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12 王国滅亡の危機
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あんなにわたくしを愛してくださった陛下が…!
陛下と側妃が抱擁した場面を思い出すたび、カーラは失恋したような苦しさで胸が詰まった。
もう、わたくしのことなど…
絶望のどん底にいたカーラの頭に、ふと宰相の言葉がよぎった。
”陛下はカーラ様のお部屋に何度も行こうとされました”
ちょっと待ってカーラ。
陛下の行動が物語っているじゃない。
陛下は側妃に行動を止められ、いいように操られているのかもしれないわ…!
気持ちを強く持ち直し、カーラはさっそく宰相に側妃についての情報収集を命じた。
「側妃は夜になると姿を消すようです」
「逆さまになって天井を歩いているのを見ました」
「人の言葉を話したところを見たことがありません」
王宮の者たちによる奇妙な目撃情報が並ぶ。
やはり人外の者なのよ。
もし側妃がモンスターなのだとしたら、わたくしが王都から遠い地に遠征し、盾の加護が弱った隙を狙って入り込まれたのだわ。
カーラは側妃を監視することにした。
夜。
側妃は噂通りこっそり部屋を抜け出した。
カーラが後をつける。
側妃は階段をあがり、城の屋上まで登っていった。
そして、屋上の窓を開けると、そこから飛び降りた。
「!!!」
カーラが急いで窓に駆けつけると、コウモリのような羽を生やした側妃が空を飛んでいる。
みるみるうちに何百匹ものコウモリが空に集まり始めた。
キーキ
キキキ
不気味な鳴き声があたりに満ちていく。
「側妃の正体はコウモリのモンスターだったの!?何をする気?」
「大変です!陛下のお姿が見えません!!」
「ええっ!陛下は一体どこに──」
「あっ!あんなところに陛下があああ!!」
宰相が蒼白になって空を指差した。
暗い空。
玉のようにふくらんだコウモリの集団の上に、横たわるルアヌの姿が現れた。
リアヌを見下ろし、側妃がじゅるりと舌舐めずりをした。
「王とコウモリ…もしやあれは…」
震える声で宰相が呟いた。
「10年前、西の国を一夜で滅ぼしたというコウモリ女王なのでは!?」
「コウモリ女王!?」
「はい。巨大コウモリに変化した後、王を生贄にし、王都を滅ぼす光の玉を吐くとか」
「それって相当やばいんじゃなくて!?」
「やばいです!やばすぎます!皆のもの、早く陛下をお助けするのだ!!」
宰相が兵士たちに号令をかける。
兵士たちは王宮の庭に大砲を急ぎ準備した。
「コウモリ女王を撃ち落とせ!そうすれば他のコウモリは霧散するだろう」
兵士が大砲の照準をコウモリ女王に定めようとした時。
「キーキキキーキキ」
コウモリ女王が何か唱えた。
すると、夜空の満月が異常なほどの光を放ち始めた。
「まっ、まぶしい!!」
「照準スコープをのぞけない!!」
このままではコウモリ女王を撃ち落とせない。
コウモリ女王は嘲笑うかのようにキキキと鳴き、とうとう巨大コウモリに変化した。
「まずい、時間がありません!早く撃ち落とさないと陛下が生贄に!」
巨大コウモリは口をあんぐりと開けずらりと並んだ鋭い牙をみせた。
真っ黒な口の奥からよどんだ光がみるみる大きくなっていく。
このままルアヌごと撃ち抜く気だ。
「生贄になんか、させませんわ…!」
カーラはリュックの中から何かを掴み、顔に装着した。
「見える、見えるわ!全然眩しくない!」
サングラスだ。真っ黒のレンズが眩しさを防いでくれる。
光弾は最大限にまでふくれあがっていった。
「カーラ、落ち着くのよ。絶対に外さないわ…!」
大砲の照準スコープをのぞきながら自身に言い聞かせる。
恐怖でずっと続いていた手の震えがおさまっていく。
カーラの精神は今や波一つ立たない湖のように集中していた。
側妃になど負けるものですか──!!
巨大コウモリが光弾を吐き出すその瞬間。
カーラは叫んだ。
「陛下はわたくしのものよ!!!」
カーラは大砲の紐を力一杯引いた。
どおおおおおんん!!!
発射された弾丸は巨大コウモリに無慈悲に直撃し、その腹にぽっかりと穴をあけた。
グホギア…!!!!
奇妙な断末魔を最後に巨大コウモリは地面に激突し息絶えた。
「撃ち落としたあ!!!」
一気に歓声があがる。
「やりましたわ!!陛下は──」
だがこれで終わりではなかった。
親玉が死んでルアヌを乗せていたコウモリの玉が崩れ始めていた。
このままではルアヌは空から落下し、命を落としてしまう。
「へ、陛下ああああ!!」
宰相や兵士たちの絶叫がこだます。
ついにコウモリが散り散りなり、ルアヌが落ちて来た。
クッションや布団を持ってこようとするがとても間に合わない。
思わずカーラは駆け出していた。
「陛下!いやあ、陛下ああ!!」
わたくしが下敷きになってでもお救いしますわ!
しかし無情にもカーラはその手前でつまずいた。
「あああっ!」
転んだはずみでリュックからポケットティッシュが転び出た。
ぽわん!
