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11 あやしい側妃
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「怖かったですわ」
遠征から戻り、カーラはゴースト退治の顛末をルアヌに話して聞かせていた。
「それは大変だったね。民たちのためにありがとう、カーラ」
王の間のソファーで隣に座っているカーラの肩を抱き、ルアヌはそのまま何度かキスをした。
カーラは恥じらいつつも幸せいっぱいにルアヌの肩に顔を寄せる。
二人は一緒にソファーに倒れ込んだ。
「このままずっと陛下と一緒にいたいですわ…」
「私もだ」
だが、カーラの願いはこの後すぐに砕かれた。
「側妃、ですって!?」
急に湧いて出た話だった。
王に妃が複数いてもカーラは文句を言える立場ではないが、やはり気が気ではなかった。
「一体どこの令嬢ですの…?」
「それが…よくわかりませんで…」
「は?」
「カーラ様が不在のある日、ふらっとやって来て、その日のうちに陛下のお心を射止めてしまわれて」
宰相が汗をかきながら言葉を濁した。
王令は絶対だ。
素性の知れない娘だとしても、王が側におきたいと言えば断れる者はいない。
私は唇を噛んだ。
それに、もう一つ気になることがあった。
この口に何度も口付けをしてくれた陛下の足が最近めっきり遠のいていた。
どうして、陛下…?
わたくしを飽きてしまわれたの?
それとも子どもがまだできないから??
カーラは思い当たる理由をあげては涙に暮れた。
宰相がなぐさめるようにカーラに告げた。
「陛下はカーラ様のお部屋に何度も行こうとされました。しかし、その度に側妃が何か囁くと、陛下はぴたりと足をお止めになるのです。あれは一体どういうことなのか…?」
宰相の話にカーラはとても嫌な予感がした。
「何か裏があるかもしれませんわ。側妃の正体を確かめますわよ」
宰相にそう告げると、カーラはルアヌの部屋へと向かった。
部屋に入ると、ルアヌはソファーの上で即妃の膝に頭を乗せ横になっていた。
いつも陛下と二人で座っていたソファーなのに…!!
カーラは自分たちだけの場所を汚された気がして、怒りが込み上げて来た。
「陛下、ルアヌ陛下!」
カーラの必死の呼びかけにもルアヌは全く答えない。
ただ空を見つめ、ぼんやりと口を開けている。
何かがおかしい。
いつもの陛下の生気がない。
カーラに気づいた側妃は変な角度に曲がった首を揺らしこちらを向いた。
雪のように真っ白い顔に赤い目が見えた。
「お前は何者なの!?」
「ケケケ」
「ちゃんと答えなさい!」
「ケケケケ」
妙な鳴き声のような音だった。
人ではない──
ルアヌは人外の何かに取り憑かれていたのだ。
「陛下から離れなさい!!」
カーラが危険を察し、ルアヌから側妃を引き離そうとすると、側妃はまた「ケケ」と唱えた。
ゆらり。
ルアヌが体を起こした。
両腕を前に出し、カーラの方にぎこちない足取りで近づく。
「陛下?」
カーラも両手を差し出しルアヌを迎えようとしたが、ルアヌはそのままカーラを両手で突き飛ばした。
「きゃあ」
カーラは床にふき飛ばされた。
「陛下、どうして…!」
カーラは涙目でルアヌを見上げた。
側妃は「ケケケ」と唱えながらルアヌの首に腕を回す。
ルアヌは躊躇もなく側妃の腰を抱き寄せた。
やめて…!!!
見たくない!!
カーラは泣きながらその場から逃げ出した。
遠征から戻り、カーラはゴースト退治の顛末をルアヌに話して聞かせていた。
「それは大変だったね。民たちのためにありがとう、カーラ」
王の間のソファーで隣に座っているカーラの肩を抱き、ルアヌはそのまま何度かキスをした。
カーラは恥じらいつつも幸せいっぱいにルアヌの肩に顔を寄せる。
二人は一緒にソファーに倒れ込んだ。
「このままずっと陛下と一緒にいたいですわ…」
「私もだ」
だが、カーラの願いはこの後すぐに砕かれた。
「側妃、ですって!?」
急に湧いて出た話だった。
王に妃が複数いてもカーラは文句を言える立場ではないが、やはり気が気ではなかった。
「一体どこの令嬢ですの…?」
「それが…よくわかりませんで…」
「は?」
「カーラ様が不在のある日、ふらっとやって来て、その日のうちに陛下のお心を射止めてしまわれて」
宰相が汗をかきながら言葉を濁した。
王令は絶対だ。
素性の知れない娘だとしても、王が側におきたいと言えば断れる者はいない。
私は唇を噛んだ。
それに、もう一つ気になることがあった。
この口に何度も口付けをしてくれた陛下の足が最近めっきり遠のいていた。
どうして、陛下…?
わたくしを飽きてしまわれたの?
それとも子どもがまだできないから??
カーラは思い当たる理由をあげては涙に暮れた。
宰相がなぐさめるようにカーラに告げた。
「陛下はカーラ様のお部屋に何度も行こうとされました。しかし、その度に側妃が何か囁くと、陛下はぴたりと足をお止めになるのです。あれは一体どういうことなのか…?」
宰相の話にカーラはとても嫌な予感がした。
「何か裏があるかもしれませんわ。側妃の正体を確かめますわよ」
宰相にそう告げると、カーラはルアヌの部屋へと向かった。
部屋に入ると、ルアヌはソファーの上で即妃の膝に頭を乗せ横になっていた。
いつも陛下と二人で座っていたソファーなのに…!!
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「陛下、ルアヌ陛下!」
カーラの必死の呼びかけにもルアヌは全く答えない。
ただ空を見つめ、ぼんやりと口を開けている。
何かがおかしい。
いつもの陛下の生気がない。
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雪のように真っ白い顔に赤い目が見えた。
「お前は何者なの!?」
「ケケケ」
「ちゃんと答えなさい!」
「ケケケケ」
妙な鳴き声のような音だった。
人ではない──
ルアヌは人外の何かに取り憑かれていたのだ。
「陛下から離れなさい!!」
カーラが危険を察し、ルアヌから側妃を引き離そうとすると、側妃はまた「ケケ」と唱えた。
ゆらり。
ルアヌが体を起こした。
両腕を前に出し、カーラの方にぎこちない足取りで近づく。
「陛下?」
カーラも両手を差し出しルアヌを迎えようとしたが、ルアヌはそのままカーラを両手で突き飛ばした。
「きゃあ」
カーラは床にふき飛ばされた。
「陛下、どうして…!」
カーラは涙目でルアヌを見上げた。
側妃は「ケケケ」と唱えながらルアヌの首に腕を回す。
ルアヌは躊躇もなく側妃の腰を抱き寄せた。
やめて…!!!
見たくない!!
カーラは泣きながらその場から逃げ出した。
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