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第6話 2人目のストーカー?
しおりを挟む町を出て数十分程経った頃。少し大きめな森に入った時、耳を貫く高い鳴き声が聞こえてきた。
シオン「お、新種のモンスターだ。いつも修行で使ってるのより少し強そうだな」
アンバー「たくさんいますね…!」
恐らく群れを作る種族なんだろう。10匹くらいがひとかたまりになっている。
シオン「よし、新しくやろうと思ってた修行にピッタリだな」
アンバー「え、こんなぶっつけ本番ですか?!」
アンバーは自信なさげに言った。
シオン「ああ。ま、別に特別今までと違うことをする訳じゃない」
一方シオンはできる、と確信を持っているようだ。
正直見ていてヒヤヒヤする戦いをするのでシオンの確信はまだあまり信用できていない。まぁこのモンスターに関しては私も大丈夫だと思うが
シオン「今からお前にやってもらうのは範囲攻撃だ。範囲攻撃は同じ念を込めた札を円状に地面に貼るだけだ。発動すると、円の中全域に術の効果が発生する」
アンバー「なるほど…や、やってみます!」
アンバーは札状に切った紙を取り出し、念を込めた。
相変わらずの禍々しいオーラだ。
シオン「本来なら投げて貼り付けるんだがそれは難しいだろうし、力技で行くぞ」
そういうとシオンはアンバーに魔法をかけた
シオン「スピード」
アンバー「これは…?」
シオン「移動速度が早くなる魔法。モンスターに追いつかれないように走って貼ってこい」
結構ゴリ押しだな…
アンバー「が、頑張ります!」
アンバーは札に念を込めた。随分スムーズになったな
そして、アンバーは情けない悲鳴をあげながらモンスターから逃げ、札を貼っていった。いい気味だ
アンバー「はぁはぁ…何とか貼り終わりました」
シオン「よし。じゃあ発動してみろ」
アンバー「はい!」
アンバーは手をモンスター達の方に向け、少し体に力を入れた。すると
ブチッ
湿った、肉の千切れる音がした。先程までアンバーを攻撃しようと暴れていたモンスター達は瞬く間に全員、真っ二つになっていた。相変わらず容赦ないな…
シオン「お、成功だな。よくやった」
アンバー「えへへ」
アンバーは可愛らしい笑顔を浮かべる。忘れかけてたけど、顔はいいんだよな。顔は。
シオン「さ、この先には宝やレアな道具がたくさんあるダンジョンがあるらしい。とりあえず、そこを目指すぞ」
アンバー「はい!」
ガサッ
近くの草むらからすごく物音が聞こえた気がした。
シオン「ん?どうした、テン」
1箇所をじっと見つめている私にシオンが尋ねた
テン「ああ、いや…なんでもないよ。」
アンバー「ふん、変なやつ。早く行くぞ!」
テン「なんだとー!!言われなくても行くわ!」
物音がした所を観察してみたが、何も見当たらなかった。気のせいだったのかな
???「やっぱり、あの人たちなら…」
…やっぱり、何かいる気がするが。害はないだろうしいいか
その後歩くこと数時間。その間に見たものは一生をかけても数え切れないほどの木とグロいモンスターだけ。
テン「…なあシオン。この森、いつまで続くんだ?」
シオン「うーん…多分あと1日はかかるな」
テン「でかっ」
シオン「な。建物もないし…今日はここで野宿だな」
野宿か…経験は0だがよく想像していたんだよな…ちょっと楽しみかも。
アンバー「師匠たちと一緒に寝れるの嬉しいです!」
そういえば、何気に初か。朝から夜までずっと一緒に行動してたから全然そんな気しないけど
シオン「じゃ、さっさと飯食って寝るか。早く森を抜けるためにな」
テン「ほんとに!森は飛びづらくていやだ」
アンバー「歩けよ」
テン「嫌に決まってるだろ!疲れるし」
アンバー「は?」
天使が歩くことなんてそうそうない。私も、数えられるほどしか歩いていないかもしれないレベルだ
シオン「おい、喧嘩するなお前ら!夕飯やらないぞ」
アンバー「ごめんなさい!」
テン「ごめんなさい!」
シオン「よろしい。」
テン「今日のご飯はなんだ?」
シオン「さっきのモンスター焼いたやつ。アンの持ってる本に焼いたら食べれるって書いてあった」
…は?
