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第四十七話 魔導具屋の主人
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「思ったより簡単だったね。レオナは6、カタリナは5になったし」
「簡単どころか、私は何もしてないですわ」
「私もです……」
「あら、レオナちゃんはアレをしたじゃない? アレを」
アレね……お、お漏らしのことか……
「うぐっ!」
「せっかく私がフォローしてあげたのに、自分からバラしてしまうんですもの」
「もぅ……カタリナちゃん、止めてよぉ……ホントにゴメンってばぁ」
「うふふ。冗談よ」
聞こえなかったフリ、聞こえなかったフリ……
僕たちはそんな会話をしながら、回収した魔石を売ろうと冒険者ギルドへ向かう途中だった。魔導具屋の前を通りかかった時、ふと聞き覚えのある声が僕の耳に飛び込んできた。
「あ、坊ちゃんじゃないですか!」
僕は声がした方へ振り向くと、魔導具屋の前にデイビッドさんが立っていた。
「あれ? デイビッドさん? どうしてここに?」
「ぐへへ……どうしてここに、ってここ私の店でゲスからね。私が居てもおかしくないでゲしょう?」
「へぇ、デイビッドさんって魔導具屋やってたんですね。調子はどうです?」
「お陰さまで、ほそぼそとやらせてもらってゲスよ。宜しかったら寄ってって下さいでゲス」
「そうだね……なんかめぼしいのあるかもしれないし、いいですよ」
「ありがとうでゲス。ぐへへ」
こ、この笑い声だけはどうにかならないものか……あと、ゲスってやつ。どうしても悪役の雰囲気が……ってダメだね。そんなこと考えちゃ。
「んー。特に欲しいのは無いかなー」
店内を一通り見てみるが、これと言ったものは無い。前回とほぼ代わり映えが無いので仕方ない。が、僕はそこでとあることを思い付いた。
「あ、そうだ! 魔石は売ってます?」
「魔導具じゃなくて魔石でゲスか?」
「ええ、魔石です」
「へぇ、これは珍しい……ちなみにどんな魔導具をお作りになるつもりでゲスか?」
「ちょっとね……表現しづらくて……これじゃ作れないんです。だからこれより良い魔石が欲しくて……」
僕は鞄からゴブリンキングの魔石を取り出してデイビッドに見せた。
「おお、これはゴブリンキングの魔石じゃないでゲスか? これより上、となると今はこの店には無いでゲスね」
「そっかー」
「いつもならこの時期には隣の国から知り合いの行商人が取引に来ているんでゲスが、まだなんでゲスよ」
「隣の国?」
「ええ、プルミエールって国でゲスよ」
その名を聞いたレオナが少し不思議に思ったようで、デイビッドさんにこう尋ねた。
「あれ? プルミエールって魔王を崇拝してる、とかであまり他国との付き合いが無いって聞いた事があるんですが……良いんですか?」
「よくご存知でゲスね。お嬢ちゃん」
「大丈夫なんですか? そんな国と取引して」
「ま、大丈夫でゲスよ。そこの国に住む人には関係ない話でゲスから。商売になれば、商人はそこは問いませんでゲスよ。天国でも地獄でも、儲かるなら何処にでも行くでゲスよ。ぐへへ」
「さ、さすが……」
言ってることと表情が相まって悪役まっしぐらだ。僕はさすがに少し引いてしまった。
「ところで坊ちゃん。その魔石、良かったら売って頂けませんでゲスか?」
「え? どういうことです?」
「いえね。魔導具屋も魔石は必要でゲスからね。冒険者ギルドで仕入れるなら、直接取引した方がお互いにとってメリットあるでゲスよ。普通は信頼性の問題で直接取引はお断りしておりますでゲスが、坊ちゃんとは逆にこちらからお願いしたいくらいでゲス」
「なるほど。でも、これは何か別の魔導具を作る時に使えるかもしれないし、とっとこうかな? 代わりにこれならどうですか?」
そして僕はゴブリンの魔石を取り出した。
