賢者の幼馴染との中を引き裂かれた無職の少年、真の力をひた隠し、スローライフ? を楽しみます!

織侍紗(@'ω'@)ん?

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第百十六話 微々たる差

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 カノダバを倒した僕はその予想外の弱さに少し驚いてしまった。いかにもって相手だったし、聖剣? とやらが無いと倒せないなーんていうから試しに思いっきり殴ってみただけなのに、ゴブリンみたく消え去っちゃったもんだから。

「もう、ご主人様! 約束してるじゃないですか! やり過ぎないで下さいって!」

 背後から聞こえてきたレオナの声に、僕は振り向いて舌をぺろっと出しながらこう謝った。

「ごめんよ。なんか強そうなこと言ってたから、思いっきり殴っちゃった。剣も折れたら嫌だしね。でも、嘘だったみたい。ゴブリンみたいに消えちゃったから」

 そして皆の方へ歩いていく。少し怒った表情のレオナ、あとカタリナは何故かドヤ顔をしている。で、アマンダ先生はまだ呆然としているみたいだった。

「な、何が起きたの? どうやって倒したの? ずっと見てたはずなのに、何も見えなかった……」

「もう、ご主人様。殴るならちゃんと加減して下さい。また魔石にならなかったじゃないですか!」

 レオナの僕を諌める言葉を聞いたアマンダ先生はハッとした表情になった。

「そ、そうよ? ま、魔石よ! 魔石が無いわ! そ、そんなの有り得ない! カノダバは倒せてないんじゃ! って……ま、また? レオナちゃん、またって言ったわよね? またってことは今回だけじゃないってこと? そういえばアインス君もゴブリンみたいに、って言ったし……アインス君はゴブリンも消しされるってこと? そんなバカな……」

 呆然としながらそう呟くアマンダ先生、その脇にかがみこんだカタリナは、アマンダ先生にこう語りかけていた。

御主神様アインスさまはちょっとだけ力を込めて殴ると、ゴブリンを消し飛ばしちゃうんですわ。加減が難しいから、なるべく魔法を使って倒したりするんですの。あとは最近貰った剣も使いますわね。消し飛んじゃうと魔石が手に入らないものですから」

「いや……消し飛んじゃうって何よ……」

 しかし、アマンダ先生はカタリナの言葉に未だ信じられない、と言った表情を浮かべていた。

「ごめんごめん。なんかアマンダ先生も大変そうだったし、強いのかと思ったんだけどね、アマンダ先生は連戦で疲れちゃってたみたいだね」

 僕はそんなアマンダ先生は一旦そのままにしておきつつ、レオナにそう述べた。そしてこう続ける。

「目覚めたばかりだからそんなに力を発揮できなかった、とかなんじゃない? ゴブリンみたいに殴ったら消し飛んじゃったしね。実はゴブリンよりちょっとだけ強いくらいのだったかも? 魔石にもならなかったからわかんないけどね」

「うーん。まぁ、ご主人様がそう仰るなら、そうなのかもしれないですけど……」

 僕は肩を竦めて言った言葉にレオナが少し不満そうな表情でそう答えた。するとその言葉を聞いたアマンダ先生が否定の言葉を口にした。

「そ、それは有り得ないわ! 思い出すだけでもあの威圧感! いくら連戦で疲れてたとはいえ、その程度の相手に遅れを取る訳が!」

 するとカタリナがアマンダ先生の肩にポンっと手を置いて、諭すように語り出す。

「違うんですわ、アマンダ先生。御主神様アインスさまにとってはゴブリンもカノダバも一緒ってことなんですの。アマンダ先生の言いたいことも分からないでもないのですけれども……」

 アマンダ先生がレオナとカタリナを交互に見る。二人ともとても優しい表情で頷いていた。その表情を受けてアマンダ先生は段々と何かを悟ったような表情になっていく。

「レ、レオナちゃん、カタリナちゃん……あなたたちこうなるのが分かってたの?」

 その言葉にレオナは首を横に振った。そして、少しむっとしながらこう言ったのだった。

「いいえ、ご主人様がもうちょっと手を抜いてくれると思ってました。剣を使ってくれたり……魔石だって貴重なのに」

「そ、そもそも倒せる前提なのね……」

ワタクシはこうなるんじゃないかと思ってましたわ。Fランクの魔物もSランクの魔物も御主神様アインスさまにとっては微々たる存在という意味では一緒ですもの。アマンダ先生に話すと仰ったからには、ちょっとやり過ぎちゃうのではないかと考えてましたわ」

 そしてそう語ったカタリナは、予想が当たったからかまたも満足気な表情を浮かべていたのだった。
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