テン「絶ッ対いや!」
アンバー「師匠の手料理…!!ぜひ頂きたいです!」
テン「いやいや、手料理って言えないだろ!ていうかなんでモンスターなんだよ!町で買ったやつあるだろ!」
食べやすいよう切られたモンスターの肉に、棒が突き刺さっている。一見すると普通の美味しそうな肉だが、モンスターの肉と言われると急におぞましい見た目に感じる
シオン「なんでって、興味だよ。あんなモンスターが食べれるって気になりすぎるだろ!味とかさ」
どうやらシオンが物知りなのは転生による経験だけでは無いらしい。怖いほどの探究心だ
その後、私たちはゆったりと食事をすませ、寝る準備をし始めた。ちなみにモンスターは意外と美味しかった
シオン「よし、寝るぞ!明日もたくさん歩くからな」
アンバー「はい!」
そういうとアンバーはシオンの隣に寝袋を敷き始めた。
テン「おいアンバー!シオンの隣に寝るんじゃねえ!」
アンバー「あ?別にいいだろ。まだ僕が師匠を狙ってると思ってる?」
テン「いや、それはもう疑ってないけど…なんか、だめ!」
アンバー「は??」
シオン「まあまあ。近い方が何かあった時も助かるしな?」
そういうとシオンは寝袋に潜り始めた
テン「え~」
アンバー「そういうことなんで。」
アンバーも寝袋に潜り始めた
テン「…わかったよ。」
ふん。アンバーに甘いなシオンは
テン「……そういえば、寝てる間モンスターとか敵が来たらどうするんだ?」
シオン「それは大丈夫。敵意持ったやつが近づいてきたら俺が気づいて起きるよ」
シオンは即答した
テン「すごい!」
シオン「ま、野宿なんて何度も経験してるしな」
さすがだな。頼りになる。
シオン「ほら、はやく寝るぞ。」
アンバー「ふん。こんなやつ寝不足になって置いていかれればいいんですよ」
テン「なんだとー!!」
アンバーといがみ合っていたら、すうすうと小さな寝息が聞こえてきた
テン「寝るの早すぎだろ…しかもこんな騒がしいとこで」
アンバー「師匠は寝るのも完璧なんだ!さすが。僕も師匠から学ばないと…」
いや、学ぶものじゃないだろ…と、言おうとアンバーの方に視線を向けるともうぐっすりと寝ていた。
学ぶの早すぎだろ。
静かだなぁ…1人は慣れているはずなのに、なんだか最近は寂しさが込み上げてくる。私も早く寝よう
翌朝。私たちは何事もなく夜を過ごし、起きて早々、森を歩き始めていた
…その時。
??「キャー!」
甲高い悲鳴が聞こえてきた。もう聞きなれたモンスターの恐怖心を煽る叫び声ではなく、女性の人間のものだ。そのすぐ後、モンスターの声も聞こえてきた。恐らく女性が襲われているのだろう。
シオン「…行くか」
私たちははすぐに声の聞こえた方へ向かった。
到着すると、地面にへたり込む綺麗な服を纏っている女性といつもより大きめなモンスターが1匹。
女性は致命傷は受けていないものの、傷がたくさんついていた。
シオンは女性に近づき、声をかけた
シオン「大丈夫ですか?」
女性「も、申し訳ございません…大丈夫ですわ」
シオン「よかった。では、下がっていてください。」
シオン「テン、アン。その方を守っておいて」
そういうとシオンはモンスターの目の前に立ち塞がった
私も、女性を庇うように少し前に出る
シオン「ファイア」
おいおい、流石のシオンでもあの大きさのモンスターにあのちっぽけな炎じゃ勝てな…
ゴォッ
そう思った、次の瞬間。モンスターを包み込むほど大きな、前とは比べ物にならないほどの炎だった
驚くまもなくその手のひらの上に燃やした炎を、目にも見えぬ早さでモンスターに詰め寄りぶつけた。…いつの間に習得したんだよ
シオン「終わりましたよ」
シオンはいつもの猫かぶりな表情をしている。
それに対しアンバーは、オドオドとして私の後ろに隠れている。人見知りか何かか?シオンには初対面で超グイグイ来てたのに…
女性「す、凄いですわ…!」
アンバー「ふふ、そうでしょうそうでしょう」
シオンが褒められたのに、アンバーが誇らしげな顔をしていた。突然喋りだしたアンバーに女性は困惑した顔をしている。そりゃそうだ。
シオン「傷は大丈夫ですか?回復薬は少量持っていますが…」
女性「あ、いえ、お気遣いありがとうございます。ですが、こう見えても僧侶をやっていますので大丈夫ですわ」
そういうと自分の胸に手を当て、回復を始めた。