「おお、ゴブリンの魔石でゲスか? まぁゴブリンキングの魔石を持っているくらいだから、ゴブリンの魔石も持っててもおかしくないでゲスね。その様子だと結構お持ちのようでゲスね。じゃあ一個につき金貨一枚と銀貨二十五枚でどうでゲス?」
冒険者ギルドでの相場はゴブリンの魔石一個で金貨一枚。銀貨は百枚で金貨一枚の価値がある。つまり……
「え、冒険者ギルドの1.25倍じゃないですか? いいんですか?」
「ええ、私共も冒険者ギルドから仕入れると、追加で銀貨二十五枚かかりますでゲスからね」
「なるほど……じゃあ冒険者ギルドの儲けは銀貨五十枚分ってことか。それなら直接取引の方がお互いに利益になりますね。十個大丈夫ですか?」
「十個も! そりゃもちろんでゲスとも。ぐへへ」
僕は机の上にゴブリンの魔石を広げた。デイビッドさんはざっと確認し、それを持って店の奥に引っ込んでいった。直後に出てきたデイビッドさんの手には袋が握られていた。
「じゃあこれで」
「ありがとうございます。ん?」
袋が思ったより軽く、不思議に思ったので中身を確認する……すると中には金貨しかなく、銀貨は無かった。ちなみに枚数を確かめると金貨は十三枚だった。
「デイビッドさん? ちょっと多いですよ」
「なにがでゲス?」
「だってゴブリンの魔石十個なら、金貨十二枚と銀貨五十枚になりますよ。これじゃあ銀貨五十枚分多いですよ。デイビッドさんの損じゃないですか?」
「ああ、いいんでゲスよ。それでも充分利益が出るでゲスから。それどころか買いに行くのも人件費かかりますし、その分の手間賃含めれば損ではないでゲスよ。ま、お近づきの印という事で……」
デイビッドさんはカエルが潰れたような顔をより一層潰して笑った。僕も笑顔を返したつもりだったが、多分引きつっていたとは思う。
「まぁ、デイビッドさんがいいなら……僕は損してませんしね」
「その代わりと言っちゃあ……でゲスが、今後も必要の無い魔石があったら売って貰えませんでゲスか? もちろん冒険者ギルドより高値で買い取らせて頂きますでゲスので。ぐへへ」
「もちろん! こちらからも喜んでお願いしたいです!」
僕はデイビッドさんと固く握手をしてそのまま店を後にしたのだった。
「簡単どころか、私は何もしてないですわ」
「私もです……」
「あら、レオナちゃんはアレをしたじゃない? アレを」
アレね……お、お漏らしのことか……
「うぐっ!」
「せっかく私がフォローしてあげたのに、自分からバラしてしまうんですもの」
「もぅ……カタリナちゃん、止めてよぉ……ホントにゴメンってばぁ」
「うふふ。冗談よ」
聞こえなかったフリ、聞こえなかったフリ……
僕たちはそんな会話をしながら、回収した魔石を売ろうと冒険者ギルドへ向かう途中だった。魔導具屋の前を通りかかった時、ふと聞き覚えのある声が僕の耳に飛び込んできた。
「あ、坊ちゃんじゃないですか!」
僕は声がした方へ振り向くと、魔導具屋の前にデイビッドさんが立っていた。
「あれ? デイビッドさん? どうしてここに?」
「ぐへへ……どうしてここに、ってここ私の店でゲスからね。私が居てもおかしくないでゲしょう?」
「へぇ、デイビッドさんって魔導具屋やってたんですね。調子はどうです?」
「お陰さまで、ほそぼそとやらせてもらってゲスよ。宜しかったら寄ってって下さいでゲス」
「そうだね……なんかめぼしいのあるかもしれないし、いいですよ」
「ありがとうでゲス。ぐへへ」
こ、この笑い声だけはどうにかならないものか……あと、ゲスってやつ。どうしても悪役の雰囲気が……ってダメだね。そんなこと考えちゃ。
「んー。特に欲しいのは無いかなー」
店内を一通り見てみるが、これと言ったものは無い。前回とほぼ代わり映えが無いので仕方ない。が、僕はそこでとあることを思い付いた。
「あ、そうだ! 魔石は売ってます?」
「魔導具じゃなくて魔石でゲスか?」
「ええ、魔石です」
「へぇ、これは珍しい……ちなみにどんな魔導具をお作りになるつもりでゲスか?」
「ちょっとね……表現しづらくて……これじゃ作れないんです。だからこれより良い魔石が欲しくて……」
