賢者の幼馴染との中を引き裂かれた無職の少年、真の力をひた隠し、スローライフ? を楽しみます!

織侍紗(@'ω'@)ん?

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第百八話 神託

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「ふむ。まぁそう問われるなら、そういう事にしておこう……」

 村長は余裕のある態度を崩すことなく、アマンダ先生の問いに対して答えを返した。それに対してアマンダ先生は、警戒の姿勢を崩すことはなかった。

「私は森の神様に常に祈りを捧げ続けておった」

 村長が天井を見上げ、ポツリ、ポツリと話しだした。その言葉を聞いたアマンダ先生は視線を逸らさず、僕たちにこう説明をする。

「そもそも、隣の村と仲良くなかったのはそこが原因なのよ。私たちの村は、逆にこの森の中には邪悪な存在がいると思ってるのよ。真逆なのよね。だから仲が悪かったのよ」

 しかし、村長はアマンダ先生の言葉は全く耳に入っていないかのように話を続けた。

「その甲斐があったのか、ここ最近の事だ……森の神様から私の元へ神託があったのだ。その神託に基づき、私はここへ訪れたのだ。そしてここへ訪れた時に再び神託が下った。力を取り戻す為に、生贄が欲しいと。栄養が欲しいと……そこでまずは、連れて来る事が容易な子たちを少しずつ捧げたのだ。村の子供たちが居なくなったあとは、お主らの村の子供たちを……神に生贄を捧げれば捧げる程、私に力が満ちてくる。そうなると、段々と子供では無くても良くなってくる。別に大人も子供も連れ去る手間は変わらんからな……しかも、栄養としては大人の方が多く取れる。同じ手間なら大人の方を捧げるのが道理……」

 先ほどの筒状の物の中にはサイズから察するに大人たちも多く入っていた。村長が言った通りだとすると、順番から言って、攫われた子供たちは生きていないだろう、と僕は思った。

「村人たちを一斉に連れ去ったのはどうやったのよ!」

 アマンダ先生が村長に叫ぶ。

「ああ、あれは知らん」

 村長が肩を竦めて答え、続けてこう言った。

「あれは私じゃなくて神が行った事だからな」

 その言葉は、村長が神と呼んでいる存在が、かなりの力を取り戻している事を意味していると僕は思った。今まで、村長が行っていた事を自らが行ったという事だから。しかも、規模は圧倒的に大きい。
 今はまだ栄養を吸収し続けているようなので、状況的に完全に力を取り戻したという訳では無いだろう。とすると、完全に力を取り戻した時はもっと大きな力を振るえるのは明白だった。

「なるほど……僕からも一つ尋ねていいですか?」

 僕は手を挙げて村長に尋ねた。

「なんだお前は? まぁ、よかろう」

「ありがとうございます。何故村長は自分の村の人たちから生贄に捧げたんですか? 仲の悪い村の人達から生贄に捧げた方が良かったと思うんですけど」

「ふむ。そんな事か。そんなのは簡単な事だ。私たちの村の方が近い。ただそれだけのことだ」

 その言葉にアマンダ先生が大きな声をあげた。

「何それ! 今まで一緒に暮らしてた情とかはないの?」

「情だと? そんなもの神の栄養の足しにもならん。神託を頂いた時に捨て去ったわ」

 アマンダ先生も僕たちも押し黙ってしまった。するとその沈黙を破ったのは村長だった。

「そろそろ良いかな? 特に話す事も無いのなら、皆にお別れを言ったらどうだ?」

 その言葉にアマンダ先生は一歩前へ出て、腰の剣をスラリと抜く。

「皆、下がって」

 村長から目を逸らさずに、僕たちに後退を促す。そして、そのまま村長に向かって、言葉を放った。

「あいにくだけど、まだ死ぬつもりも、死なせるつもりもないわ。だから、そんな事する時間なんか必要無いわ」

 その言葉に村長は肩を竦めた。

「せっかく人の好意を無下にしおって……いや、失礼、人では無かったか……クックックッ……」

 村長がそこまで言うと、その身は膨張を始めた。アマンダ先生がボソリと呟く。

「やっぱり悪魔に堕ちてたのね……神託の時かしら……もしくはその前から魅入られてしまっていたの……」

 アマンダ先生が言うには村長は悪魔となってしまっているようだった。

「アマンダ先生は見た事あるの? 悪魔に堕ちたとこ」

「ええ、あるわ。騎士団の時に……」

 村長から視線を逸らすことなど無くアマンダ先生はそう答えた。何故か言いにくそうな様子ではあったが、無理に問い詰めるような状況では無い。

「わかりました。その話は今度でいいです」

 アマンダ先生はその言葉に頷いた。

「ありがとう。っとそろそろかしらね……」

 確かにアマンダ先生の言う通り、村長の肉体の膨張は収まってきていた。そう、それは既に人の形を成してない。角が生え、大きな口とそこから見える牙、禍々しい羽を携え、身長は三倍は下らない。

「思った以上ね……イビルデーモンか……」

「思った以上って……強いんですか? イビルデーモンって。ランクだとどれくらいなんですか?」

「あれだとAってとこかしら。うーん。変異中に攻撃しても、行動が読めない分、危険もあるけど……さすがに放っておくのは悪手かな。先手を打つわ!」

 アマンダ先生はそこまで言うと、目の前のイビルデーモンに向かって駆けたのだった。
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