すごいな。致命傷ではなかったとはいえかなり傷がういていたのに、10秒にも満たず完治してしまった
…………そういえば、咄嗟の事だったから姿を隠せていないが女性は全く驚いている様子はない。何故だ?天使はこの世界にはいないはず…
シオン「それで、貴方はなぜこんな所に?」
女性「わたくし、ダンジョンを攻略しにこの森へやってきましたの。でも、冒険は初めてでジョブもサポート系なので攻略どころか到達も出来なくて…」
シオン「なるほど…」
女性「それで…昨日、モンスターを討伐している貴女方を一目見て…この方々なら、きっとわたくしのダンジョン攻略を成功させてくれると思ったのです。そして、後を付け回してたんですの。」
一目見てつけ回す。なんだかデジャブを感じるな
シオン「じゃあ私…いや、俺のこの口調や性格も知ってるな?」
女性「もちろんですわ」
女性はニコッと柔らかい笑みを浮かべた
シオン「…そうだな。ダンジョン攻略は俺らも目標にしていたし、手伝うのは構わない。」
かなりあっさり決めたな。私やアンバーは例外と言うし仲間になる気は無いのだろう。短期間の協力関係だな
シオン「ただ1つ条件がある」
女性「なんでしょうか?」
シオン「回復魔法や防御結界。使えるサポート技を何個かこいつに教えてやってくれ」
そういい、指を指した先にいたのは……私?!
女性「ええ、大丈夫ですわよ」
女性は即、承諾した
テン「な、なんで私がサポート技を?!」
シオン「うちのパーティは遠距離型しかいない。私は近距離も行けるが…アンやテンは無理だろう?そこで、防御や回復のサポートが欲しいと思ったんだ。何もしてないしいいだろ?」
テン「いや、何もして無くはない!旅の記録だってしてるし、ちょっとだけ魔法も使えるんだぞ!」
シオン「へぇ、どんな?」
テン「えっと…足の小指をタンスの角にぶつけさせたり、何も無いところでコケさせたり、体内時計ちょっと狂わせたり…」
アンバー「あは、嫌がらせみたいな魔法しかないな」
久しぶりに口を開いたと思ったら、嘲笑ってきやがった
シオン「……ということで、ダンジョンまでもう少し距離がある。それまでにテンに教えてやってくれ。報酬代わりに、私がジョブ関係なしに使える近距離を少し教えよう。これから一人で冒険する時用にな」
女性「まあ!嬉しいですわ。ありがとうございます。」
くそ、やっぱり教えてもらうことになってる!まぁいいか…私も少しは役に立ってやろう
テン「そういえば、お名前は?」
女性「あ、まだ名乗っていませんでしたね。わたくしアルテアと申します。人間のような見た目をしていますが、種族は精霊ですわ。何を司っているかは、また後ほど…」
アルテア「あなた方のお名前や種族、ジョブは昨日の追跡とわたくしのスキルで確認済みですわ」
シオン「精霊…ね、」
シオンは一瞬険しい顔をした。
それにしても、精霊とは珍しい。精霊は司っているもの次第ではすごい権力があると聞くが…気になるが、深入りはよそう。
シオン「スキル…ってことは、他人のステータスを見れるってとこか?」
アルテア「はい、そうですわ。なんなら、自分で見るステータスより詳しい情報を知れますの」
シオン「へぇ、すごいな。じゃ、自己紹介はいらないな。短い期間だが、改めてよろしく。アルテア」
アルテア「はい!」
アンバー「…よろしく」
アンバーも一応、ボソッと挨拶を済ませた
~天界~
天使1「なあなあ、聞いたか?あの噂」
周りの天使よりより少し大きな天使2人が仕事中、コソコソと隠れて話をしていた。
天使2「噂…?いや、知らないな。どんな噂なんだ?」
天使1「それがな…今回の世界、精霊種がいるって」
天使2「うわぁ、精霊種か。アイツらもアイツらがいる世界も厄介なんだよな。」
天使1「それに、今回は大精霊クラスもいるとか。」
1人はあからさまに嫌そうな顔をし、もう1人はうんうんと頷いていた。
天使2「あの子もかわいそ。毎回大精霊が出てくる世界ってことは難易度…」
天「あなた達、何サボってるの?早く仕事をして」
天使1、2「す、すみません!」
そういい2人は焦りながら散っていった。
…はぁ。どいつもこいつも、仕事をサボりすぎね
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