僕は鞄からゴブリンキングの魔石を取り出してデイビッドに見せた。
「おお、これはゴブリンキングの魔石じゃないでゲスか? これより上、となると今はこの店には無いでゲスね」
「そっかー」
「いつもならこの時期には隣の国から知り合いの行商人が取引に来ているんでゲスが、まだなんでゲスよ」
「隣の国?」
「ええ、プルミエールって国でゲスよ」
その名を聞いたレオナが少し不思議に思ったようで、デイビッドさんにこう尋ねた。
「あれ? プルミエールって魔王を崇拝してる、とかであまり他国との付き合いが無いって聞いた事があるんですが……良いんですか?」
「よくご存知でゲスね。お嬢ちゃん」
「大丈夫なんですか? そんな国と取引して」
「ま、大丈夫でゲスよ。そこの国に住む人には関係ない話でゲスから。商売になれば、商人はそこは問いませんでゲスよ。天国でも地獄でも、儲かるなら何処にでも行くでゲスよ。ぐへへ」
「さ、さすが……」
言ってることと表情が相まって悪役まっしぐらだ。僕はさすがに少し引いてしまった。
「ところで坊ちゃん。その魔石、良かったら売って頂けませんでゲスか?」
「え? どういうことです?」
「いえね。魔導具屋も魔石は必要でゲスからね。冒険者ギルドで仕入れるなら、直接取引した方がお互いにとってメリットあるでゲスよ。普通は信頼性の問題で直接取引はお断りしておりますでゲスが、坊ちゃんとは逆にこちらからお願いしたいくらいでゲス」
「なるほど。でも、これは何か別の魔導具を作る時に使えるかもしれないし、とっとこうかな? 代わりにこれならどうですか?」
そして僕はゴブリンの魔石を取り出した。
「おお、ゴブリンの魔石でゲスか? まぁゴブリンキングの魔石を持っているくらいだから、ゴブリンの魔石も持っててもおかしくないでゲスね。その様子だと結構お持ちのようでゲスね。じゃあ一個につき金貨一枚と銀貨二十五枚でどうでゲス?」
冒険者ギルドでの相場はゴブリンの魔石一個で金貨一枚。銀貨は百枚で金貨一枚の価値がある。つまり……
「え、冒険者ギルドの1.25倍じゃないですか? いいんですか?」
「ええ、私共も冒険者ギルドから仕入れると、追加で銀貨二十五枚かかりますでゲスからね」
「なるほど……じゃあ冒険者ギルドの儲けは銀貨五十枚分ってことか。それなら直接取引の方がお互いに利益になりますね。十個大丈夫ですか?」
「十個も! そりゃもちろんでゲスとも。ぐへへ」
僕は机の上にゴブリンの魔石を広げた。デイビッドさんはざっと確認し、それを持って店の奥に引っ込んでいった。直後に出てきたデイビッドさんの手には袋が握られていた。
「じゃあこれで」
「ありがとうございます。ん?」
袋が思ったより軽く、不思議に思ったので中身を確認する……すると中には金貨しかなく、銀貨は無かった。ちなみに枚数を確かめると金貨は十三枚だった。
「デイビッドさん? ちょっと多いですよ」
「なにがでゲス?」
「だってゴブリンの魔石十個なら、金貨十二枚と銀貨五十枚になりますよ。これじゃあ銀貨五十枚分多いですよ。デイビッドさんの損じゃないですか?」
「ああ、いいんでゲスよ。それでも充分利益が出るでゲスから。それどころか買いに行くのも人件費かかりますし、その分の手間賃含めれば損ではないでゲスよ。ま、お近づきの印という事で……」
デイビッドさんはカエルが潰れたような顔をより一層潰して笑った。僕も笑顔を返したつもりだったが、多分引きつっていたとは思う。
「まぁ、デイビッドさんがいいなら……僕は損してませんしね」
「その代わりと言っちゃあ……でゲスが、今後も必要の無い魔石があったら売って貰えませんでゲスか? もちろん冒険者ギルドより高値で買い取らせて頂きますでゲスので。ぐへへ」
「もちろん! こちらからも喜んでお願いしたいです!」
僕はデイビッドさんと固く握手をしてそのまま店を後にしたのだった。
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