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好き、、すき!、すき、。

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「うぇー、泣くなよ。人をバイキン扱いしやがって。」

泣きながら唇をゴシゴシと擦るエレナを見て、男が顔を歪ませながら怒っているが、怒りたいのはエレナの方であった。

キスをされたあと、大泣きしたエレナは彼これ数十分グズグズと涙を流しながら唇を擦り続けているのである。

エレナにキスした男は今だにエレナの腰を抱いており、エレナはバタバタと体を動かしイヤイヤと首を振って見るのだが、男が離してくれる気配はない。

「泣くなってー、ほら。エレナちゃんが知りたいアランの秘密教えてあげるからさぁ??」

エレナの長いプラチナブロンドの髪を片手で弄びながら言う男はどこか楽しそうで、男からは鼻歌まで聞こえてくるので、男の腕から逃れるのを諦めたエレナは「アラン、、の、秘密??」と
大分と落ち着いてきたのか、小首を傾げスンスンと鼻を啜りながら、男の言葉を繰り返した。

「うん?そうそう、アランの秘密。なに?どれが聞きたい?」

「どれ???って、、?」

そんなに沢山あるの??とエレナが首を傾げれば、男は指を折り、何やら数を数え出した。
そうして6つ程数えたあと、「うん、これくらいか。」と言い、エレナに指を見せ
「あいつがエレナちゃんに隠してる秘密、多分こんくらいあるけど、どれ?どれが聞きたい?」と問うてくるのだ。

怪し気に笑う男はこの状況を楽しんでいるのが見て取れる。アランにはエレナに隠している事が沢山あるのだろうが、、エレナが知りたい事はたった一つであった。

「ロッ、、、ローゼ様とアランは、、、その、、あの。。」とエレナがモジモジと言う言葉に躊躇っていると、男は何を言いたいか察したのだろう、どこか面白く無さそうに「あー、それ。」と赤い髪をガシガシかきあげながら答える。

「やっぱ好きなの?アランの事?それとも、まだまだ解けてない感じ?」

「好き、、?うん、アラン好き。うん、大好き。」と繰り返せば、「あー、まじしつけえ。」と男はよく分からない事を言った。
かと思えば、エレナの体を強く抱きしめ、エレナの首筋に顔を埋める。

エレナはアランが好きだ。
だから、キスして欲しいし、抱きしめて欲しい。
今だってもう一ヶ月程アランにきちんと会えていなく、狂おしくて死んでしまいそう。

なのに、どこか何か違う。

「うん、、好き?好き。好き。」

自分に言い聞かせるように言葉を繰り返せば、視界がボヤけ「うん!好き!アラン好き!」とハッキリと言えるのに、言葉とは裏腹にエレナの瞳からは大粒の涙がボタボタと溢れるので、男はアランがエレナを撫でる様に、大きな手で優しく壊れ物を扱う様にエレナの頬を優しく撫でてくれる。

「いいか、よく聞け。あいつは、エレナちゃんを好きじゃない。」

男はエレナに促すように言う。

「あいつとローゼはずっと一緒にいるって、昔から決まってる。それは決まり事。絶対変わらない。」

ゲラゲラと笑っていた男は何処か真剣で、思考がボヤけてうまく物事が考えられないエレナにも、その意味が理解できた。

「大丈夫大丈夫、アランにはローゼでエレナちゃんには俺。そんでいいだろ?」

深い深い緑色の瞳でジッとエレナを男が見つめる。
ジッと顔に穴でも開くのでないかと思う程に見つめられるが、優しく頬を撫でる手にアランを感じ、「アラン、、」と涙を一粒溢しアランの名を呼べば「あー、やっぱあいつの魅了はやっかいだなぁ。」と男は不満気に顔を歪めた。



ーーーーーーー

男がいなくなった部屋にはエレナただ一人残された。

広い部屋にただ一人残されたエレナの思考は霞がかっていた霧がはれだし、、思考がハッキリし出している。

エレナはベッドからフラフラと立ち上がると徐に部屋の窓を開けた。

空には星が輝いており、久しぶりに見上げた星はとても綺麗で、少し前にアランが買ってきた大きな天体望遠鏡を何だかんだ二人で楽しみながら見たのを思い出し「ふふっ。」と思い出し笑いをしたエレナは、直に笑みを消した。

アランがエレナの為にと用意してくれた天体望遠鏡は、高価な宝石がいくつも付いており、星よりも宝石がギラギラと輝いている代物である。

そんな天体望遠鏡で星を眺めれば、宝石に光が反射して観測どころではなくなるのだ。

それでも、、エレナの為にと買ってきたアランの気持ちが嬉しかった。
エレナの為に買ってきたのだから、嬉しかった。、
なのに、エレナのいる窓から見える庭園で見覚えのあるギラギラ光る天体望遠鏡を、ローゼが覗きアランに手招きしている。ローゼに手招きされたアランはローゼの元に近づくと、エレナの大好きな優しく大きな手をローゼの頭に乗せ、くしゃくしゃとその頭を撫でてやるのだ。

瞬間エレナは笑みを消し、静かに窓を閉じ何も見なかった事にするのだった。
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