なんてできるわけないじゃない!」
「私もフローさんと同感です!嫌です!」
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「俺達が?」
自分の顔を指して言うザルドにデュークさんは首を縦に振った。
「だってよー、司祭共に追われるほど何かヤラカシたんだろ?
取り逃がしました、じゃあ仕方がないですね、諦めましょうってなると思う?」
思わず全員で唸る。広場で取り逃がした後も追ってくるしつこさだ。そう簡単に諦めるとは思えない。
ザルドが顔をしかめたまま呟く。
「近い内に手配書が出ることになりそうだな」
「じゃあ、あたし達は町に入れないってこと?」
「そ、そうなるかもしれませんね。賞金もつけられるでしょうし」
アリーシャが遠慮がちに答えた。
酒場の掲示板には要注意モンスターの情報が張り出されており、たまに賊や探し人の情報も張り出されることがあった。
たいていそれらには賞金がつけられていて、倒したり連れてきた人が受け取れるようになっている。
ふと、アリーシャの話を聞いて疑問が浮かんだ。
(もしかして教会が手配書を出しているのか?)
「教会か゚そんなことできるのか?」
「大司教様とまではいかなくても、司祭様方も権力は強いです。
私達冒険者をお尋ね者にするぐらい簡単かと。すみません……」
「いや、アリーシャは全く悪くないよ」
彼女が申し訳なさそうに頷くのを見てフォローした。彼女に非は無いのは事実だからだ。
フローが見るからに怒りを顕にして地面を踏みつける。
彼女は短気でよく怒っているが、今の地面を割りそうな勢いに少し飛び上がってしまった。
「とんでもない悪い組織じゃない!教会って!」
「ああ。追われる立場になってわかることってあるもんだな」
「呑気に言ってる場合じゃないわよ!」
すかさずフローに鋭いツッコミを入れられてザルドが笑う。
狙ったのかはわからないが、暗くなってきているムードの中でこのような発言ができるのはスゴイと思う。
ずっと話を聞いていたデュークさんがニンマリと笑った。こうなることも予測していたのだろうか。
「なんとなく状況わかった?
それで、俺もアンタらに興味あってさー。ついてってもいいよな?」
「それとこれとは話は別よ!ただでさえ追われているのに魔族なんかと一緒にいるなんて知られたら、
元の生活に戻れないじゃない!」
容赦なく言葉を浴びせているフローの隣でアリーシャが何度も頷いている。
たとえ一時的だとしても、魔族と行動している所を見られれば悪い噂が流れるのは確実だろう。
(2人の主張も尊重はしたいけど、これから追手は増えるだろうし4人だけで逃げ切れるのか?)
教会だけでなく冒険者のほとんどが敵に回るだろう。そうなると捕まる可能性が高い。
デュークさんは少しの間黙っていたがポツリと呟いた。
「ここのリーダって誰?」
「お、俺です」
「あー、そう。ならアンタの主張だけじゃ決めれねぇよなぁ?」
勝ち誇ったように言うデュークさんにフローは歯ぎしりすると俺に向き直る。
パーティにはよるが、物事の最終的な決定はリーダーに任されているからだ。
「ちょっと待ってなさい!みんな、集合!」
「ヒハハ、まるでアンタがリーダーだなー」
「あたし達が話し終わるまで黙ってなさい!」
デュークさんはフローの言葉なんて全く気にしていない様子で、笑いながら再び木の幹に寄りかかった。
フローは顔を寄せると小声で話し始める。
「あいつについてだけど、当然私達は嫌よ!」
「突然裏切られる可能性もありますし」
「ザルドは……?」
尋ねると彼は困り顔で腕を組んでしまった。
迷っているのだとは思うが、少なくとも否定ではなさそうでなんとなく嬉しい。
「うーん、難しいよなあ。
不安があるのは確かだが、戦闘面ではかなり心強いぞ。街中での殺気を見ただろ?」
ザルドの言葉にフローとアリーシャの肩がピクリと跳ねた。
その時を思い出したのかフローに関しては目の勢いがなくなって、気まずそうに泳ぎ始める。
「そりゃあそうかもしれないけど、巻き添えくらったら嫌じゃない」
「ああ見えて、敵味方の区別はしっかりついてるから大丈夫だよ」
「説得力があるのが悔しいです……」
アリーシャから恨めしそうな目で見られる。
俺は申し訳なさから若干顔をそらした。
(そんな目で見られても言ってることは事実なんだよ。教会から逃げるには俺達だけじゃ限界あるだろうし。
ん?でも教会から逃げてるだけじゃ何も変わらないよな?)