そしてルアヌの落下地点で大きなマットのようにふくらみ、見事ルアヌを受け止めた。
「ナイスキャッチ…」
「ナイスキャッチ、カーラ様!!!」
賞賛の声はしばらくやむことはなかった。
陛下と側妃が抱擁した場面を思い出すたび、カーラは失恋したような苦しさで胸が詰まった。
もう、わたくしのことなど…
絶望のどん底にいたカーラの頭に、ふと宰相の言葉がよぎった。
”陛下はカーラ様のお部屋に何度も行こうとされました”
ちょっと待ってカーラ。
陛下の行動が物語っているじゃない。
陛下は側妃に行動を止められ、いいように操られているのかもしれないわ…!
気持ちを強く持ち直し、カーラはさっそく宰相に側妃についての情報収集を命じた。
「側妃は夜になると姿を消すようです」
「逆さまになって天井を歩いているのを見ました」
「人の言葉を話したところを見たことがありません」
王宮の者たちによる奇妙な目撃情報が並ぶ。
やはり人外の者なのよ。
もし側妃がモンスターなのだとしたら、わたくしが王都から遠い地に遠征し、盾の加護が弱った隙を狙って入り込まれたのだわ。
カーラは側妃を監視することにした。
夜。
側妃は噂通りこっそり部屋を抜け出した。
カーラが後をつける。
側妃は階段をあがり、城の屋上まで登っていった。
そして、屋上の窓を開けると、そこから飛び降りた。
「!!!」
カーラが急いで窓に駆けつけると、コウモリのような羽を生やした側妃が空を飛んでいる。
みるみるうちに何百匹ものコウモリが空に集まり始めた。
キーキ
キキキ
不気味な鳴き声があたりに満ちていく。
「側妃の正体はコウモリのモンスターだったの!?何をする気?」
「大変です!陛下のお姿が見えません!!」
「ええっ!陛下は一体どこに──」
「あっ!あんなところに陛下があああ!!」
宰相が蒼白になって空を指差した。
暗い空。
玉のようにふくらんだコウモリの集団の上に、横たわるルアヌの姿が現れた。
リアヌを見下ろし、側妃がじゅるりと舌舐めずりをした。
「王とコウモリ…もしやあれは…」
震える声で宰相が呟いた。
「10年前、西の国を一夜で滅ぼしたというコウモリ女王なのでは!?」
「コウモリ女王!?」
「はい。巨大コウモリに変化した後、王を生贄にし、王都を滅ぼす光の玉を吐くとか」
「それって相当やばいんじゃなくて!?」
「やばいです!やばすぎます!皆のもの、早く陛下をお助けするのだ!!」
宰相が兵士たちに号令をかける。
兵士たちは王宮の庭に大砲を急ぎ準備した。
「コウモリ女王を撃ち落とせ!そうすれば他のコウモリは霧散するだろう」
兵士が大砲の照準をコウモリ女王に定めようとした時。
「キーキキキーキキ」
コウモリ女王が何か唱えた。
すると、夜空の満月が異常なほどの光を放ち始めた。
「まっ、まぶしい!!」
「照準スコープをのぞけない!!」
このままではコウモリ女王を撃ち落とせない。
コウモリ女王は嘲笑うかのようにキキキと鳴き、とうとう巨大コウモリに変化した。
「まずい、時間がありません!早く撃ち落とさないと陛下が生贄に!」
巨大コウモリは口をあんぐりと開けずらりと並んだ鋭い牙をみせた。
真っ黒な口の奥からよどんだ光がみるみる大きくなっていく。
このままルアヌごと撃ち抜く気だ。
「生贄になんか、させませんわ…!」
カーラはリュックの中から何かを掴み、顔に装着した。
「見える、見えるわ!全然眩しくない!」
サングラスだ。真っ黒のレンズが眩しさを防いでくれる。
光弾は最大限にまでふくれあがっていった。
「カーラ、落ち着くのよ。絶対に外さないわ…!」
大砲の照準スコープをのぞきながら自身に言い聞かせる。
恐怖でずっと続いていた手の震えがおさまっていく。
カーラの精神は今や波一つ立たない湖のように集中していた。
側妃になど負けるものですか──!!
巨大コウモリが光弾を吐き出すその瞬間。
カーラは叫んだ。
「陛下はわたくしのものよ!!!」
カーラは大砲の紐を力一杯引いた。
どおおおおおんん!!!
発射された弾丸は巨大コウモリに無慈悲に直撃し、その腹にぽっかりと穴をあけた。
グホギア…!!!!
奇妙な断末魔を最後に巨大コウモリは地面に激突し息絶えた。
「撃ち落としたあ!!!」
一気に歓声があがる。
「やりましたわ!!陛下は──」
だがこれで終わりではなかった。
親玉が死んでルアヌを乗せていたコウモリの玉が崩れ始めていた。
このままではルアヌは空から落下し、命を落としてしまう。
「へ、陛下ああああ!!」
宰相や兵士たちの絶叫がこだます。
ついにコウモリが散り散りなり、ルアヌが落ちて来た。
クッションや布団を持ってこようとするがとても間に合わない。
思わずカーラは駆け出していた。
「陛下!いやあ、陛下ああ!!」
わたくしが下敷きになってでもお救いしますわ!
しかし無情にもカーラはその手前でつまずいた。
「あああっ!」
転んだはずみでリュックからポケットティッシュが転び出た。
ぽわん!
そしてルアヌの落下地点で大きなマットのようにふくらみ、見事ルアヌを受け止めた。
「ナイスキャッチ…」
「ナイスキャッチ、カーラ様!!!」
賞賛の声はしばらくやむことはなかった。
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