転生王女は世界ランキング1位の元廃ゲーマー ~一生Lv1固定が確定しちゃってても、チート級な知識の前にはそんなの関係(ヾノ・∀・`)ニャイ

織侍紗(@'ω'@)ん?

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 目の前が段々とはっきりしてくる。そして気がつくと私はさっきのダンジョンの中に立っていた。どうやら転移は終わったみたい。
 転移が終わったようなので、私は光が入ってくる方へ歩きだす。ダンジョンの出入口に向かって。そうやって歩きながら、少し確かめたいことがあって、すっとステータス画面を開いた。


 名前 :アイラ
 性別 :女
 種族 :ヒューマン
 職業ジョブ :無し
 Lv :1
 HP :20
 MP :5
 STR:3
 VIT:3
 MAG:3
 AGI:3
 DEX:3
 EXP:9999999999

 燦然と輝くLv1、そして怒涛のEXPの数値。やっぱりさっきのハナンケシヤンイカイロンを倒したことでEXPがカンストしてしまったみたい。もしかしたらそうかも、と思ってステータス画面を開いてみたらやっぱり思った通りだった。確かめたいことってのはコレね。まあ、ゲームの中でもこうやって序盤で倒せれば、ラスボスですら余裕で倒せるくらいまでレベルが上がってしまうのだから、この結果も当然っちゃ当然ね。倒せれば、の話だけど。ってかハナンケシヤンイカイロンをこの段階で倒せるゲーマーが、ラスボス如きで苦戦をするワケも無いんだけどね。
 しかもゲームの中でよりも、低レベルで倒したんだもの、レベル差でEXPが多く入るのだからカンストするのも無理はないわ。
 ま、レベルが上がらない私には、いっくらEXPが入っても、なーんの価値も無いけどね。ま、なにかの役に立つかもしれないし、ありがたく貰っときましょ。
 ち・な・み・に、ゲームの中では序盤でここまでレベルを上げてしまえば、モンスターを逃がし放題、レベル上げももうしなくてもいいから結果タイムが早くなる。圧倒的な世界記録を出す為に一万回以上リセットを繰り返すだけの理由はあるにはあるのよね。なんでかわからないけど、私がこの方法を公開して世界記録を塗り替えてから、だぁれもRTAに挑戦しなくなったのは謎なんだけどね。あ、塗り替えられた世界記録も持ってたのは当然私だけども、他にやってた人も沢山いたのに、なんでだろ。

 なーんて考えながら歩いているとすぐに外に出ることが出来た。さほど距離は無かったから。外に出ると少し離れたところに二人の人影が見える。人影とはいっても誰かは判別出来るくらいの距離だ。一人は私たちがこのダンジョンへ来た時に、道案内役として一緒に来たこの国の兵士。私が一人で戻ってきてとても驚いた顔をしている。ま、命じられてとは言え、崩落事故を起こしたのはこの人なんだけどね。

 そして私の無事な姿を見て、心配したんだぞ、と言った雰囲気でガシャガシャと音を立てながら駆け寄ってくるのはアルト兄さん。唯一といっていいくらい、私のことを気にかけてくれる人。この国の第15王子。腹違いの兄ね。

 なんで目をかけてくれるのかって? それはアルト兄さんも蔑まれているから。ちょっと違うな。蔑まれるようになったから、と言うべきかな。アルト兄さんも数年前、この王家の試練を受けた。その時に事故で左の手足を失ってしまった。だから今は左の手足は機械仕掛けになっている。命を失いはしなかったけど、そんなことになってしまって試練もクリア出来なかったし、だから他の王族からは私と同じように蔑まれてしまったというワケ。
 それまではあまり交流は無かったけど、当時から沢山いる親族の中で、私のことを可哀想とは思ってくれてたのは知ってた。だから、私もアルト兄さんがそんなになってしまった時は、少し可哀想だな、と思ったのは覚えている。

 アルト兄さんは自身にそんなことが起きたのだから、今日は私のことを心配して着いてきてくれた。それに、こうやって私の無事な姿を見て安心した様子で私に駆け寄って来てくれるのだろう。

 そして私の元に駆け寄ってくれたアルト兄さんは、ぎゅっと私を抱きしめてくれた。私はそれが心地よくてアルト兄さんが離してくれるまで、身を任せたのだった。
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