賢者の幼馴染との中を引き裂かれた無職の少年、真の力をひた隠し、スローライフ? を楽しみます!

織侍紗(@'ω'@)ん?

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第八十八話 魔物の強さ

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「まぁまぁ」

 振り返ると赤いローブを着た黒髪の女性が立っていた。年齢は二十歳くらいかな。少し見上げる感じで背は僕よりも一回りくらい大きかった。

「君、魔物の事が知りたいんでしょ? 冒険者ギルドじゃ教えてくれないって話みたいだから、あたしが教えてあげるわよ。別に冒険者からってなら問題無いわよね?」

 彼女がそう問いかけると女性の職員は頷いていた。

「別に私たちが止める権利は無いですからね。冒険者同士が話すのを。って君はまだ冒険者じゃないね」

 と、女性の職員が僕を茶化したところで、赤いローブの女性は僕に話し始めた。

「ってことであたしは、ドラゴンクロウのエミリア。仲間はあいつらだよ」

 クイッと背中越しに親指で指し示した方向の席に、四人の女性が座っている。

「ちょっと話が聞こえてね。せっかく来たんだし、何も情報が無いのも可哀想だから教えてあげるわよ。でも、それで死んでもあたしは知らないからね。情報の取捨選択も生きる術の一つだから。聞いても行くか行かないかは自分でちゃんと決めな?」

 その言葉に僕は頷いた。それを見てエミリアさんは頷き返してきたのだった。

「じゃあ地図を出して?」

「あ、地図無いです……」

 エミリアさんは呆れたように少しため息をついた。

「って無いの? それくらいは用意した方がいいわよ。ま、これで説明するから後で地図は自分で買いなよ?」

 そう言って懐から地図を出すエミリアさん。そしてすぐ近くの机にそれを広げた。僕はエミリアさんの横から地図を覗き込んだ。エミリアさんはその地図上で、街道から山側へ入り、奥へ進んだ地点を指で示した。僕がまだ行ったことの無い場所だった。

「ここよ。この辺に、洞窟があるの。この辺では、初心者でも入れる数少ない洞窟の一つよ。上の階はFランクしか出ないわ。少し潜るとでてもEランクまで。だから上の階ならまだ大丈夫かもね? 当然、実力不足で上の方で死ぬ人もいるけどね?」

「Fランク?」

「あー、冒険者とかの中では魔物をランク付けして呼ぶこともあるの。手配書とかと一緒ね。魔物の強さの基準って感じかな。大体魔石の価値でその魔物のランクが決まるわ。さっき聞こえたけど、あなたが倒せるゴブリンなんかはFランク。最低ね。で、見たことなんか無いだろうけど、その上のホブゴブリンなんかはEランクよ。ま、この辺に会っちゃうと死んじゃうかもね?」

 ホブゴブリンなら何度も倒したことがあるけど、ここでそれを言ったところで意味は無いと思った僕は、その事を話さずに違う疑問を述べた。

「なるほど。ちなみに下の階だと?」

「下? あたしたちも奥底まで行ったわけじゃないけど、地下六階か七階くらいまでならDランクまでは確認した事あるわ。それ以上は流石に見たことないけどね」

 Dランクか……Dランクだと多分まだ作りたい魔導具を作れないはず……僕の目的は果たせない……

「えっとCランク以上の敵はいないんですか?」

「そりゃわからないわ。会ったことないから。ま、Cランクなんかあたしたちが会ったらここに居ないわよ。もう死んでるわ。なーんてね。ま、でも君が心配しなくていいわよ。上の階で腕試ししてればいいんだから。」

 軽く笑ってエミリアさんはそう答えを返した。僕は心配なんじゃなくて、ただ良い魔石が欲しいだけなんだけど。でも、DランクとCランクの違いってそんなにあるのかな?

「Dランクは倒せるのに、Cランクは無理なんですか?」

「無理ってことは無いと思うわ。冗談よ、冗談。まだ倒したことなんか無いけど倒せる自信はあるわ。でも、きっかり強さの幅が決まってる訳じゃないしね。よりBランクに近いCランクとかだと苦戦はするでしょうね。Bランクは間違いなく無理だと思うわ。って言っても死んだらおしまいだから試す訳にもいかないでしょ? あたしたちはまだ確実に倒せるのはDランクまで。そろそろCランクくらいならチャレンジしてみようかなーって思ってるけど」

「エミリアー、そろそろ行くよー」

 さっきの四人の女性の中の一人がエミリアさんを呼んでいる。エミリアさんは軽く手を挙げて応えると、僕にこう言った。

「さ、もういいでしょ? 地図でも買って帰りなさいな」

「わかりました。ありがとうございます」

 その言葉をきっかけに僕はエミリアさんにお礼を言い、冒険者ギルドを後にしたのだった。
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