僕の宝具が『眼鏡』だったせいで魔界に棄てられました ~地上に戻って大人しく暮らしているつもりなのに、何故か頼られて困ります~

織侍紗(@'ω'@)ん?

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三十五話 異変

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「あれ、前より人減ってない?」

「そうだね……言われてみれば……はぁ……」

 ジュックデルトの冒険者ギルドに戻ってきた二人。ミューは以前より賑わいが無くなっていることに気づき、ゲイルもその言葉に同意を示す。が、まだ落ち込んでいる様子は変わることはない。

「ったく、まだ気落ちしてるのかよ。俺が恥ずかしくなるくらいだよ」

 ミューはそう口にしながらギルドの職員に依頼の書かれた紙を差し出し、依頼を解決したことをギルドの職員に示した。

「ハイハイ。ちょっと待ってろ。ってこの依頼、三年くらい前じゃないか? だいぶ時間かかったんだな……ってマジか? なんとかリザード……って長ったらしい名前が書いてあるけど、これ、タイラントリザードの亜種だよな?」

 本人たちにとってはつい先程のことだったが書類上は三年越しで依頼を解決したことになる。通常はそんなに長くかけることなどない為、ギルドの職員はそう口にしたのだった。
 そして、まじまじとその紙を見つめて、再度こう口にする。

「しっかし、こんな依頼に三年もかけるなんてどうかしてるよ」

「アハハ……」

「内容を見る限り超最上級の難易度……でも、報酬は最低難度の依頼とほぼ変わらない。よくこんなの受けたな」

 呆れるような口ぶりでその職員はそう語った。その言葉に対してミューはこう答える。

「依頼主が困ってたからね。ゲイルが受けるって言ったら別に受けない理由はないし」

「余っ程腕に自信があるんだな。最近はそういうヤツは皆死んじまった。命は大事にしてくれよ。強いヤツが居なくなると俺らも商売上がったりだからな」

 少し困った様子のその職員に対して、ミューは先程気になったことを尋ねた。

「そう言えば冒険者の数、明らかに減ってない?」

「あれ? お前ら知らないのか? そうか、討伐に三年もかかってたら無理もないか」

「おっさん、なんの事?」

「ここ数年の話だがな、軍事大国のグーブンドルデが各国に戦争を仕掛けてな。いくつもの国が滅ぼされちまったんだよ。腕に自信のある冒険者たちは傭兵の依頼に挙って行っちまってな。だが、相手はグーブンドルデ。誰も帰ってやきはしない。最近はその傭兵の募集にも一人も集まらないし、アイツらの領土は拡大する一方」

 そこまで語ると、机の上に置かれた一枚の紙に視線を落としてからこう続ける。

「この依頼にも誰も集まらないだろうし、この国もおしまいだろうな」

 そして落とした視線を今度は力無く漂わせた。

「でも、このままじゃ、世界はグーブンドルデの物になっちまう。それでいいのか悪いのか……俺にはわからねぇ」

「へぇ。ブラケット王国ってのが傭兵の募集をしてるのか?」

 ミューはその紙をチラリと覗き込み、書かれた内容を軽く読み上げた。その言葉に対して、職員は投げやりな様子でこう返す。

「ああ、もうすぐブラケットは無くなっちまうがな」

 すると、今までボーっとしていたゲイルがその国の名に反応を示した。

「ブラケット王国? どこかで聞いた気が……あ、アリスの国じゃん!」

「ゲイル? 知ってるの?」

「う、うん。って言っても知ってるのは国じゃなくて王女様だけど……アリスって王女様と会ったことがあるんだ。第なん王女様だから継承権はないけど、ウチで働かないかって言われたことがあるよ」

「へぇ、なるほど」

「ボーっとしてたアンチャン。そりゃ、生憎だったな。その、王女様には悪いが、勝ち目はないよ」

 しかし、そんな言葉などまるで聞かなかったかのようにミューは身を乗り出してこう告げる。

「おっちゃん。この依頼受けるわ」

「は? お前俺の話聞いてなかったのか?」

「聞いてたよ。だから受けるんだよ。ゲイルの知り合いがいる国がヤバいんだろ? だったら行ってあげないと、な?」

 ミューはゲイルに向かってウインクをしながら、同意を促す。その言葉にゲイルはゆっくりと頷いた。

「そ、そうだね。役に立てるか分からないけど……」

「なら決まり! おっちゃん! ほら頼んだよ!」

 ミューの大きな声が冒険者ギルドに響き渡った。
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