賢者の幼馴染との中を引き裂かれた無職の少年、真の力をひた隠し、スローライフ? を楽しみます!

織侍紗(@'ω'@)ん?

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第四十五話 レオナのお願い

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「確かにいるわね。あの、一際大きい二体はホブゴブリンよ」

 木の影になって見にくくなってはいるが、チラリと見える洞穴の近くに何体かのゴブリンの群れが見える。恐らく洞穴がゴブリンの巣で、外にいるのは見張りだろう。
 その中二体は他のゴブリンよりもリアの言う通り大きい。

「あいつらなら魔導具を作れると思う?」

 僕の問いにリアは僕とホブゴブリンを交互に見てからこう言った。

「んー。マスターの魔力なら多分大丈夫かな?」

「お、それは助かる。いつ必要になるか分からないから、早めに作っておきたいもんね」

「よし! じゃあ魔法で……」

 僕は魔法を放とうとすると、レオナがそれを止めた。

「あ、ご主人様! 一つお願いが……」

「どうしたの? レオナ?」

わたしにも、魔法を放ったフリをさせて貰えませんか?」

「え? どういうこと?」

「いや、人の目がある所だとお願い出来ないので……どんな感じなのかなぁって。カタリナちゃんはこれからご主人様の代わりに数々の奇跡を起こすので、少しくらいはわたしにも体験させて頂けないでしょうか?」

 レオナは耳をぺたっと倒し、申し訳なさそうな表情で僕にねだっていきた。

「あ、なるほどね。でも、奇跡ってのは……」

「ご無理を言って申し訳ありません」

 少し残念そうな表情を浮かべるレオナ。僕は焦ってこう言い直した。

「あ、いや、そういう訳じゃなくて。奇跡ってのは言い過ぎだなって思っただけ。もちろんいいよ!」

「やったぁ! ありがとうございます」

 飛び上がって喜ぶレオナ。勢いそのままにホブゴブリンへと狙いを定めた。

「じゃあ、さっそく……うーん。あの木が邪魔ですね」

 間にある木が邪魔になるようだった。

「じゃああの木を消し去っちゃう? 別にそれくらいなら」

「それじゃあまり意味が無いような……でも、あの木は邪魔ですし……」

「あ、そうだ! じゃああの木に向かって打って、倒した木でゴブリンたちを倒しちゃおう!」

「それ、いいですね! じゃあ!」

「ちょっと待って! その方法だと大きな音がしちゃうだろうから……これで、よしと。いいよ! レオナ!」

 僕は一旦レオナを制止し、洞穴の入口に防音魔法をかけた。そしてレオナに許可をする。

「はい! 火炎矢フレアアロー!」

 レオナが言の葉を紡ぐと、前に弱々しい火炎矢フレアアローの赤ちゃんのような物が出来上がっていく。僕はその出来かけの火炎矢フレアアローにちょっとの魔力を送り込んで、ちゃんとした火炎矢フレアアローを作り上げた。すると、その火炎矢フレアアローは真っ直ぐと木まで飛んでいき、狙い通りにゴブリンたちをまきこんで倒れたのだった。

「やったぁ! ご主人様! やりました!」

 こっちを向いて飛び上がって喜ぶレオナ。

「あ、レオナ!」

 倒しきれなかったゴブリンが数体こっちに向かってきた。

「え? あ! ゴブリンたちが!」

「えい!」

 僕は思わず魔法を使ってしまった。すると天を貫くほどの巨大な火柱がドォォンと大きな音を立てて一瞬だけ上がって消え去った。そして勿論、そこにはゴブリンの姿は無かった。

「あわわ……」

 腰を抜かしてレオナはしゃがみこんでしまった。

「ご、ごめんよ。レオナ」

「わ、わたしは大丈夫です……」

「マスター、だからやり過ぎよ。どっちが危ないのよ」

「あはは……つい、ね……」

 レオナが危ない、と思ったら手加減をするのが飛んでしまったようだった。

「ま、とりあえずマスターは魔法でも手加減しないとダメってことが分かったのは良かったわね。魔法でも魔石残らないから。ああいう間接的にダメージを与える方がいいかもね」

「確かに、変に手加減するよりマシかも」

 リアの言う通りだと素直に思った。木を倒したり、岩を落としたりした方が僕にはちょうどいいかもしれない。

「でも、こんな森の中で、あんな魔法は止めた方がいいんじゃない? 燃え広がったら危ないわよ」

「うぐ……でも、た、確かにリアの言う通りだったかも。ま、その時は大雨でも降らせて鎮火でもすれば……」

 森の中で火を扱う魔法はよく良く考えればあまり良くないことなのは、正直、抜け落ちていた。今後は気をつけよう。

「そんな天変地異みたいなこと、いくら御主神様アインスさまでも……リアの様子だと出来そうですわね」

「ええ、出来るでしょ。実際似たようなことはしちゃったし。地形変えちゃったしね」

「リア、それは言わないで……」

「天変地異? 巨大な火柱? うーん何か覚えが……あ! もしかして先日の事件はご主人様の仕業だったんですか!」

 レオナは首を傾げて少しだけ考える素振りを見せると、手をポンと叩いて何か思い付いたような様子をみせた。

「じ、事件って?」

「轟音が鳴り響いて、天まで貫く巨大な火柱も上がるし、竜巻が何本も発生したし、天変地異が凄かったんです。街じゃこの世の終わりだ、とか、魔王が復活しただとか話題になったんですけど……ご存知無いんですか?」

「し、知らないよ! 僕は岩山も吹っ飛ばして無いし、クレーターも作ってない! プレインスネイクだって倒してないから!」

 レオナとカタリナの視線が……痛い……

「カタリナちゃん……? 聞いた?」

「ええ、もちろんですわ。御主神様アインスさまが想像のはるか斜め上だとご自白なさいました」

「え? え?」

「ご主人様、他はまだしもプレインスネイクの件だけは、絶対に他言なさらぬよう……」

「な、なんかまずかったの?」

 するとカタリナが僕の肩に手をポンっとおいた。首を横にゆっくりと振っている。

御主神様アインスさまもうそれ以上は止めた方がいいですわ? ほら、魔石が落ちてますわ? そんなことより早く魔導具をお作りになりましょう」

 そう言ったカタリナはさっさと魔石の方に向かって歩き出してしまう。僕は急いで追いかけると、レオナが付いてきていないことに気がついた。

「あれ? どうしたの? レオナ?」

「あ、何でもないです! 先に行ってて頂けませんか?」

「一人だと危ないよ?」

「だ、大丈夫です! お願いですからわたしのことは気にせず魔石を! すぐに行きますから!」

 レオナは顔を真っ赤にしている。何かあったのかな? 僕がそう思っているとカタリナがレオナに近づき、手を伸ばした。

「腰を抜かしちゃったのかしら? ワタクシが手伝って差し上げますわ」

「あ、カタリナちゃん! ちょ、ちょっと……」

「どうしたんだろ」

 レオナはカタリナを引っ張り、耳元で何か話している。とすぐにカタリナはレオナから離れてこちらに向かってきた。

「大丈夫ですわ! レオナちゃんはここに置いておきましょう!」

 そして、僕の前を歩いていってしまう。

「え、どうして?」

「女には一人になりたい時もあるのですわ! レオナちゃんを一人にしてあげて下さらない? あと、絶対に! 後ろを振り向いてはいけないですわ! ほら、早く! 御主神様アインスさま!」

「あ、ああ。うん!」

 僕はカタリナの勢いに押され、レオナを一人その場において、魔石の近くへ向かったのだった。
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