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第九十四話 突然の休暇
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「ひーまーだー」
僕は部屋で文字通り暇を持て余していた。唐突に長期の休み、所謂夏休みのようなものに入ってしまい、授業もなくやる事が無くなってしまったからだ。
それは先日の事だった。目的の魔導具も作り、無事にリアも一緒にいる時間も増えた、とある日の事である。アマンダ先生から僕たち三人にとある話があった。リアも居たのだが、アマンダ先生には見えていないので、三人に向けて、である。
「えっと、皆に相談があるんだけど……私じゃない人から授業を受けるのと、休みが長くなるのとどっちがいい?」
その質問に、僕は逆に質問で返した。
「どういう意味です? 担任が変わっちゃうって事ですか?」
それに対して、アマンダ先生は首を横に振った。
「それはないわ。私が担任ってのは変わんないんだけど、もうすぐ長期の休みでしょ? で、この手紙なんだけど、どうやら村に帰らなきゃ行けないみたいなのよ」
アマンダ先生が一枚の紙を、顔の横でひらひらとさせながら、僕たちに見せる。って言っても何が書いてあるかなんて、この距離だし見えないんだけどね。
「まぁ、用が片付いたら戻ってくるんだけど、ちょっと遠いし、急いだ方が良さそうだから、早めに休暇とろうかなって。で、もうすぐ長期の休暇でしょ? 他の先生に引き継ぐのも効率悪いし、長期の休みを前倒しにしちゃってもいいかなって。で、聞いたのよ」
「そもそも勝手にそんなことアマンダ先生が決めていいんですか?」
「一応許可は貰ってるわ。と言うか、引き継いでも短期間だし何を教えるの? って話にはなってるのよ。だから、そっちの心配はしなくていいわ。というか学校側としては、どっちかというなら休暇を前倒しして欲しいかも。私のせいで勝手な事になっちゃうから、本当に申し訳ないんだけど」
その言葉に対して僕は首を横に振った。
「アマンダ先生、謝らないで下さい。正直、アマンダ先生担任で助かってますから。やりたい事も色々ありますし、気になさらないで下さい」
「そう? そう言って貰えると助かるわ。じゃあとりあえず明日からは授業は休みにさせてもらうわ。早速明日帰ることにさせてもらうわ」
という訳だった。
あれから数日経っているが、勿論やりたい事なんてなかった。ただの強がりである。勉強はリアが教えられる時間を増やせたけど、その分、僕一人の時間が増えてしまった。今までのリアと逆の立場になってしまったのだ。
なーんてベッドの上で天井を眺めながら考えていると、扉がノックされてレオナの声が聞こえてきた。
「ご主人様? いらっしゃいますか? そろそろお昼ご飯でも如何かなと思いまして」
「え? もうそんな時間? いくいく!」
と僕は部屋を飛び出したのだった。
その食事中のこと、レオナがふと僕に話しかけてきた。
「ご主人様、せっかくの長期休暇だし何処か旅にでも出ませんか?」
「え? 旅? 良いけど何処か行きたいとこあるの?」
「うーん。それは無いんですけど……知り合いの家とか? そう言えばご主人様の家に行ったことないですね……」
「うーん……行きたいの?」
「お嫌なら別にいいんですけど……」
「嫌というか、別に帰るつもりも無いからね……」
そこに気を利かせたリアがぐいっと会話に割り込んで来た。
「ま、まぁマスターの交友関係は狭すぎだからね。知り合いって言ったら、この街にいる人くらいじゃない?」
「酷い言いようだな、リア。この街じゃない人でも知り合いくらいいるよ?」
「じゃあ誰よ?」
「え、えっと……プラムとか? 王都にいるし」
「ほら、一人じゃん?」
「あ、あとは……今いないからアマンダ先生!」
「ってそれはこの街の人よ! ほら、知り合いなんかいないじゃない?」
リアの指摘を受けて僕は黙り込んでしまう。
「でも、そうすると王都かアマンダ先生の故郷という事になりますわね。アマンダ先生の故郷の場所は知らないですから、王都に行きますか? 御主神様?」
「えー。プラムに会いにいくの? だったらアマンダ先生の方がいいな……」
「でも私達、アマンダ先生の故郷が何処かなんて知らないですわよ? 素直に王都にした方が宜しいと思いますわ?」
そこで僕は少しだけ考えてから口を開く。
「じゃあさ……キャロルさんだっけ? 同郷だって言ってたし、聞いてみようよ。長期の休暇で行けそうだったら行ってみよう。無理そうだったら他考えようよ。王都も含めてさ……それでいい?」
「まぁ、それでいいですけど……キャロルさんってお忙しいんじゃなくて? お会い出来ないかもしれないですわよ?」
「まぁそうかもしれないけど、とりあえず行ってみよう? 無理だったら何するか考える時間はあるんだしさ」
