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24 王妃
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「婚約破棄になったんだって!」
「ひどい!今更どうして!?」
学園内はふたりの婚約破棄の話で、蜂の巣をつついたような騒ぎだ。
シャロンはそんな渦中でも、登校していた。
まだ諦めきれないルアージュはシャロンの姿を見ようとクラスに顔を出すも、シャロンはわざとルアージュから顔を背けつづけた。
完全な拒絶だった。
シャロンはもちろん、ルアージュを守るために、本当は悲しみできしむ心を押し殺して、このような態度をとっていた。
生徒たちもそんなふたりに何と声をかければいいのか分からず戸惑うばかりだ。
しばらくシャロンを見つめたあと、ルアージュは肩を落として自分のクラスに戻っていった。
「お気の毒」
私を蔑ろにするから。
ルアージュとシャロンへの同情の声が多い中、ソフィアはひとり冷たく皮肉めいた笑みを浮かべていた。
王妃の私室。
ベッドから半身を起こした王妃がセレストと向き合っている。
「お加減はいかがですか?王妃様」
「今日はだいぶいいのよ」
セレストは王妃のお見舞いに来ていた。
王妃はルアージュの兄、ラングレイが事故死して以来、心労から病がちになり、一年の大半を私室で過ごしていた。
「ベアトリクスは元気?」
「はい。お母様は毎日のように弟の剣の相手をしております」
「まぁ。相変わらず勇ましいわね。私も子どもたちが小さい頃はよく剣の相手をしていたわ」
王妃は昔を懐かしむように目を細めた。
セレストの母、ベアトリクスは騎士系の侯爵家の出で、王妃の従姉妹であった。
王妃の親戚筋であるセレストは、王妃との繋がりが強かった。
「ルアージュ様とシャロンの婚約が白紙になったと聞きました」
「ええ。全て陛下のご決断で。色々とお考えがあってのことでしょうけど、二人には気の毒なことになってしまったわ」
セレストは複雑な気持ちで視線を落とした。
「王妃様、シャロンに会ったことは?」
「あるわ。婚約が決まった際、挨拶に来てくれて。
場慣れしてない感じだったけど、私の質問にテキパキと答えてくれて愛らしい子だったわ。もし──」
王妃が窓の外に目をやり、思い出すように言った。
「ルアージュがシャロンと出会ってなければ、ルアージュの婚約者にはあなたを推すつもりだったのよ」
「……っ」
本当に──?
セレストは息を呑んだ。
自分にはルアージュの婚約者になる大きな可能性があったのだ。
だが、ルアージュは出会ってしまった。
婚約破棄になったが、ルアージュはシャロンのことを簡単には忘れないだろう。
「どうなるのですか?これからルアージュ様は」
「……ほとぼりが冷めるまではそっとしておくわ。
そのあとは改めて婚約者を選定することになるでしょうね。まだ陛下のお考えでどうなるかわからないけれど。
心の準備だけはしておいてね、セレスト」
まだ私にもルアージュ様の婚約者になる可能性が残っている。
ルアージュたちの不幸に付け入るようで後ろめたさはあったが、セレストにとって王妃の存在は一点の希望だった。
ごめん、シャロン。
卑怯だと思われるかもしれないけど、もし私が婚約者候補になったら、私は引き下がらないから。
セレストは心の中で静かに炎を燃やした。
「ひどい!今更どうして!?」
学園内はふたりの婚約破棄の話で、蜂の巣をつついたような騒ぎだ。
シャロンはそんな渦中でも、登校していた。
まだ諦めきれないルアージュはシャロンの姿を見ようとクラスに顔を出すも、シャロンはわざとルアージュから顔を背けつづけた。
完全な拒絶だった。
シャロンはもちろん、ルアージュを守るために、本当は悲しみできしむ心を押し殺して、このような態度をとっていた。
生徒たちもそんなふたりに何と声をかければいいのか分からず戸惑うばかりだ。
しばらくシャロンを見つめたあと、ルアージュは肩を落として自分のクラスに戻っていった。
「お気の毒」
私を蔑ろにするから。
ルアージュとシャロンへの同情の声が多い中、ソフィアはひとり冷たく皮肉めいた笑みを浮かべていた。
王妃の私室。
ベッドから半身を起こした王妃がセレストと向き合っている。
「お加減はいかがですか?王妃様」
「今日はだいぶいいのよ」
セレストは王妃のお見舞いに来ていた。
王妃はルアージュの兄、ラングレイが事故死して以来、心労から病がちになり、一年の大半を私室で過ごしていた。
「ベアトリクスは元気?」
「はい。お母様は毎日のように弟の剣の相手をしております」
「まぁ。相変わらず勇ましいわね。私も子どもたちが小さい頃はよく剣の相手をしていたわ」
王妃は昔を懐かしむように目を細めた。
セレストの母、ベアトリクスは騎士系の侯爵家の出で、王妃の従姉妹であった。
王妃の親戚筋であるセレストは、王妃との繋がりが強かった。
「ルアージュ様とシャロンの婚約が白紙になったと聞きました」
「ええ。全て陛下のご決断で。色々とお考えがあってのことでしょうけど、二人には気の毒なことになってしまったわ」
セレストは複雑な気持ちで視線を落とした。
「王妃様、シャロンに会ったことは?」
「あるわ。婚約が決まった際、挨拶に来てくれて。
場慣れしてない感じだったけど、私の質問にテキパキと答えてくれて愛らしい子だったわ。もし──」
王妃が窓の外に目をやり、思い出すように言った。
「ルアージュがシャロンと出会ってなければ、ルアージュの婚約者にはあなたを推すつもりだったのよ」
「……っ」
本当に──?
セレストは息を呑んだ。
自分にはルアージュの婚約者になる大きな可能性があったのだ。
だが、ルアージュは出会ってしまった。
婚約破棄になったが、ルアージュはシャロンのことを簡単には忘れないだろう。
「どうなるのですか?これからルアージュ様は」
「……ほとぼりが冷めるまではそっとしておくわ。
そのあとは改めて婚約者を選定することになるでしょうね。まだ陛下のお考えでどうなるかわからないけれど。
心の準備だけはしておいてね、セレスト」
まだ私にもルアージュ様の婚約者になる可能性が残っている。
ルアージュたちの不幸に付け入るようで後ろめたさはあったが、セレストにとって王妃の存在は一点の希望だった。
ごめん、シャロン。
卑怯だと思われるかもしれないけど、もし私が婚約者候補になったら、私は引き下がらないから。
セレストは心の中で静かに炎を燃やした。
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