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十三話 アチェル村
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森を抜けたゲイル達は開けた小高い丘へと出た。その丘から周囲を見下ろすと集落が見える。その集落にある家は数十軒と言った所だろう。石でできたしっかりとした建物が主流だったファイザースの街と比べ、その家々は木でできており、大きさもさほど大きくはない。
「あれがアチェル村かな」
「多分そうだと思いますけど。あ、一応鍛冶屋さんの看板は見えますね」
いくつか軒先に看板を掲げている家があり、レイラはその中から鍛冶屋の看板を見つけたようだった。
「ま、とりあえず行ってみようか?」
ゲイルの言葉を皮切りに、二人はその集落へと降りて行った。
こちらは先ほどの切り立った崖のようにはなっておらず、なだらかな丘陵であったので、レイラがゲイルに文句を言うことも無く、行きと違って至って平和な下山になったことは言うまでもない。
ゲイルは目的の看板が掲げられている家の前に辿り着くと、扉を開けて中を覗き込んだ。
「すいませーん。アチェル村ってここですか?」
奥では筋骨隆々の男性が槌を振るって何かを叩いていた。その様子を見たゲイルはさっと首を引っ込めて、レイラをグイグイッと家の中へとに押し込んでしまう。中にはレイラだけが入る形になってしまった。。
「そうだけど、村の入口に看板あっただろ? お前ら何処に目をつけて歩いてるんだ? それとも文字が読めないとか?」
振り向きもせずに槌をふるいながら背中越しにその男性はそう答えた。そもそも村の入口から来ていないレイラはそんな看板の存在すら知らない。
「アハハ……」
レイラは少しだけ苦笑し、続けてこう尋ねた。
「では、あなたがジュダスさんですか?」
「ああ、そうだが……何かようか?」
「ヴォルフさんからお届け物を頼まれて……」
「オヤジから? そうか、すまんな。そこに置いておいてくれ」
そして槌で机を一瞬だけ示し、またすぐにその槌を振るいだす。
「はい」
「で、他には?」
「いえ、特には……」
「じゃあさっさと帰ってくれ。仕事が山積みで今忙しいんだ」
そう言ってジュダスは、顎でクイッと指した。そちらの方には何本も斧や鍬などが置かれていた。それらの修繕の仕事が山積みだと言いたいのだろう。
「あ、すいませんでした。では、これで……」
レイラはそう告げてすぐにその場を後にした。扉の横にはゲイルがポツンと立っている。外に出たレイラは心配そうにゲイルに話しかけた。
「さっきもでしたけど、ゲイル様、どうかなさったんですか?」
「うーん……ヴォルフさんが苦手な感じがしたんだけど、ジュダスさんもかなぁ」
心当たりがなく、不思議そうな表情でゲイルは首を傾げた。
「鍛冶屋さんってのが苦手なのかもしれないですね。雰囲気がダメなのかも」
「そうなのかもね。でも、なんでだろ」
「誰にでも理由なく苦手なものの一つや二つありますよ! 私も幼虫は食べたくないですし……」
そう言ってレイラはいかにも、と言った様子で顔をしかめた。
「そ、そうだね。さ、ここにいてもしょうがないし、さっさとお金とやらが必要なら貰いに戻ろうか」
そして、ゲイルが振り返って今来た道を戻ろうとするとレイラが大声を上げた。
「ダメです!」
「え?」
そしてゲイルが向かおうとした方向と反対を指で示して、ゲイルにこう告げる
「こっち! こっちで帰るって約束したじゃないですか? あんな切り立った崖を降りるつもりですか!? 死んじゃいますよ」
「大丈夫だと思うけど……」
そのゲイルの言葉に、レイラの声はより大きくなった。
「ゲイル様が、じゃないです! 私が恐怖で死んじゃいます!」
「あ……そ、そこはごめん。じゃ、改めて帰ろうか?」
先ほどのレイラを思い出し、ゲイルは罪悪感から謝罪をした。その後二人は村の入口へと向かって歩いて行ったのだった。
「あれがアチェル村かな」
「多分そうだと思いますけど。あ、一応鍛冶屋さんの看板は見えますね」
いくつか軒先に看板を掲げている家があり、レイラはその中から鍛冶屋の看板を見つけたようだった。
「ま、とりあえず行ってみようか?」
ゲイルの言葉を皮切りに、二人はその集落へと降りて行った。
こちらは先ほどの切り立った崖のようにはなっておらず、なだらかな丘陵であったので、レイラがゲイルに文句を言うことも無く、行きと違って至って平和な下山になったことは言うまでもない。
ゲイルは目的の看板が掲げられている家の前に辿り着くと、扉を開けて中を覗き込んだ。
「すいませーん。アチェル村ってここですか?」
奥では筋骨隆々の男性が槌を振るって何かを叩いていた。その様子を見たゲイルはさっと首を引っ込めて、レイラをグイグイッと家の中へとに押し込んでしまう。中にはレイラだけが入る形になってしまった。。
「そうだけど、村の入口に看板あっただろ? お前ら何処に目をつけて歩いてるんだ? それとも文字が読めないとか?」
振り向きもせずに槌をふるいながら背中越しにその男性はそう答えた。そもそも村の入口から来ていないレイラはそんな看板の存在すら知らない。
「アハハ……」
レイラは少しだけ苦笑し、続けてこう尋ねた。
「では、あなたがジュダスさんですか?」
「ああ、そうだが……何かようか?」
「ヴォルフさんからお届け物を頼まれて……」
「オヤジから? そうか、すまんな。そこに置いておいてくれ」
そして槌で机を一瞬だけ示し、またすぐにその槌を振るいだす。
「はい」
「で、他には?」
「いえ、特には……」
「じゃあさっさと帰ってくれ。仕事が山積みで今忙しいんだ」
そう言ってジュダスは、顎でクイッと指した。そちらの方には何本も斧や鍬などが置かれていた。それらの修繕の仕事が山積みだと言いたいのだろう。
「あ、すいませんでした。では、これで……」
レイラはそう告げてすぐにその場を後にした。扉の横にはゲイルがポツンと立っている。外に出たレイラは心配そうにゲイルに話しかけた。
「さっきもでしたけど、ゲイル様、どうかなさったんですか?」
「うーん……ヴォルフさんが苦手な感じがしたんだけど、ジュダスさんもかなぁ」
心当たりがなく、不思議そうな表情でゲイルは首を傾げた。
「鍛冶屋さんってのが苦手なのかもしれないですね。雰囲気がダメなのかも」
「そうなのかもね。でも、なんでだろ」
「誰にでも理由なく苦手なものの一つや二つありますよ! 私も幼虫は食べたくないですし……」
そう言ってレイラはいかにも、と言った様子で顔をしかめた。
「そ、そうだね。さ、ここにいてもしょうがないし、さっさとお金とやらが必要なら貰いに戻ろうか」
そして、ゲイルが振り返って今来た道を戻ろうとするとレイラが大声を上げた。
「ダメです!」
「え?」
そしてゲイルが向かおうとした方向と反対を指で示して、ゲイルにこう告げる
「こっち! こっちで帰るって約束したじゃないですか? あんな切り立った崖を降りるつもりですか!? 死んじゃいますよ」
「大丈夫だと思うけど……」
そのゲイルの言葉に、レイラの声はより大きくなった。
「ゲイル様が、じゃないです! 私が恐怖で死んじゃいます!」
「あ……そ、そこはごめん。じゃ、改めて帰ろうか?」
先ほどのレイラを思い出し、ゲイルは罪悪感から謝罪をした。その後二人は村の入口へと向かって歩いて行ったのだった。
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