と、僕たちはキャロルさんの元へに向かったのであった。
僕は部屋で文字通り暇を持て余していた。唐突に長期の休み、所謂夏休みのようなものに入ってしまい、授業もなくやる事が無くなってしまったからだ。
それは先日の事だった。目的の魔導具も作り、無事にリアも一緒にいる時間も増えた、とある日の事である。アマンダ先生から僕たち三人にとある話があった。リアも居たのだが、アマンダ先生には見えていないので、三人に向けて、である。
「えっと、皆に相談があるんだけど……私じゃない人から授業を受けるのと、休みが長くなるのとどっちがいい?」
その質問に、僕は逆に質問で返した。
「どういう意味です? 担任が変わっちゃうって事ですか?」
それに対して、アマンダ先生は首を横に振った。
「それはないわ。私が担任ってのは変わんないんだけど、もうすぐ長期の休みでしょ? で、この手紙なんだけど、どうやら村に帰らなきゃ行けないみたいなのよ」
アマンダ先生が一枚の紙を、顔の横でひらひらとさせながら、僕たちに見せる。って言っても何が書いてあるかなんて、この距離だし見えないんだけどね。
「まぁ、用が片付いたら戻ってくるんだけど、ちょっと遠いし、急いだ方が良さそうだから、早めに休暇とろうかなって。で、もうすぐ長期の休暇でしょ? 他の先生に引き継ぐのも効率悪いし、長期の休みを前倒しにしちゃってもいいかなって。で、聞いたのよ」
「そもそも勝手にそんなことアマンダ先生が決めていいんですか?」
「一応許可は貰ってるわ。と言うか、引き継いでも短期間だし何を教えるの? って話にはなってるのよ。だから、そっちの心配はしなくていいわ。というか学校側としては、どっちかというなら休暇を前倒しして欲しいかも。私のせいで勝手な事になっちゃうから、本当に申し訳ないんだけど」
その言葉に対して僕は首を横に振った。
「アマンダ先生、謝らないで下さい。正直、アマンダ先生担任で助かってますから。やりたい事も色々ありますし、気になさらないで下さい」
「そう? そう言って貰えると助かるわ。じゃあとりあえず明日からは授業は休みにさせてもらうわ。早速明日帰ることにさせてもらうわ」
という訳だった。
あれから数日経っているが、勿論やりたい事なんてなかった。ただの強がりである。勉強はリアが教えられる時間を増やせたけど、その分、僕一人の時間が増えてしまった。今までのリアと逆の立場になってしまったのだ。
なーんてベッドの上で天井を眺めながら考えていると、扉がノックされてレオナの声が聞こえてきた。
「ご主人様? いらっしゃいますか? そろそろお昼ご飯でも如何かなと思いまして」
「え? もうそんな時間? いくいく!」
と僕は部屋を飛び出したのだった。
その食事中のこと、レオナがふと僕に話しかけてきた。
「ご主人様、せっかくの長期休暇だし何処か旅にでも出ませんか?」
「え? 旅? 良いけど何処か行きたいとこあるの?」
「うーん。それは無いんですけど……知り合いの家とか? そう言えばご主人様の家に行ったことないですね……」
「うーん……行きたいの?」
「お嫌なら別にいいんですけど……」
「嫌というか、別に帰るつもりも無いからね……」
そこに気を利かせたリアがぐいっと会話に割り込んで来た。
「ま、まぁマスターの交友関係は狭すぎだからね。知り合いって言ったら、この街にいる人くらいじゃない?」
「酷い言いようだな、リア。この街じゃない人でも知り合いくらいいるよ?」
「じゃあ誰よ?」
「え、えっと……プラムとか? 王都にいるし」
「ほら、一人じゃん?」
「あ、あとは……今いないからアマンダ先生!」
「ってそれはこの街の人よ! ほら、知り合いなんかいないじゃない?」
リアの指摘を受けて僕は黙り込んでしまう。
「でも、そうすると王都かアマンダ先生の故郷という事になりますわね。アマンダ先生の故郷の場所は知らないですから、王都に行きますか? 御主神様?」
「えー。プラムに会いにいくの? だったらアマンダ先生の方がいいな……」
「でも私達、アマンダ先生の故郷が何処かなんて知らないですわよ? 素直に王都にした方が宜しいと思いますわ?」
そこで僕は少しだけ考えてから口を開く。
「じゃあさ……キャロルさんだっけ? 同郷だって言ってたし、聞いてみようよ。長期の休暇で行けそうだったら行ってみよう。無理そうだったら他考えようよ。王都も含めてさ……それでいい?」
「まぁ、それでいいですけど……キャロルさんってお忙しいんじゃなくて? お会い出来ないかもしれないですわよ?」
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と、僕たちはキャロルさんの元へに向かったのであった。
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