逃げなきゃいけないのは確かだが、俺達の目的はそれではないはずだ。
しかし何なのか自分でもわからないため、みんなに聞いてみることにした。
「その前に1つだけ確認したいことがあるんだけど」
「何よ?」
「そもそも、俺達の目的って何だ?」
俺の質問にフローもアリーシャも目元が緩む。
それから真剣な表情で考え始めた。
「教会から逃げる……いや、違うわね」
「大司教様の年齢を知ってしまって追われているから……」
「大司教様に会うことではないでしょうか?」
「それで、会って年齢を聞いたらいいの?」
フローの問いかけにアリーシャは小さく頷いた。
「ひとまずは。本当に200歳だったら、どうしてそんなに長生きなのか聞かないといけません。
200歳ではなくても、長生きしているのは間違いないので理由を聞かないと……」
「なるほど。じゃあ目的は大司教様に会って年齢を確認する、でよさそうだな」
「それはいいんだが、どこにいるのかわかるのか?」
全員が首を捻った。
1番情報を持っているアリーシャでさえそうしているのだから、誰もわからないのだ。
「と、とりあえず目的は決まったんだから、次はあいつをどうするかよ!」
調子を取り戻してきたフローがデュークさんを指差す。
デュークさんは今の状況を楽しんでいるのかニヤニヤしているだけだ。
(フローとアリーシャは反対。
ザルドはどちらかと言えば賛成。俺も賛成だから真っ二つに分かれるな)
「ちなみに俺は賛成なんだけど……」
「は?」
言い終わらない内に女性陣から睨まれる。
ザルドは意外そうに眉を上げていた。
(フローとアリーシャの反応はわかるけど、俺が賛成なのそんなに意外なのか?)
「確かに完全には信用できないとは思う。でも、もしかしたら俺達が知らない抜け道を知ってるかもしれないし。
それに幹部だけあって戦闘力については文句無しなんだ」
「そりゃあ戦ったことあるし、さっきも目の当たりにしたんだから強いのは認めるわ」
「で、でも不安なんです。裏切りとか放置とか」
2人の言うことも一理ある。
後で何か起こって「魔族を引き入れたからだ」なんて言われたら返す言葉がない。
(デュークさんはスタミナはバケモノだし、頭も回るし動きも素早い。
デメリットと言えば何をしてくるのか想像がつかないぐらいで)
みんなの不信感を払拭するにはもう一押しいる。
なら、リーダーである俺がどうにかするしかない。
「もし何かしてきそうだったら俺が止める!」
「え?」
「へ?」
「あんたが?」
言い切った俺に3人とも目を丸くしている。
力付くでは止められないのはわかっているので、賭けではあるがデュークさんの好意を利用するつもりだ。
たぶん俺には嫌われたくないはずなので留まってくれる可用性が高い。
3人の表情はまだ訝しげだ。
本当に俺が止められるのか疑っている部分もあるのだろう。
(難しいか……)
「や、やっぱり嫌?」
おそるおそる尋ねるとフローが大きなため息を吐いた。
「わかったわ。あんたがそこまで言うならやってみようじゃない。
ってことで話聞いてたわね!?私達が見えるか見えないぐらいの後方からついてきなさいよ!」
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